シリーズ、プリークァル、リメイク

in 2017　　TVドラマと併走して映画の収入源として君臨できるか?

　同僚から「アバターの続編が延期されたね」と言われて、まるで気にしていなかった自分に、もはや愕然とすらしない。インディペンデント・スピリット賞、アカデミー賞のニュースすらスルーして、観ると決めた作品、その関連作だけを追っかけている今日この頃。“人からなんにも言われなくなったらオシマイ”と思い直して、IMDbでジェームズ・キャメロンのページを覗くと、5までがアナウンスされている。

　そういえばマイケル・ベイだって「トランスフォーマー」は7までだし、「バッドボーイズ」も4までと忙しかったんだよな、と気がついたのは去年の9月。この流れは多様化、増殖し続けている視聴環境と無縁ではないと思われる。劇場公開と配信が同日という出来事が先月あったばかりだし、劇場運営以前に映画から若い人が離れていっては存続の危機にもなる、うかうかしていられない21世紀。

　「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー」がスピンオフか?プリークァルか?などどーでもよくて、スター・ウォーズに対する世間の注目を止めておく効果は絶大だった。よって年末の「スターウォーズ/最後のジェダイ」もホームページを見たりと、引き続き気にしてもらえる。無視できないライバルはTVドラマで、WIRED（ワイアード）VOL.26の記事には“ドラマの話法が大きく変わり始めている”と出ていたし。

　TVドラマと併走して、“新しい話法”を映画が手に入れるのかは現時点では不明。申し訳ないけど、「ブレードランナー2049」も「ゴースト・イン・ザ・シェル」も新しいものを期待しているのではなく、監督の手腕を楽しみにしている。次から次へと繰り出される映像コンテンツを、“自分なりの角度で観る21世紀”なのかもしれないけどさ、忙しいよね。暇つぶしの娯楽のはずが、いつの間にやら・・・。
(3/13/2017)

in 2016

　「木根さんの1人でキネマ」にも出てくるけど、2015年の後半は続編ばっかだった。じゃあ今年はというと夏は位置づけがリブートなのかリメイクなのか判然としない「ゴーストバスターズ」だったり、「シン・ゴジラ」だったり(面白いんだけどね)。稼ぎ時が過ぎても大作は「グランド・イリュージョン／見破られたトリック」、「スタートレック／ビヨンド」と続き、「インフェルノ」、「ジェイソン・ボーン」があって、年末に「ローグ・ワン／スター・ウォーズ・ストーリー」が待機中。

　で、あんまり観たことないスピン・オフ企画なれど、行くことになりそうな「スーサイド・スクワッド」と興味津々の「ベン・ハー」リメイクといったところですか。年明けには「七人の侍」リメイク「マグニフィセント・セブン」があって・・・。ある種ルーチンワークに等しいプログラムなれど、時代の流れがあまりにも急激で、忘却のスピードも信じられないくらい加速している。

　おそらく話題になっていられるのは数日ではなく、数時間という認識じゃないかな?せっかちな人はますます先を急ぎ、面倒くさく感じたら途端に・・・。ただしつこく同僚に「シン・ゴジラ」をオススメしたら、見事にハマった。マメに劇場通いをしている私めは、量産されるシリーズに食傷気味。なれど久しく劇場から遠のいていた人にはインパクトありそう。視聴環境が整っているから旧作も手軽に楽しめるし。
(8/30/2016)

in 2015

　もうすぐ稼ぎ時のサマー・シーズンがやって来る。「スターウォーズ/フォースの覚醒」は年末だけど、あの「ジュラシック・パーク」の第4弾「ジュラシック・ワールド」がたぶん目玉になるだろう。次いで「ミッション・インポッシブル／ローグ・ネイション」と続いていく感じかな?監督に関して興味津々なのが、「ジュラシック・ワールド」を担当のコリン・トレヴォロウ。

　あの「彼女はパートタイムトラベラー」の人が大抜擢で、監督2作目が超大作とは「GODZILLA　ゴジラ」のギャレス・エドワーズに近い。逆に「マッドマックス　怒りのデス・ロード」はジョージ・ミラーがそのまま。もっともこちらのお楽しみはトム・ハーディとシャーリーズ・セロン。“日本アニメーションの新しい試み”最後の1発は「攻殻機動隊新劇場版」で、「アベンジャーズ／エイジ・オブ・ウルトロン」、「ターミネーター：新起動／ジェニシス」は迷うところだよな。
(6/21/2015)

in 2012

　大作に映画会社のゴー･サインが出やすいのは続編（シリーズ）か、前日譚（プリークァル）か、作り直し（リメイク）。今年に入っても「トワイライト・サーガ／ブレイキング・ドーン part1」、「シャーロック・ホームズ　シャドウゲーム」、｢メン･イン･ブラック3」、｢アメイジング･スパイダーマン」、「ダークナイト･ライジング｣、「トータル･リコール」が続々公開。で、「アベンジャーズ｣なんですけれど、前日譚でも続編でもなくて、｢容疑者Ｘの献身」と同じく各シリーズを“スピン･オフ”にしてしまう試み（だと思う）。3Dを用いてよみがえった「バイオハザードⅣ」の続編「バイオハザードⅤ」が待機中。

　リメイクにして新シリーズの発端「スノーホワイト」などを見ると、実力ある新人の登竜門に位置するのかも。若手の流れが几帳面な稼ぎ頭として、商売人としては頼もしい。実際｢アベンジャーズ｣も｢トータル･リコール」も商品としては合格点で、前作の貸し出しにも一役買ってくれるからありがたい。でも1人の映画好きとしては相対する流れ、ジジイたちの“やりたい放題”が見もの。マーティン･スコセッシ（｢ヒューゴの不思議な発明」）、ウディ･アレン（「ミッドナイト・イン・パリ」）、ロマン･ポランスキー（「ゴーストライター」）、クリント･イーストウッド（「J・エドガー｣）、フランシス･フォード･コッポラ（「Virginia　ヴァージニア」）、スティーヴン･スピルバーグ（｢タンタンの冒険」）。それぞれの持てる技術を活かしつつ、“新しい映画”を生み出している。ゆえにリドリー･スコットの「プロメテウス｣が注目なのです。
（8/17/2012）

　昨年（２０１１）もコンスタントにリメイク、シリーズともに公開されて、興行収益の稼ぎ頭となりました。あんまり続けると飽きられるのがシリーズの常ですけれど、トム・クルーズはパート４に果敢に挑戦。「トランスフォーマー」はたぶん３で完結すると思うがどうでしょう？コーエン兄弟も「トゥルー・グリット」を撮ったし、日本映画「一命」も素晴らしかった。なぜかと言うと、映画の歴史に思いを馳せる役にも立っている。ポール・ハギスが手掛けた「スリーデイズ」や「モールス」などは合衆国にとって外国映画を紹介する役割も担っている。映画好きが増えなくちゃ、映画産業は衰退しますからね。前日譚＝プリークァルでは「猿の惑星：創世記（ジェネシス）」は申し分のない優等生。
(1/2012)

　あくまでも映画は“見世物”ですから、興業収益が上がってなんぼ。「サラリーマンが映画を作っている」と言うと、嫌味なんですけれど、興業収益を“計算しやすい”のは明らかに続編やリメイク。映画会社の面々が飛びつくのも仕方ない。で、監督とか“現場関係者”は口々に「シリーズものって良いのがなくて・・・」と否定的。でもねぇ世の中そんなに甘くない。

　ライト・ユーザーの方にとってランキング、シリーズ、リメイクはとっつきやすいのも確か(音楽の場合わたくしめも同じ)。実際“上半期ランキング”、“年間ランキング”って放っておいても良く貸し出されるのです。