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レンタル屋ストレート5

 ブレイキング・ポイント

 

ショッキングな事件、その後の人々を群像劇の形式を用いて描く
豪華共演が実に冷静に巧妙に配置されている
21世紀にふさわしい衝撃作

 

  レンタル屋ストレートでオススメする第5弾「ブレイキング・ポイント」。これを売り込むのは確かに一苦労。一見パッケージの説明にもあるように、多視点サスペンスの要素はうなずけます。ただ「バンテージ・ポイント」とは“仕掛け”の役割が違う。多視点というより殆ど関係者はパラレルに描かれる。これは「クラッシュ」に近いドラマ。銃弾が物語をつなぐ「アモーレス・ペロス」も思わせるんだけど、影響関係にあるといったほうがよろしいでしょうか。

 

 冒頭なかなか静かで魅せる画から始まり、豪華キャストが定食屋に集結していて、チラッと出てくるガイ・ピアースフォレスト・ウィテカーケイト・ベッキンセイルもダコタ・ファニングもごく普通の人々を演じているよう。ところが突然××が響き、日常が破られる。ここから邦題がついたのは納得。日常を奪われた人々が、その後どのような生活を経て生きていくのか。しつこく人々から忘れさせるために追い掛け回す、マスコミとは違った視点を映画は提供できる。それは「ラブリー・ボーン」にしても「インビクタス 負けざる者たち」にしても映画の果たせる機能の一つ。

 

 そしてごく普通の人々を演じている豪華キャストが、それぞれの演技力で独立した映画が、パラレルに進行しているかのように魅せる。ダコタ・ファニングはなにせ「アイ・アム・サム」の頃から演技派だったけど、「リリィはちみつ色の秘密」で大人になったね、と思っていたらこの作品でも重要なパートをしっかり支えている。また本業は歌手なんだけど「リリィはちみつ色の秘密」にしてもジェニファー・ハドソンも出番が少ないワリに、ごく普通の女性の役が信じられない(だってスターだからね)。もちろんケイト・ベッキンセイルでなければ、赤ん坊を放ったからかしにしている母親は出来ないし(今回彼女は化けました)、ガイ・ピアーズは「ザ・ロード」「ハート・ロッカー」に続いて信頼できる役者さんの1人に。出演者中もはや大御所の位置にいるフォレスト・ウィッテカーは相変わらず自然に情けないジジイ役が妙に説得力ありで、良かった。各々の辿る運命はぜひご覧になってご確認を。

 

 キャストだけでなく、スタッフも実は本気モードで、音楽のマーセロ・サーヴォスは「クロッシング」「トラブル・イン・ハリウッド」「グッド・シェパード」を担当している。撮影のエリック・エドワーズはなんとあの「KIDS/キッズ」の人ですよ。ガス・ヴァン・サントの作品も担当していて、「誘う女」も彼の仕事。シャープかつ冷静な描写、ちょっと傾くとサスペンスよりの神経症的な映像になるけれど、極力映像美っぼくならないところで止まっているのはこの監督の才能でしょう。批判的というより現代を真正面から捉える胆力がある。次回作はレンタル屋ストレートにならないことを切に願う。

 

 群像劇としては「今宵フィッツジェラルド劇場で」を遺作にして亡くなってしまったロバート・アルトマンの「ショート・カッツ」には及ばないにしても、弟子がいるんだから(ポール・トーマス・アンダーソン)別なアプローチで迫るのは正解。青山真治監督の傑作「ユリイカ」を思い出しましたけれど、現在(2010/12)観ておきたい内容。豪華キャストが集結するのは当然でしょう。キャストが豪華でもズッコケちゃうものも・・・。けれどコレはかなりの代物で、「レクイエム」に匹敵するかもしれない。レンタル屋ストレートも侮れない。
(12/17/2010)
オススメ★★★★☆

 

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  狼たちの報酬

 

 一見クライム・サスペンスのようだけど
それだけに止まらない魅力がある
「狼たちの報酬」
相互にリンクし合って、キャラクターに接点があり、
時系列を環状にして完結させる新手の群像劇


 「ブレイキング・ポイント」に続いて観たレンタル屋ストレートの秀作。フォレスト・ウィテカーが出演しているだけでなく、音楽担当も同じマーセロ・サーヴォスだったりする。ここら辺りからこの未公開作品が臭いなぁと目をつけていたら、案の定あたり。パッケージはもうレンタル屋ストレート の典型的なもので(内容とは乖離)、アクションの棚に並んで“お終い”というパターンが容易に想像できる。しかし常連さんのなかには、キャストがことのほか豪華なことに注目して、手にとられるかもしれない。運が良ければ・・・、ちょっともったいない。

 

 豪華キャストはフォレスト・ウィッテカーだけでなく、ブレンダン・フレイザー(「クラッシュ」)、アンディ・ガルシアケヴィン・ベーコン、ジュリー・デルピー(「ビフォア・サンセット」)、サラ・ミシェル・ゲラーと特S級ではないものの、「ラッキーナンバー7」「バンテージ・ポイント」に近い布陣で、誰かに焦点が絞れないキャストだからクライム・サスペンスのようだけど(パッケージのイメージがそう)、それだけに止まらない魅力がある。

 

 「ブレイキング・ポイント」は独立したエピソードがパラレルに進む構造だったけれど、これは相互にリンクし合って、キャラクターに接点があり、時系列を環状にして完結させている。ま、ご覧になれば一目瞭然で、文章で説明するとなると厄介なだけです。映像はかなり美麗かつシャープで、調べてみたら「セックスと嘘とビデオテープ」「ショート・カッツ」担当のウォルト・ロイドが撮影監督。スタッフ、キャスト共にビビーンとくる人々。信じられないけれど監督はこの作品以来撮っていない(2010/12現在)。

 

それぞれのエピソードを紡ぐためにも各々に主役が配置されていて、物語は フォレスト・ウィテカー→ブレンダン・フレイザー→サラ・ミシェル・ゲラー→ケヴィン・ベーコンと進む。フォレスト・ウィッテカーは小心者でマフィアにカモられ銀行強盗する羽目になる、未来予知が出来るヤクザに扮したブレンダン・フレイザーは寡黙でかっこよく、北野監督作品に通じる生々しい裏社会が似合う。どこかヤクザSF「男たちのかいた絵」を思い出させたりして。で、かなりブリトニー・スピアーズのマスコミによる騒動を皮肉った場面も交え、マネージャーがおさらばしちゃう気の毒な歌手にサラ・ミシェル・ゲラー。で、どうしても彼女の××が必要なケヴィン・ベーコンがラスト。脇役ながらだいたい出てくるアンディ・ガルシア はやっと非情な悪役になれたねという感じ。

 

 つくづく「ショート・カッツ」が傑作で、群像劇を整理して見せる手腕はロバート・アルトマンに太刀打ちできないけれど、かなり挑戦的な一本です。最新VFXを駆使したり、3Dにするだけがお客さんの満腹度を上げるワケではない。これと「ブレイキンく・ポイント」の2本立ては正直しんどくなっちゃうけれど、どこかのミニ・シアターで上映企画組まないかな。悪くないですよ、「インセプション」はどうしても大勢に見せる関係上、シンプルにせざろう得なかった。北野監督作品のテイストを盛り込んで、どことなくインテリジェンスを感じさせる映画好きの方オススメの1本。邦題をつけるのは確かに難しいけれどね“The Air I
Breathe=オレが息している空気”。
 
(22/12/2010)
オススメ ★★★★☆ 

 

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