レンタル屋ストレート13
「僕の大切な人と、そのクソガキ」で気になり、「マネーボール」で驚き、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」で呆れつつもやるなと思わせてくれたニュー・カマー＝ジョナ・ヒル。印象はクリス・ペンを思い出させてくれるんだけど、マジ映画にはあまり出ない。でも根はかなりシリアスな人(コメディ俳優の常)だし、間抜けな悪役で「ジャンゴ 繋がれざる者」にも出ていたりして。今回のレンタル屋ストレートはセス・ローゲンの次に来そうな(既に合衆国では人気か?)彼の2本をピック・アップしてみました。いったい合衆国のコメディ俳優を何世代スルーさせちゃうんだろう。
(3/26/2013)
刑事が活躍するならバディ・ムービーなんですが、21世紀の警察（合衆国）は腐敗とともに分業が進んで、推理する仕事は専ら人間嘘発見器だったり、元霊媒師だったり。そこで80年代のTVドラマを引っ張り出してきて映画にする。発想は悪くなくてジョナ・ヒルが積極的（原案、製作総指揮）に関わり、共演のチャニング・テイタムも一枚かんでいる。「アザーガイズ」が一昨年ですから、随分空いちゃって寂しい思いをしていたところに、これは美味しい未公開作。友情ものというとセス・ローゲン(「グリーン・ホーネット」)の十八番のようですけれど、ジョナ・ヒルはちょっと違ったアプローチ。
物語は主人公2人の高校時代から始まり、“月とスッポン”だった2人が警官養成所でダチになり、見た目の若さで高校に潜入する。「エイリアン・バスターズ」では成り損ねるジョナですけれど、見事笑いを交えつつも刑事になっていました。ワリとおデブちゃんキャラ(「スーパーバッド 童貞ウォーズ」など)ですが、今回のジョナは絞ってます。チャニングも精悍さや思いやりのある夫のイメージを脱して笑いをとってます。アンダー・カヴァーものは「マイアミ・バイス」などが典型なれど、舞台が高校ならギャグを炸裂させられる(ヤクでぶっ飛んじゃうのは爆笑)。実態は「BRICK ブリック 消された暗号」が近いようですけれど、あくまで学園モノのテイストで勝負(「小悪魔はなぜモテる？！」)。
ワシもそうだし、昨今の合衆国で好ましく思われているのは「glee」とかトワイライト・シリーズの高校生なんだけど、ものの見事にコケにしてます。ま、21世紀の優等生たちなんだけど、それを隠れ蓑にして悪事をせっせと働いているわけね。時の流れを感じたのは、アイス・キューブがガミガミ怒っている上司役で出ている。「小悪魔はなぜモテる？！」」のマルコム・マクダウェルと似たようなものです。そしてなんと言ってもカメオ出演のジョニー・デップは先代ですよ。オリジナルのＴＶドラマは彼の出世作なんだそうで、嬉々としてチョイ役をやっている(「ジャックとジル」しかり)。「妹の恋人」とか「シザーハンズ」とかで認められたと思ってたんだけどねぇ。
オススメ★★★★☆
ご近所ショボ系ながら実に豪華なスタッフ、キャストが結集したエイリアン映画。スタッフは「リアル・スティール」の監督ショーン・レヴィが製作をしており、脚本は「50/50フィフティフィフティ」のセス・ローゲンが担当。特撮も発達して安価になったことだし、ファンタジーはあるし、「未知との遭遇」のパロディはやったし、このラインで展開。「ピザボーイ 史上最凶のご注文」が公開で、これがレンタル屋ストレートとは厳しい時代になったものだ。
ベン・スティラーは出演のみですから、「ペントハウス」に続いてマジ顔のスーパーの店長。「幸せの教室」でトム・ハンクスも店員に無理がありませんでしたけれど、彼も芝居に徹すると、ピッタリ。地元に密着した真面目な彼には、妻に打ち明けられない秘密があって・・・、これが最後に効いてくる仕掛け。自分の部下を得体の知れない何かに殺されて、“ご近所見回り班＝WATCH”を結成するスーパー店長。自警団のもっとずっと手前のショボイ集団なので、集まってくるのは暇人。ヴインス・ボーンにジョナ・ヒルに・・・。ヴィンスは「イントゥ・ザ・ワイルド」がカッコ良いけれど、アホなコメデイにもきちんとハマる。ジョナは威勢だけの警官なり損ね(「モール★コップ」)だけど、駒に徹している。
マジ路線の秀作インディ系(「世界にひとつのプレイブック」)とて我々の身近な場を舞台にしており、豪華な面々がこの種のコメディに嬉々として出てくるのは自然な流れなのかも。セス・ローゲンが脚本担当だけに、男の友情がしっかり根底にあってちゃんと締りがある。「SUPER8／スーパーエイト」と決定的に違うのは、“謎の政府組織”が出てこないところで、気楽に見ることができます、幽霊退治(「ゴーストバスターズ」)みたいにね。
オススメ★★★☆☆