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 才能ある新人監督を家で発見の2012年、「アナザー・プラネット」と「マージン・コール」は素晴らしい。逆引きになったけれど、この2作品のおかげで“インディペンデント・スピリット賞”を発見できた。映画好きの方にはホントにオススメできます。
(2/28/2012)

 

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  アナザー プラネット

 

 ボサっと棚を眺めてたらタイトルが気になり、パッケージを見て映っている女優で観賞決定。なんでオレはこの作品を劇場で観ていないんだろう?と違和感を覚える完全に好みの1本。雰囲気が「モンスターズ 地球外生命体」のようだなと思ったらこの監督さん1人4役(監督、脚本、撮影、編集)。自然光を活かした画面には弱くて、挙げればキリがないけれど、北野武監督作品が好きなのは“キタノブルー”が一役買っているし、「アナとオットー」なんか近いですかねぇ、最近では「シルビアのいる街で」もそうだし、映画を観ている時に味わう幸せな感覚に浸れる。ただ自然光を活かした風景だけでは今一つなので、あり得ない物体が映っている。それが空にポッカリ浮いた地球。

 

 栗本薫の短編(タイトルを忘れちゃった)に人々の物忘れが激しくなり、見上げる空にデッカイ球体が現れるというのがあったけれど、異星人との遭遇ではなく、天体となると新鮮でインディ系の物足りなさを払拭。物語の背景にSF仕立てのお話が進行しているけれど(「SUPER8/スーパーエイト」「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」)、本筋はもっと別のところにあります。この監督の実力が半端じゃないところは“喪失と再生”を物語の中心に据えている。誉れ高い大学=MITに通っていて、鼻高々の主人公ローラはわき見運転をしていて衝突事故を起こす。小さい子供も含めた3人家族のうち2人を死亡させてしまう。刑期を終えて出てきたローラは罪の意識があり、人と接しないで済む仕事(学校の清掃係)に就く。

 

 清掃の仕事をしていて、家族を死なせてしまった男=ジョンの家を訪ねるローラ。しかし言い出せずに、無料奉仕と称して彼の身の回りの世話をする。いつしか2人の距離は縮まっていくのだけれど・・・。「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は被害者の“再生と喪失”ですが、本作は「ある愛の風景」にも通じ、加害者が“負っているもの”。なかなかの人間ドラマだなと思っていると、脇で進行していた空にポッカリ浮いた地球がこの辺りから効いてくる。ぜひご覧になってご確認を。「月に囚われた男」のダンカン・ジョーンズも品のあるSFを撮りましたが、この監督マイク・ケイヒルも負けていない。

 

 映画を1人で背負っているといっても過言ではない、美人のブリット・マーリングはこの後引く手あまたになるでしょう。少なくともパッケージのジャケットを飾り、眺めた人間が手に取ったんだから。「キスト」のモリー・パーカーとか「ひかりのまち」のジーナ・マッキーみたいになりそう。ただラストはシャレなんだろうか?インディ系で申し分ないのに、大手がやりそうな感じを残している。「ピッチブラック」が発展した「リディック」みたいなことも出来るけれどはてさて。なおレンタル屋ストレートですけれど、フォックス・サーチライト社製インディペンデント・スピリット賞受賞。映画製作会社に加えて、信頼できる映画賞を思い知ることになりました。
オススメ★★★★☆

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  マージン・コール

 

 レンタル屋御用達カタログ・ビデオインサイダーで、チラっと見ただけでビビーンとくるキャスト。題材も金融危機でもう見るしかないだろう、という気持ちと同時に“一体なんでこの作品が劇場公開されなかったんだろう?”という素朴な疑問が湧き、危険信号が点滅。キャストが豪華でもズッコケちゃうのがレンタル屋ストレートの宿命で、大丈夫かなぁ、でもでもキャストは半端じゃないぜ・・・。で、フタを開けてみれば凄すぎた。新人監督にコレだけの作品を撮れる人がいるんだから合衆国は侮れない。「カンパニー・メン」「マイレージ、マイライフ」も描いてきたけれど、本作も大量解雇からお話は始まる。

 

 “金が金を産む仕事”に就いている連中が、勝手に旧世紀からパラダイム・シフトして、いい気になって頂点生活を満喫しているのは問題ない。でもアホがしくじると皆コケる世界=麗しきグローバル・ワールドだけにひと事じゃない。その渦中に在った人々を実に簡潔に、無駄を可能な限り省いて描いている。実際は数値の移動だけだから、モニターを眺めて真っ青なんだけど説得力があります。肉付けとしてスタンリー・トゥッチ、ポール・ベタニー、ケヴィン・スペイシーがそれぞれ“割り食っちゃった方”と“食わせて生き残った”会社人間に扮している。オカマチックもバリエーション(「プラダを着た悪魔」)ながらスタンリーのマジ顔は良い。ポールも天使にも吸血鬼ハンターにも化けるけれど、サラリーマン経験があったのかな?と思わせる自然さ。で、いちおう主演のケヴィンだけど冒頭は冷たいワルに見える。

 

 演技派の隠し玉は最後にヘリコプターでやってくるジェレミー・アイアンズ。差し迫った金融危機の引き金になるであろう事態を前に本音むき出しの大物。通常の映画でしたら必死で取り組んだ人々の努力の末に・・・、となりますけれど、あくまで現在の世界を露にしている。金が金を産む商売で、倫理もクソもないけれど、一線を越えていることに気がつかないし、そもそも気がついている人間を真っ先にクビにしちゃうのは死に行く組織の常。ぜひご覧になってご確認を。

 

 セリフも「ヤバい経済学」を見てワン・ランク・アップした、と思い込んでいるワシを納得させる練られたもので良かった。当の現場にいた人々が遭遇した金融危機。もちろんそれが一体どうゆうモノなのか?の全体像なんて分かりっこないけれど、関わっている人種が生々しくあぶり出されている。「プロヴァンスの贈りもの」みたいに帰農した方が賢いのだ。それにしても題材は多くの人々にアピールするし、「ヤギと男と男と壁と」「カンパニー・メン」に負けないキャストどころか、テレビドラマ「THE MENTALIST」のサイモン・ベイカー、「HEROS」のザカリー・クイントまで出ていて旬のはずなんだけど・・・。「宇宙人ポール」を観に行った時、劇場の1つを証券会社が貸切で「キャピタリズムマネーは踊る」を上映していたけれど、これはさすがに無理だろうな。才能のある新人監督を自分の家で発見とはねぇ。
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