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新海誠

すずめの戸締まり 天気の子 君の名は。 星を追う子ども           

 

 「ガルム・ウォーズ」の前にはやたらとアニメの予告があったけど、とても観ようという気にはならなかった。当たり前だが、子供向けに作らているんだから48歳のオッサンが関心を向けるわけがない。ただし、映像の迫力という点で日本アニメーションの果たせる役割は大きい。洋画漬けの人々の“日本映画ってショボい”に抵抗できるのは、「メトロポリス」の手塚治虫を祖先に持つこの表現手段なのだ。

 

 今年もし「虐殺器官」が公開されなかったら、私めの劇場アニメーション観賞は1本のみということになる(「BLAME!」はまだ未定だし)。そして唯一になりそうなのがこの人の新作で、まず間違いなく行くことになる。第一報では分からなかったけど、「君の名は。」「転校生」のリメイクでしょ、たまらんですよ。キャストも「舞妓はレディ」の上白石萌音だもんね。
(5/20/2016)

 

 現段階で新海誠という人がどういう作品を次に生み出すかは不明になった。ところが固定ファンがいるところが頼もしくて、「言の葉の庭」にも20年前に見かけたようなアニメ好きが劇場に足を運んでいる。ソフトの発売日が既に告知されていて、すぐに手に入るというのにだ。“日本アニメーションの新しい試み”に即応するように、売り込み戦略も怠らない。宮崎駿を超えるのではなく、神山健治と併走しつつ日本アニメーションの牽引役になっていくのかもしれない。確かに“おぞましい現実”がある日本だが、繊細な画で描くことができることを示しつつ、後々見ても呆れることがない作品を輩出してくれそう。まさか製作の全行程を一人でこなしたりはしないだろうけれど。
(6/12/2013)

 

 アニメーションでインディ系というのは奇異に聞こえますが、新海誠という人は後々パイオニアと呼ばれることになるかもしれない。スルーしていて損しちゃった。古くからアニメを見ていると、進化の過程をずっと見せつけられてきたわけで、内容が良くないと古いものはただの“紙芝居”になってしまいます。

 パッケージを見ただけで判断していたので、実は手を着けていなかったけれど
デビュー作からしてビックリしてしまう。2作目からは気合入りまくりで“商品”としても通用する。3作目も磨きがかかった優れもので、“SF色がなくても”というより、日常を切り取った路線に重心をおいたこの人の作品をもっと観たくなった。影響を与えた作品は年代から察すると当然のものばかりながら、傑作ぞろいといったところでしょうか。宮崎駿押井守だけでなく、「王立宇宙軍 オネアミスの翼」「トップをねらえ!」とかね。彼らを避けて通れないというよりプロのパイオニア達だからして。

 普遍性を得ようとしない心意気がなんと言っても貴重で、多産不能ながらファンはじっくり待っていることが容易に想像できる。つまりはアニメーションの映画作家で、“見上げる空”、“突き抜けるように飛ぶ飛行機”などの描写は絶品。“やけに電車が好きなんだなぁ”というのがもちろん一番強い印象。 

(5/10/2011)

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監督作

 秒速5センチメートル

 

 SF色が影を潜め、インテイメイト(親密)な恋愛劇にシフトした新海誠の劇場長編第三弾。画力が増していると感じさせる情景描写に圧倒され、無理なく時代の移り変わりを描けるのはアニメーションの特権では?と思わせる。もしこれを10代で観ていたら、間違いなく虜になってしまう、“心の1本”になった若い人は多いでしょう。

 

 オムニバス形式を用いるあたりは、なるほどこの人が映画作家たるゆえんで、似ているようでファンをガッカリさせることなく、飽きさせずに新しい作品を産み出した。スタイルは「ニューヨーク、アイラブユー」 に近くて、全体をつなげているのが山崎まさよしの名曲“One more time ,One more chance”。山崎まさよしだけでなく、リンドバーグなど監督の好きな音楽傾向にニヤニヤしてしまう。もともとアニメは手間ひまかかるものだけど、こういった方向にじっくり取り組めるのはこの監督ならではでしょう。
オススメ★★★☆☆

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  雲のむこう、約束の場所

 

 “飛翔と覚醒”がテーマの本格的な新海誠の劇場長編第二弾。オッサンキャラが充実しているので、年がイッた観客にもアピールする(昔のワシもああだったなどと思わせる部分は嬉しい)。飛ばすことに特化してしまうと、まんま「王立宇宙軍 オネアミスの翼」と言われてしまうので、監督のテイストを存分に活かしている(空の描写は前作と変わらず絶品)。スター吉岡秀隆、荻原聖人が担当の主役だけど、脇に井上和彦、石塚運昇を起用することで作品が“しまり”のあるものになっている。

 

 架空の戦後史は村上龍著「五分後の世界」であったり「人狼」だったりするわけだけど、脳内世界を持ち込んで、幼馴染の友情が絡められていくので風通しが良い。さまざまな構成要素で出来ているのに、ごく自然に観ることができるのは、やはり監督の才能ゆえでしょう。公開が2004年であるから、「時をかける少女」(アニメバージョン)はバッチリ影響下にあると言われてしまうかもしれない。既にプロ仕様になっている驚くべき作品。なお、「紅の豚」「王立宇宙軍 オネアミスの翼」「攻殻機動隊SAS 2ndGIGS」 などを参考までにどうぞ、これら先達の仕事に負けていない。
オススメ★★★★☆

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  ほしのこえ

 

 映像のクォリティに息を呑まれてしまう。コレはねぇ、劇場鑑賞のレベルですよ。ところが主人公をごくフツーの女子高生にすることで、今までとは別角度の描き方を可能にしている。これは「宇宙戦争」「クローバー・フィールド」に似ていますけれど、中心地にいないからこそ描けるテーマがある。小道具の携帯電話(メール)はまさに時代記号。未来の話だが、電話の形状がまさにそうで、その時代(製昨年)を表している。

 

 SF は確かに時代遅れが宿命なのです。「トップをねらえ!」に似ている設定ながら(宇宙と地球の時差など)、これこそがこの作品の基幹部分で、ただの自主制作の域を超えさせている。しかしそれなども実は方便で、製昨年2002年の青春映画として秀作。コレを武器に世に出ようとする度胸は映画監督の資質。
オススメ★★★☆☆

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