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森田芳光

僕達急行A列車で行こう  武士の家計簿 

 

 高校生の時「家族ゲーム」に遭遇、もちろん監督を意識して見ていたわけじゃなくて、憧れの松田優作が変身したのに驚いた。しかしこの頃から安いこともあって汚いけれど都内のちっちゃい映画館で映画を見るようになり、知った風な口を利くようになった。ビデオが普及しだしたので、「の・ようなもの」まで拝めたが、ワシにとって森田芳光監督作品のベストは「ときめきに死す」

 

 それにしても「それから」にはビックリしたけれど、アイドル映画と呼ばれていた「メインテーマ」もとんねるずの「そろばんずく」もやすやすとヒット作にしてしまう。宣伝もちゃんと引き受けていて、けっこうTVで見かけた(ただTVKの競馬中継に出てきた時は驚いたな)。落語研究会出身ゆえの「の・ようなもの」だったけど、遺作までコメディの撮り方は一貫していてアッパレ。ただ「39 刑法第三十九条」のDVDで撮った動機を話しているけれど、決して浮世離れした人じゃなかった。
(3/29/2012)

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監督作

  39-刑法第三十九条-

 

 森田芳光渾身の法廷サスペンス。これに比べると「真実の行方」はやはり合衆国映画であることがよく分かる(分かりやすく感情移入しやすい)。サイコ・サスペンスとして成立するだけでなく、日本の実態を浮き彫りにしていて、ズッシリきます。単純に心身喪失を扱っているだけでなく、虐待であるとか、ボケの始まった老いた親とか、わざわざセリフにしないで映像で魅せていく。

 

 もちろんこの作品が「ケイゾク」 に与えた影響もあるだろうし、後の「半落ち」 、「それでもボクはやってない」にも反映されている部分は見受けられる。また出演者の演技にはホントに舌を巻く。主演の堤真一は一世一代の芝居で、新劇っぽさナシでこの“サイコ・キラー”を超えるのはたやすくはないでしょう。精神鑑定をする鈴木京香にしても美貌を封じ、神経質だが、真実に迫ろうとする情念が感じられる。更に彼らを浮き立たせるためにも脇役が凄くて、弁護士役の樹木奇林、検事役の江守徹、鑑定医の杉浦直樹は完全に化けている。ルーティン・ワークとして案件をこなしているかのような、“よくいる人々”。これはモーガン・フリーマンの起用例に似ていて、森田芳光監督が演技巧者に“おまかせ”することなく、キッチリ指導をしていた“あかし”。劇場で観たとき、最も印象的だったのが岸辺一徳扮する“現場の刑事”。明文化されない真実=事実に近い、いかにも日常的に“いやなもの”を見続けてきた男になりきっている。

 

 公開されたのが1999年で、もちろんその当時“サカキバラ事件”は生々しかった。「機動警察パトレイバー2 the movie」ともども、キチンとした映画を“変わり者”監督は撮ってしまいます。TVの2時間ドラマに恐ろしく似ている構造なのに、まるで別物。ただ悲しいことに忘れ去られるのも早く、観に行った劇場はもうなくなっているし、この作品でなされた問題提起はぜんぜん活かされていない。ただTVのニュース見るよりぜんぜん役に立つし、何のことはない森田芳光監督はちゃんと時代を切り取っていたのです。
オススメ★★★★☆

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  そろばんずく

 

  公開当時“お笑いコンビ”として人気急上昇だったとんねるず。その後の活躍は周知の事実で、彼らを“彼ら以外”のキャラクターとして映画にしている稀有な1本。バブルそのものを完全にコケにしているだけでなく、“社長シリーズ”へのオマージュは大爆笑(三木のり平と小林佳樹ですよ)。その年の干支も使って、まさに日本映画のコメディにふさわしい。また小林薫が炸裂で、「ふぞろいの林檎たち」が大好きだった、世の女性たちを嘆かせたキャラクター=天神が凄い。あのとんねるずを押しまくるんだから、「まわせ、まわせ」のところはホントに可笑しい。更にやたらと広い原っぱで、ワケの分からん新人研修していたりして。基本的に日本映画は尊重している森田芳光、“遠山の金さん”、“忠臣蔵の大石内蔵助”をラストにもってきて盛り上げる。もちろんただの大爆笑だけで終わらず、ロマンスが生まれたんだよねぇ。
オススメ★★★☆☆

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  それから

 

 文学部を受ける受験生が覚えなくてはならない項目で、取り上げられる夏目漱石の「三四郎」、「それから」、「門」。10代のガキに読んで分かる内容ではないから、ただ覚えるしかない。もちろん試験に受かりたいから読んだわけではないけれど、ピンとくるはずもなし。ただこの映画を観てびっくりしたのは、原作が完全に再現されているように見えたこと。賞を獲得した小林薫扮する平岡だけでなく、藤谷美和子も漠然としたイメージを固定させるには十分。そしてもちろん主役の松田優作の変貌ぶりはアッと驚いた。チョッとでもそれまでのイメージ(アクション俳優)が喚起される芝居をしてしまっては、“無色透明で無気力な主人公”=代助が台無しになってしまう。見事に煮え切らない高等遊民(これも死語か)になっていた。

 

 村上春樹氏も以前エッセイで(タイトル忘れちゃった)、「明治の文学読むと松田優作の顔が浮かんでくる」と書いてあったけれど、無個性ゆえに強烈でした。 さすが“明治の文豪”夏目漱石だけあって、主人公の脇で進行する世相は今とちっとも変わっていない。21世紀になっても日本人は進歩どころか中身は・・・。ただ文豪が追求したのはもっと別なことで、「身を裂く想いとは何ぞや」だろうことは中年になってやっと分かるようになってきた。それぞれのキャラクターが“装置”として巧妙に配置されていて、単なる“よみもの”以上の不変性がある。ま、つまりは文学作品なんですね。文学は年月を要するし、この作品も分かるまでには“経験”を要する。しかし残念ながらそこらのレンタル屋にないんだよなぁ。
オススメ★★★★☆

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  ときめきに死す

 

 森田芳光監督の作品で一番好きな1本。ミュージシャン:沢田研二を役者にして上手くいっているのはコレと「魔界転生」 「太陽を盗んだ男」だと思うけれどいかがでしょう。全編ジュリーはほとんど喋ることなく、頼りない子供のよう。対して“歌舞伎町の医者”杉浦直樹が甲斐甲斐しくも世話をするんだけど、2人の間に張り詰めた緊張感はなかなか。そこへ“組織”が派遣する樋口可南子が現れて、ホントに微妙な変化が現れるんだけど、実に形容しがたい雰囲気。無機質な室内描写といい、80年代に“オシャレ”とされた画面といったらよろしいんでしょうか、この人間味がない作品世界は大好き。しかしそれを際立たせるための“人間らしさ”そのものの杉浦直樹は生々しくて、張り詰めた緊張感を一気に現実に引き戻す。実際原作では彼の視点で語られるわけですから。もしジュリーを超えるだけの透明感をもった美青年が現れたら、リメイクしてもよいのでは。韓国の映画監督呼んできたりしてね、素材としては申し分ないんですから(ま、無理な相談か)。
オススメ★★★★☆

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