監督作

 

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是枝裕和

ベイビー・ブローカー 真実 マイスモールランド 万引き家族 海街diary   

in 2016

 

 「海街diary」の広瀬すずちゃんは、あっと言う間に主演作「ちはやふる」をかっさらってしまった。新作の「海よりもまだ深く」は予告編から察すると「歩いても 歩いても」に直結する内容に見える。ま、「そして父になる」「海街diary」とシリアス寄りだったから、コメディにシフトしたかったのか。常連さんを飽きさせないのは、戦略としてアリ。ただしヒットして売れる作品を作れる顔を持ちながら、この人の本性は次の「いしぶみ」にありそう。

 

 TVニュースはダメでしょ、新聞も電通が圧力かけるでしょ、だったら映画を通じて知るしかない。合衆国大統領が広島を訪れるということだけど、第二次世界大戦は未整理のまま放置されている。この人がプロデュースした「家路」にしても、東日本大震災によって引き起こされた、原子力発電所の事故を“伝え、残す”機能を備えている。どうも“戦争が起こりそう”と嫌な予感は大勢が共有している昨今。そんな時に“立ち止まって、考えさせてくれる”作品は重要。
(5/19/2016)

 

in 2014

 

 昨年が「そして父になる」で今年は企画協力の「家路」があった。この人が吉田秋生原作の「海街diary」」を映画化するという一報が入って、狂喜してしまいますね。「カリフォルニア物語」から大好きだった漫画家の映画化を観賞最優先の監督が手がけるなんて。さっそくWikipediaで確認すると、7巻まで刊行とある。3巻までは追っかけてたけど、しばらく書店に行ってなかったんだねぇ。
(11/26/2014)

 

in 2013

 

 振り返ると、「奇跡」の公開自体が奇跡的だったことにいまさら気がつく。この人は子供に向ける眼差しが優しいだけに、現代の日本を鋭く切り取る。周防正行が「終の信託」を撮ったけれど、「そして父になる」は我が国が世界に出して恥ずかしくない作品。それだけでなく、“世界が待っていた作品”と言えるものになるだろう。世界が待っているということは、TV宣伝(ニュース、ドラマ)に曇らされたメガネを見事洗い流してくれることになり、それは決して心安らかになる体験ではない。「遺体 明日への十日間」、周防正行の3作品(「それでもボクはやってない」「ダンシング・チャップリン」「終の信託」)、「JAPAN IN A DAY ジャパン イン ア デイ」の亀山千広がプロデューサーで、TV局の社長でありながら、肝心な日本映画を残すキャリアを積んでいる。
(8/16/2013)

 

最優先監督監督


 まずデビュー作「幻の光」にビックリしてしまって、以後はついつい観に行く監督の1人になった。もちろん期待もするけれど、スカされるのでお気に入りの映画作家ということになりますか。特徴はもう出演している子供たちが活き活き映っているのが第一にあります。しかしながら世間一般に周知されることになったのは「誰も知らない」で、とてつもなくハードだった。でもその次には「花よりもなほ」でホッとさせてくれたりして。映画監督になる前はテレビのドキュメンタリーを手がけていたそうで、その手腕は「大丈夫であるように−Cocco終わらない旅−」でも発揮されました。「空気人形」は新境地開拓でエロティックな描写まで手に入れた。現在(2011年)この人か北野武押井守荻上直子が要注目の監督さんたちで、日本映画の現状を嘆くどころかこの人たちの次回作は常に楽しみ。ついに固定客だけでなく、広範囲の人々を感動させる傑作「奇跡」を撮った。
(8/2011)

 

 

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監督作

  DISTANCE(ディスタンス)

 

 前々から気になるタイトルだったけど、レンタルではVHSしかなくて、ブック・オフで中古DVDを見つけてやっとの観賞。是枝裕和の監督第3作目で、前作の手法を用いているけれど、題材が“手を着けるには勇気のいる”内容。この人の作品は好きだったのに、見逃していたのが実に悔しい。目を皿のようにしないと情報獲得は無理というわけか・・・、ではなくて一般的には歓迎されないかもしれない1本。そのひとつが全体のトーンで、それは前作と変わらないけれど、作品の中ではテーマを明確にしていない。

 

 明らかに“オウム真理教による無差別殺人”がモチーフなのに、関係者それぞれの視点から“事件を浮き彫りにする”という紋切り型のものではなくて、もっと広範囲で深さを感じる。あの事件を二極対立の構造で捉えてしまうと、本質が見えてこない。村上春樹氏の「アンダーグラウンド」は被害者の方にインタビューを行っているわけですけれど、この作品には加害者家族と、当事者ながら教団から脱走した人物が登場する。監督の意図しているのは恐らく、“事件を風化させないため”もあるけれど、映画の機能“伝え、残す”を用いて、現在(2001年)の日本を刻んだのでしょう。

 

 出演者はもう今(2011年)となっては実現不可能なくらいの人々が集結している。「バスキア」とか「エリザベス」がそうであるように、後々とんでもない豪華共演になってしまうミニシアター系の典型です。前作に続いてARATA、伊勢谷雄介、寺島進が出ていて、後に「歩いても 歩いても」にも起用される夏川結衣、浅野忠信までが主要キャスト。それだけじゃなくて津田寛治もまず分からないようにチラリと出てくるし、遠藤憲一は寺島進ともどもプロの役者の“らしさ”を見せる。

 

 それにしても主要キャストは全員美男美女なんだけど自然な芝居というか、小声でやけに普通に見える仕草を心がけているみたい。「鮫肌男と桃尻女」の2人(寺島進&浅野忠信)が並んでいても静かな雰囲気はそのまま。芸達者な出演者に助けられ、デリケートな手を着けるには勇気のいる題材に、旧来の図式に陥ることなく挑んでいった是枝裕和の野心作。  
オススメ★★★★☆

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