ハンス・ジマー
ドイツ出身のこの人は今年(2013)売れっ子。「ローン・レンジャー」、「マン・オブ・スティール」、「ヘンゼル&グレーテル」とたて続け。知名度が高い聴き覚えのあるテーマは「パイレーツ・オブ・カリビアン」がそうだけど、「レインマン」も染み入ってくる曲だった。ロン・ハワード、トニー・スコット、クリストファー・ノーランにもお任せされる人で、「ワールド・アパート」辺りから知らずにこの人が担当していた映画を観ていたわけだ。壮大で重厚なスコアもお手のもので、史劇的コスプレもいけるんだけど、「フロスト×ニクソン」とか「僕が結婚を決めたワケ」など控えめだったり、さすがです(当たり前か)。
(7/21/2013)
音楽担当作
IMDbで見かけて予告編から劇場での観賞を楽しみにしていたら、なんと倉庫でパッケージソフトを見つけて唖然。戦争映画というより私めにとっては、ニュースに感じる内容。もちろんマイケル・ベイの派手なアクションは健在なんですけれど、リビアに関しての情報は全く持ち合わせがなく、せいぜい“カダフィ大佐が殺された”というヘッドラインのみを記憶していることが原因。
“リビアが空爆されている”こともニュースなんですけれど、さすがは“軍隊と仲良し”の監督さんだけあって、手持ちの情報を惜しみなく提供してくれた。冒頭に“2012年当時、米国の外交拠点は世界に294、12ヶ所ある危機的な危険地帯のうち2ヶ所がリビア”とある。4年後ながら我々はその現場を目撃することになる。もう「ヨルムンガンド」のお陰なんだけど、正規兵では物語に説得力がなくなった。
「ハートロッカー」、「アメリカン・スナイパー」をご覧になっている方でしたら、本作で展開されている事に違和感はないでしょう。独裁体制が崩壊しても、ただ無秩序になっただけで、9.11以来どれだけ世界が荒んでいったかの動かぬ証拠でもある。同時に武器だけが進化していることも読み取れます。大使館を守るという内容ですぐに思い当たるのが「英雄の条件」なんですけれど、少数精鋭でなんとかなるのが驚き。
「ブラックホーク・ダウン」とて命からがらという印象があったのに、領事館を包囲されても兵士たちは的確に敵を倒していく。もっとも多勢に無勢は後々になって致命的になり、ラストは・・・。ぜひご覧になってご確認いただきたいんですけれど、たとえ兵器が最新でも“最後は人頼み”というのは実話なれど真実。CIAの秘密基地だけに正規軍動かせなくて、ドローンも役立たずとは失笑。アレって標的殺人しかできないねとは「ドローン・オブ・ウォー」をご参考までに。
オススメ★★★★☆
「トレーニングデイ」、「キングアーサー」のアントワーン・フークアが正攻法で臨んだ戦争映画。もちろん正規の戦争ではなくて、紛争地域から合衆国の民間人を脱出させるミッションが描かれる。紛争地域はナイジェリアで、「ブラッドダイヤモンド」や「ロード・オブ・ウォー」と平行してご覧になると、混沌としたアフリカが見えてくるかも。危険地域から民間人を脱出させるミッションは「英雄の条件」でも描かれますが、従事するのは精鋭である海兵隊。隊長に扮するのがブルース・ウィリスなので、派手な戦闘やアクションヒーローの展開が予想されましたが、さにあらず。
監督に従軍経験があるかは分かりませんが、かなり抑制された演出で劇映画としても成立させている。もちろんそのための仕掛けがあって、ぜひご自身でご確認を。海兵隊員に扮した役者はみな精悍で、無口な風情がピッタリ。ま、迷彩のメイクしちゃうから最初は分からないんだけど、皆さん実力者って感じ。ブルース・ウィリスは渋い演技を披露、ぜんぜん色気も美貌も封じているモニカ・ベルッチも良かった。コレだけダイナミックな演出も難なくこなすんだから、やはりアントワーン・フークアは実力者。
オススメ★★★★☆