ウィル・スミス
「フォーカス」では詐欺のチームを率いる男がハマっていて、「オーシャンズ11」のジョージ・クルーニーっぽくなってきた。ミュージシャン出身という履歴はもう若い人には信じられないかもしれない。出れば当たるスター(「アイ・アム・レジェンド」)から、兄貴肌が板についてきた。ひとつ前がほとんど友情出演の「ニューヨーク/冬物語」で、サタンだったかな。厳しい父親役(「アフターアース」)から包容力まで垣間見せ、次なるステップへ。
極貧から這い上がる男や自らの臓器を人々に役立ててもらうため命を絶つ男など、お芝居の方も堅実にキャリアを築いてきて、裏方としても「アニー」を世に出している。彼に先行するのがデンゼル・ワシントンで、続いているのがジェイミー・フォックスは勝手な解釈なんだけど、「イコライザー」みたいな作品で渋さを見せてくれるかもしれない。今回の新作はなんとなくそのステップに感じる。
(5/5/2015)
この人の知られている方(媒体の露出品度が高い)はよく観ていてアレとかアレとか、その立ち位置でのメガネ(偏見)から判断していた。ところが「アフター・アース」→「幸せのちから」を連続して見ると、合衆国で重要視されるのも納得の映画人に思えてくる。大通り作品だと宣伝を買って出て、世界中をドサ回り。でも製作では出自(アフリカ系)を忘れず、「リリィ、はちみつ色の秘密」を手掛けている。
どうしてもスターに見えるのは、“定番の役”がそうさせるので、ロザリオ・ドーソン(「7つの贈り物」)、タンディ・ニュートン(「幸せのちから」)、ソフィー・オコドネー(「アフター・アース」)、と共演してもコマーシャルな感じがしない。そういや「再会の街で」の芝居も絶品の美人の奥さん=ジェイダ・ビンケット・スミスと共演したことあったっけ?・・・、データを漁ると「ALI
アリ」と出ている。まだ見ていないんだよな。息子のジェイデンは立派に成長したし、言うことなしですな。
(6/27/2013)
ヒップ・ホップアーティスト(DJジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス)出身で、役者に転身した人としては最も成功している。「テイカーズ」のクリス・ブラウンなどは果たしてどうなるのかな?出れば当たる映画に恵まれ(「インデペンデンスデイ」、「アイ・アム・レジェンド」)、ヒットシリーズを2本持っている(「バッドボーイズ」、「メン・イン・ブラック」)。更にプロデュース業に唸る作品があって侮れないし(「リリィ、はちみつ色の秘密」)、「Black&White/ブラック&ホワイト」まで手掛けている。
奥さんが美人のジェイダ・ジャンケット=スミスで、「再会の街」の彼女がとにかく好きなのだ。この人の感動作「7つの贈り物」、「幸せのちから」を未見なのでその魅力すべては分からないけれど、茶化されている「世界で一番パパが好き」にチラリと出てきて、いいところをさらう。またその時のセリフに込められていたのは、案外本音なのかもと思わせる。今のところお気に入りはなんと言っても「ハンコック」で、まさかのシリーズ最新作はどうなるのか?映画人としてジャッキーさんの出演作「ベストキッド」を製作して息子まで出演させられたんだから、サクセスフルな人です。
(5/27/2012)
出演作
ウィル・スミスを侮っていた上質の感動作。予告編で“金の話”かと思っていたけれど、“命の話”だった。「わたしを離さないで」、「私の中のあなた」と相対する角度から問題提起をする作品。詳細に触れると台無しになってしまいますので割愛しますが、21世紀に必要な1本です、ぜひご覧になってご確認を。監督がイタリアの人なので、欧州の血が入ると合衆国映画でも出でいる人々が自然に、美しく映る。撮影がなにせ「プロヴァンスの贈りもの」の人だから、画は完全にストライク・ゾーン。
もちろん出演している面々もいつもと違う顔をしていて新鮮。ウディ・ハレルソンやバリー・ペッパー(「バトルフィールド・アース」)なんてB級にも出るけれど、この手の感動作だとごく普通のハンサムに見える。更に本作がステップ・アップに繋がったと思われるのはマイケル・イーリーで、「セントアンナの奇跡」→「テイカーズ」ですから弾みがついた。また画面の隅だけど「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のオクタヴィア・スペンサーまで、公開(2009)から3年経つと発見が多々ある秀作です。もちろん今後もっと株が上がっていくかも。
そしてなんと言ってもロザリオ・ドーソンが儚くも美しい。「アンストッパブル」の凛々しさとはまた一味違う魅力全開で、スター!ウィル・スミスと切ないラブストーリーを繰り広げる。ウィル・スミスも「ハンコック」と同じ時期だけどやりますね、寡黙で思慮深い顔をするとサミュエル・L・ジャクソンに似てくる。「ジョー・ブラックをよろしく」のブラッド・ピットは国税局の名を騙るけれど、「主人公は僕だった」にしても“金にまつわる役人”だけに、合衆国の深刻さが浮き彫りになる。“底辺の人”という雑な括りではなく、実際に存在する困っている人々を描くにはこのキャラクターが最適だった。ウィル・スミスの感動作は見逃していたけれど、なるほどただガッポリ儲けただけではない、彼の側面を垣間見ることもできます。
オススメ★★★★☆