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フィリップ・シーモア・ホフマン

ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション 誰よりも狙われた男 25年目の弦楽四重奏 ザ・マスター          

 

 この人の訃報に接してまず何をしたかと言うと、「ハンガー・ゲーム3」の確認だ。“人としてどうよ、その行動”と突っ込まれるかもしれないけれど、役者さんと観客の関わりはあくまで劇場に限定される。この人が得難い俳優であることは、インディ系の作品群で証明済み。「ザ・マスター」のポール・トーマス・アンダーソンなどは、かなり困ることになるだろう。松田優作が亡くなった時も“もったいない、なんで?”が正直なところだ。悲しみより彼の不在によるポッカリ空いた穴を、これから数年かけて思い知らされるんだなぁ。同じ年だから余計そんな風に感じる。昨日トニー・スコットが残した仕事「ザ・イースト」を観たばかりなのに、そりゃないよ。
(2/3/2014)

 

 最初に観た時は気がつきませんでしたけれど、冒頭に登場する「ワンダーランド駅で」で存在感を示していた幅の広い演技巧者。オスカー受賞の「カポーティ」がお墨付きを与え、超大作の「M:i:3」トム・クルーズの引き立て悪役、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」トム・ハンクスジュリア・ロバーツに負けず劣らず楽しませてくれる。以後は引っ張りダコというかお任せされて、英国に招かれても、ジョージ・クルーニー政治映画に出ても、ブラット・ピット共演しても申し分なし。好きなのは「マイライフ、マイファミリー」とか「マグノリア」の感じで、静かなインテリ風がよく似合う。「ザ・マスター」ホアキン・フェニックスとの2人芝居で監督ポール・トーマス・アンダーソンの信頼にも応えている。変幻自在で実力派の監督にもモテモテだから次が予測不能。
(4/2/2013))

 

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出演作

25年目の弦楽四重奏  25年目の弦楽四重奏

 

 フィリップ・シーモア・ホフマンが亡くなったと報じられた日(2/3/2014)にコレを見ている。彼の死がこの作品に導いてくれた、と勝手に思い込んでその死を見送ることにした。「オーケストラ!」へのアメリカ映画の回答がこれだ。自然な感じでニューヨークにベートーヴェンが鳴り響く。映画好きにとっては豪華な共演で、フィリップだけでなくキャサリン・キーナーとクリストファー・ウォーケンも出演。

 

 「マイライフ、マイファミリー」などがそうだけど、演技派女優とインディ系でフィリップが見せる自然な芝居にホッとする。「キャプテン・フィリップス」も出番は少なかったものの、キャサリンは年を重ねた、疲れた表情を隠さず素晴らしい。クリストファーも「ディア・ハンター」から幾年月、パーキンソン病を告げられる老人を、絶品の芝居で見せてくれる。

 

 そして「メイジーの瞳」が一昨日なので、フィリップ演じるロバートとキャサリン演じるジュリエットの娘が、母に投げつける激しい訴えが心に響く。今までだったらアンサンブル劇の1シーンに過ぎないけれど、刻みつけられる。娘役のイモージェン・プーツはただの美人では終わらない女優になるでしょう。また彼女が接近する第一バイオリン奏者のダニエルに扮したマーク・イヴァニールは天才肌の音楽家が良く似合う。

 

 多民族国家だけに、アメリカ人が好んで聴いているのは派手な商業ロックばかりではあるまい。むしろ10年くらい前にかの国に行ったら、CDショップの棚はカントリーで占められていた。もちろんクラシックのファンも確実にいて、「ミュージック・オブ・ハート」がそれを証明。ジュリアード音楽院に行ってても、ホームレスになっちゃう人もいる。

 

 映画では音楽がドラマを盛り立てるが、本作は人々が織り成す生き様がベートーヴェンの楽曲を彩る。実力者で固められたインディ系だけに、欧州産の音楽映画に一歩も引けを取らない。アメリカ映画って役者の層が暑いんだな、と改めて感心してしまった。本作の芝居を見て、やはりフィリップ・シーモア・ホフマンは得難い役者だったと再認識、惜しい人を亡くしてしまった。
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 ブギーナイツ

 

 監督2作目にしてアカデミー賞にノミネート、大挙してインディ系のスターが結集。ジュリアン・ムーアを筆頭に、ドン・チードル&ルイス・ガスマンの「トラフィック」コンビ。バート・レイノルズも渋いし、前作からの継続はジョン・C・ライリーだけかと思いきや、フィリップ・ベイカー・ホールが“待ってました”って感じで登場。ヘザー・グレアムも「フロム・ヘル」の前で、役の感じは「ハングオーバー」へと継承ですな。このパターンはクエンティン・タランティーノのようですけれど(「レザボア・ドックス」→「パルプフィクション」)、堂々たる貫禄とでも言いますか、揺るぎない独自路線を貫くポール・トーマス・アンダーソン。マーク・ウォールバーグが役者として成長できる素質を持っていることも同時に証明している。別段デカ××をご開陳するからではない。

 

 タイトル通り音楽映画の体裁を持っているようですけれど、ありがちな青春と挫折のパターンを、スカしていて爽快。「ロック・オブ・エイジズ」と見比べれば一目瞭然で、描かれている世界は裏通りのポルノ映画界。濡れ場を撮影している面々の表情は、まるで自分の間抜け面を見せられているようで、苦笑い。ヤッてる最中でフィルム交換が何より時代記号で、延々とカメラ回せる21世紀とは違うことを示す。それだけでなく、70年代と80年代の境を、映画をめぐる環境を交えて描いて見せてくれる。劇場だけが鑑賞の場だったのに、儲けられるということでビデオが台頭。まるで山本晋也の番組(トゥナイト)を見せられているような突撃エロ番組は我が国にもありました。

 

 フィリップ・シーモア・ホフマンは完全にいがちな脇役なんだけど、ポール・トーマス・アンダーソン作品の中で徐々にステップ・アップしていくのだな(前作→本作→「マグノリア」「ザ・マスター」)。群像劇処理をロバート・アルトマン風にはしていないし、現実を“済ました顔”で描くのはもっと先でいい。アメリカを冷静に、正確に描く手腕は並大抵ではなく、マーク・ウォールバーグの髪型が「スターウォーズ」のマーク・ハミルか「ロッキー3」シルヴェスター・スタローンを思わせてニヤニヤしてしまう。パッケージソフトの時代が今まさに終わろうとしているだけに、80年代にあった淘汰の時代を見せられると感慨もひとしおです。今年(2013)はレンタル屋の閉店が相次いでいるのです。
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