マリサ・トメイ
この人のキャリアもいつの間にか充実しておりましたな。ダーレン・アロノフスキーに好かれていることは「レスラー」で証明。「ラブ・アゲイン」、「ハート・オブ・ウーマン」などコミカルな役は守備範囲内ながら、ジョージ・クルーニーは「スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜」でかなりシリアスな役をお任せしている。新作の「Re:LIFE〜リライフ〜」も楽しみだ。
ぜひ初期の作品をオススメなんですけれど、後のレパートリィをたいていやっている。「忘れられない人」、「いとこのビニー」、「ウェルカム・トゥ・サラエボ」などがそれで、悲劇のヒロイン、コミカルな姉さん、真実を求めるジャーナリスをそれぞれキッチリ演じている。ですから女優としての成長度合いは「酔いどれ詩人になるまえに」とか「僕の大切な人と、そのクソガキ」ってことになりそう。
(11/14/2015)
出演作
マリサ・トメイを語るなら、まずこのストレートなロマンティック・コメディからいかないといけません。危ない危ない、涼しい顔して「忘れられない人」、「いとこのビニー」だけで済ませてはいけない。彼女が出てきただけで「ワォ!若き日のマリサ・トメイはアン・ハサウェイもビックリのキュートさじゃないか!たまらんじゃないか」となります。なにせショート・カットの女性にめっぽう弱いんです。
ジュリア・ロバーツにはもちろん「プリティウーマン」、サンドラ・ブロックにはもちろん「あなたが寝てる間に」があるように、マリサにはコレが欠かせない。結婚直前だというのに運命の人デイモン・ブラッドリーを追っかけて、ベニスにすっ飛んでいくとは映画ならでは。空港のシーンなどはキャメロン・ディアスの「ナイト&デイ」などもパッと思いついたりして。
ベニスの描写は当たり前ですけれどロマンティックに描かれている。「ツーリスト」、「アンナ・オズ」と見比べるのも一興。そして追跡はローマにいたり嫌でも気がつきます、本作は「ローマの休日」に挑戦しているのです。ウディ・アレンの「ローマでアモーレ」も参考になりますけれど、熱病=恋が発症しやすい土地柄。今ではアイアンマンですけれど、しがない青年が良く似合うロバート・ダウニーJr.がお相手とは贅沢。
凄い、映画って良いなぁ、最後まで映画だったなぁ、と思わせるのはクラシカルな劇判のなせる技か。昨今ないなと嘆く前に、「飛べないアヒル」など90年代なら未だ許された大雑把さは得難い。デートムービーをお探しのあなた、コレです、コレしかない。マイケル・ボルトンの主題歌Once
In A Lifetimeも笑っちゃうくらいあの頃を象徴している。ボビー・コールドウェルとかデヴィッド・フォスターがまた聴きたくなる。
オススメ★★★★☆
受難の男を演じさせると、格別な味を醸し出すたアダム・サンドラー。エライ目を被るという役は「LIFE!」のベン・スティラーも似合いますが、ユダヤ人ならではの差別ネタを平気で入れちゃう。ハッキリ言って下品だし、不謹慎なんだけどたまに見たくなる。偽善がまかり通っている今だけにね。で、「パンチドランク・ラブ」と似たような時期に、似たようなマジメ男を演じているアダム。
ただしインディ系のアチラとは違ってコチラは豪華なキャスト。まず大御所ジャック・ニコルソンが文句ナシなんですけれど、ジョン・タトゥーロ、ルイス・ガスマン(「トラフィック」をぜひ)という通な布陣を敷いて、ウディ・ハレルソンにドラッグクイーンを演じてもらったり、「ハードエイト」がオススメですが、アレでマリサ・トメイと共演しているジョン・C・ライリーに尻出させたり、ヘザー・グレアムなんてまんま「ハングオーバー」が流用しているようなキャラクター。
ジュリアーニ市長も出てくるし、怒りのテニスプレーヤー=ジョン・マッケンローなどが辛うじて認識できる程度の私めなんですけれど、他にもカメオ出演は凄いみたい。監督は後に「リベンジ・マッチ」を撮るピーター・シーガルなんだよな。そんな中でマリサ・トメイがきっちりヒロイン。「僕が結婚を決めたワケ」のジェニファー・コネリーと変わらない定番なれど、彼女でなければ。
「Re:LIFE〜リライフ〜」のマリサに物足りなさを感じたら、ぜひコチラをお試しいただきたい。今(2015)気がつくんですけれど、公開されたのが2003年で舞台はニューヨーク。ここが肝心で、ワールドトレードセンターが消失している景色が刻まれ、怒りを管理=anger
managementがテーマですから、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」と対をなしていると勝手に解釈。「再会の街で」の主演アダム・サンドラーだけに。
オススメ★★★★☆