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テーマ映画館と私

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  ビリーブ 未来への大逆転
 
実在する偉人にしてヒーロー、
ルース・ベイダー・ギンズバーグ
「ビリーブ 未来への大逆転」
裁判モノでサイコーにエキサイト、
ホントは難しい論戦が展開しているのに、
スポコン映画さながらに勇気百倍。


ビリーブ 未来への大逆転

関連テーマ  偉人伝  家族の絆  ギャガ(GAGA)  原作とは?part2


 横浜のムービルで「アマンダと僕」観賞後、さっさと相鉄線に乗ってあつぎのえいがかんkikiに向かう。もうそろそろ丸一日寝ていないにもかかわらず、期待して間違いなしの法廷劇。昨今、男が主人公だった場合「ジャッジ 裁かれる判事」になりますが、「ア・フュー・グッドメン」「評決のとき」から月日は経っております、女性が主役でなければ現実的ではない。「リーガル・マインド~裏切りの法廷~」のダメ女より強力なルース・ベイダー・ギンズバーグが描かれているわけですから、勇気百倍の実話。

  RBG 最強の85才   


 人物に関しては既にドキュメンタリー「RBG 最強の85才」で観ていて、彼女が携わった案件のいくつかは頭に入っている。料理する監督がミミ・レダーで、間に家で見た「ザ・エッグ/ロマノフの秘宝を狙え」が入りますが、「ピースメーカー」、「ディープ・インパクト」から20年が経過。この人の描き方は好きだったし、手腕は手堅いと思うがどうか。RBGが担当した件のどこに焦点を当てるかは脚本のダニエル・スティエプルマンによるところも大きいでしょう、実の甥なんだそうな。

  グリーンブック   

 まず、若きルースがハーバードで目にした“弱い男の特権世界”が描かれて、就職でも差別されて、弁護士はダメだから学校の先生に落ち着く。「ドリーム」「グリーンブック」も参考になりますけど、人々の頭の中は差別を認識できていない時代。ある年代にはこびり付いていると「運び屋」クリント・イーストウッドは涼しい顔で描いたし、たばこの描写はかなり強調されている。この人が見てきた合衆国の歴史は半端な量では収まらないので、赤狩りの部分は触れられていない。やるとなったらTVシリーズ化になります。

 宣伝する必要があるから、“女性の権利を勝ち取る”になりますが、ホントはあって当然なのに、頭の固い連中が、先例にしがみついて死守している迷信を、打破する戦いの物語。よって、主軸を“男が介護補助を受けられない”という案件に絞っている。これはね、男である私にとって他人事じゃないんですよ。今まさにその渦中にあるわけで、“男は外に出て稼ぎ、女は家を守って”などという不文律が、悪臭を放つ残飯のように、はびこっていたらと思うとゾッとする。

 本作とドキュメンタリーどちらもリリースされたら並行観賞してみたいものだ 、50年代以来のアメリカ史としても為になる。物語として楽しめるのは、彼女のプライベートな部分。OK取っているんでしょう、気さくだけど先が見えているご亭主も、娘との関係もけっこう突っ込んで描かれている。信頼が基礎にある家族のお話としても成立するとは贅沢だ。そしてフェリシティ・ジョーンズとアーミー・ハマーの身長差は、観客に小柄な彼女を印象づけます。


 フェリシティは「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー」が勇ましく、「インフェルノ」は美しかったけど、だんだん本人に似てくるのが凄い(「今日、キミに会えたら」の可愛さはオススメ)。チョッと「ジェイソン・ボーン」のアリシア・ヴィカンダーと区別つかなくなっていたけど、代表作になりましたな。アーミーもヒーローになったり、サイボーグみたいだったり、持ち味はゲイっぽさだけではない(王子様とてレバートリィ)。知的な夫婦の信頼と、得難い友としての側面も作品に刻んでいるし、相性は悪くないですな。



    


 脇も豪華で今やキャシー・ベイツは大御所なのね、「ミッドナイト・イン・パリ」以来ですかねぇ。この手の役はヘレン・ミレン(「アイ・イン・ザ・スカイ/世界一安全な戦場」)、メリル・ストリープ(「未来を花束にして」)などがハマってきている。悪役は「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のオッサン連中同様にやる気満々のサム・ウォーターストン。「女神の見えざる手」にも嬉々として出てきたこの人、履歴を漁らないと「キリング・フィールド」のシドニー・シャンバーグだと気がつかないとは衰えました。この人の「LAW&ORDER」もオススメ。悪役やる人は問題に関して深くコミットしている場合がある。


    


 
  
 法廷劇だし、専門用語が連発されるし、飽きて当然なのに、ぜんぜん眠気なんて襲ってこなかった。なかなかの配分で、「ロッキー3」のラストみたいにガッツポーズです。さすがの手腕ながら、彼女はリスベット・サランデル同様に現代に求められるヒーローでしょ。そしてもう一発仕掛けがあって、ぜひご覧になってご確認を。思わずおおっと唸ってしまいました。ワイン映画のベストが「おかえり、ブルゴーニュへ」に更新され、本作は裁判劇のベストになった。

現在(6/25/2019)公開中
オススメ★★★★★
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タッカー
 
                 

    「デッドゾーン」同様に観た人から熱心に勧められていた1本。なかなかDVD化されずに、とうとう2019年になってしまったが、期待を裏切らない凝縮した作品。「スターウォーズ」以外でLUCASFILM Ltdのクレジットがある作品は初めてだ。「イメージの本」のパンフレットで「出来事の中で興味深く感じるのは、成されたことだけでなく、成されなかった事でもあるのです」とジャン=リュック・ゴダールは記者の質問に応え、内田樹氏のブログには“並行世界について”と題して近いことが記されている(と勝手に思ってます)。

   イメージの本

 イケイケどんどんの車好き経営者プレストン・トマス・タッカーを、3大メジャーが潰さなかったら、アメリカ自動車産業は敗戦国の車に乗らなくて済んだかもしれない。劇中でタッカー氏が宣言していることは後に現実化してしまっている。周囲の妨害に遭遇してもめげずに突き進む、似たような素っ頓狂はもちろんハワード・ヒューズ。フランシス・フォード・コッポラの描き方と「アビエイター」のマーティン・スコセッシとを見比べるのも面白いなと思っていたら、出てきちゃうので爆笑。

 ただし、大金持ちでトチ狂ってるハワードとは違って、明るいタッカー氏は夢の実現が全て。差別なんてみみっちいことには目もくれず、当時はジャップと呼ばれていた敵国人ですら、参加させてしまう(「キャデラック・レコード」のレナード・チェスみたい)。設計部長役のイライアス・コティーズは切れ者風で、「恋しくて」とご一緒にいかがでしょう?クリスチャン・スレイター(「忘れられない人」)は幼かった。

  

 ジョーン・アレンも今でこそお祖母ちゃんですけれど、「ボビー・フィッシャーを探して」のお母さん役より、肝が据わっている経営者の妻。奥さんが旦那と夢を共有できた時代としても資料になる。そしてこのキャラクターはそのまま、「シービスケット」に移植されているジェフ・ブリッジスは当たり役ですな。明るい方がコチラで、影を背負ったのが「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」。連続して美味しい役に当たってたわけね(どうしてこれを見逃していたんだろう?)。

 優れたものは当然儲かるわけで、金出す連中は経営に口をはさむようになる。そういう奴らが加わると、途端に夢は汚され、巨大企業で地位に恋々としている寄生虫も潰しにかかる。ま、そういうダメな連中が居座ったおかげで、車の製造は奈落の底(マイケル・ムーアが追及している)、賢いのはITにさっさと逃亡で(「バトル・オブ・シリコンバレー」)、守銭奴仕事=金融にシフトすることになったのが合衆国。

  





 男が夢を実現できなくなった後に登場するのがRBG。彼女が戦う相手は恥も知らなきゃ、夢すら見たこともない亡者たちだったわけ。楽天的な情熱ではなく、頭脳戦を挑むだけの知能が必要になっていた。でも、ITに関係している連中も備えているよね。なお、陰影に富んだ撮影はホントに贅沢で、「ラストエンペラー」ともどもヴィットリオ・ストラーロの技術はまさに芸術。まるでニュース映画のようなんだけど、美麗な風景はたっぷりで、保存されていた車(タッカー・トーピード)はピカピカに輝いている。
オススメ★★★★★

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