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テーマ映画館と私

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恐れ入った、ジジイが主役で一級の娯楽作
「運び屋」
パクられてアチラヘ?人を食った
クリント・イーストウッドに目が丸くなる。

運び屋

関連テーマ  家族の絆  原作とは?part2


 話題になろうがなるまいが、せっせと映画を撮り続けているクリント・イーストウッド「ROMA/ローマ」も良く出来ておりましたが、実に恐れ入ってしまう新作です。いったいどうゆうエクササイズをしているのか?健在です。毎日介護施設に預かって貰っている父親に、母親を会いに行かせるのが日課になっておりますが、両親ともに年相応にくたびれている。ところがこの監督はもっと年上なのに…。








 「15時17分、パリ行き」は実話どころか、事件に遭遇した本人を登場させて1本撮っちゃった。「J・エドガー」以来実在の人物を描いてきたけど、今回は「人生の特等席」「グラン・トリノ」を再見すると面白いかも。予告編はシリアスかつサスペンスフル。allcinemaの解説も“大量の麻薬の運び屋として逮捕されたのは、著名な園芸家でもあった孤独な老人だったという前代未聞の実話”となっている。
                             
 悲壮な現代社会を浮き彫りにする作品を観に行くつもりで劇場へ。ところがさ、ものの見事にスカされます、このジジイ並じゃないなと改めて開いた口が塞がらない。園芸家として認知度が高く、外面は抜群のアール。ところがネット通販に負けて家は差し押さえ、孫のパーティで女房にも娘にも知らん顔される。情けなさ全開で、「トゥルー・クライム」「そして父になる」などで描かれた仕事人間の成れの果て。

 
 ところが冒頭に“着想を得た”とクレジットされているのがキモで、ほとんど実話の部分なんてないんじゃない?監督の描きたかったことの1つは、当然のことながら家族の絆。当たり前ですけれど、作中たびたび苦言されるインターネットのご時世、忘れられちゃってます。もちろんシリアスなのは嫌というほどあるわけだから、実録犯罪ネタで笑いをまぶしながらご提供。とんとん拍子に金が入ってくるトコは笑っちゃいます。


 
 1回目は緊張させるけど、回数を重ねていくうちに車が新しくなり、孫の学費を出し、家を取り戻しと羽振りが良くなっていく。最初は剣呑な感じだった組織の下っ端とはどんどん打ち解けて、果てはメキシコに招待されて、ボスとパーティ・タイム(「ランナー・ランナー」っぽい)。アンディ・ガルシアがまたコルレオーネ一家とは思えぬ気楽な感じ。クリント監督作には初参戦だったんじゃない?

                                
 アンディはゲスト的だけど、「アメリカン・スナイパー」ブラッドリー・クーパーにはお任せしている。2人の掛け合いの部分は見応えありで、ぜひご覧になってご確認を。ローレンス・フィッシュバーン(「君が生きた証」)、マイケル・ペーニャ(「大いなる陰謀」)などはいるだけ+αって感じなんだけど、ちゃんと印象を残す。また「記憶探偵と鍵のかかった少女」以来のタイッサ・ファーミガはバッチリ大人、「リトルマン・テイト」のイメージが残っているダイアン・ウィーストにはトホホ。







 娘のアリソンにキツイ役を振っているのもラストのためだし、FBIの手口も麻薬組織の抗争も全て既知のフレームに収まる。つくづく娯楽作に乏しい昨今ながら、ジジイを主人公にして、こうも面白い映画を撮ってしまうとは恐ろしい。お客さんに受けるようにキチンとツボを押さえ、説教も交えつつ、楽しませて帰ってもらう。お色気シーンまでサービス。

                 
 トシとってきたので「ラッキー」とか「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」とか抵抗なくなってきたけど、まさか88歳の肉体をご披露して下着の女がまたがるなんてシーンが出てくるとは。単品の娯楽として成立しているし、彼の過去作品もまた見たくなる。昨今リリースされた「サンダーボルト」もヨカッタ。トム・クルーズジョージ・クルーニー、本作のブラッドリー・クーパーなど果たしてこの大胆で人を食った調子をいずれ獲得できるのか?

現在(3/10/2019)公開中
オススメ★★★★★
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 マイケル・チミノの監督デビュー作なのだそうで、昨今TSUTAYAの発掘良品にてリリースされた。「目撃」で喜んでちゃいけませんね、この人はとっくに「戦略大作戦」などで強盗モノもやっていた。今回はTV放映時の吹替も入っていて、途切れ途切れながら山田康雄氏の声だと安心して見ていられる(「ザ・ドライバー」とご同様)。それにしても、牧師に化けていて、朝鮮戦争従軍経験とはクリント・イーストウッドが演じるキャラクターには既視感がある。

        

 コンビを組む若手がジェフ・ブリッジスで陽気な若者。「さよなら、僕のマンハッタン」を直近で観ていますので、同一人物とは思えない。クリントが若手と組むのは「ダーティーハリー」「ルーキー」など逆側もありますが、これにはひとクセある。触れると台無しになりますから割愛しますけど、当時の雰囲気というかセリフは、今では通用しないでしょう。セクハラと断罪されて当然で、犯罪者なんだから当たり前か。

          
 マイケル・チミノは「ディア・ハンター」「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」は強烈だったけど、本作の抜けるような青空は「逃亡者」に近いシーンがある。「マッドマックス」とか先取りしていたような無意味な疾走シーンも美味しいし、対戦車ライフルを小道具にしている点で「ルパン三世 カリオストロの城」はパクったのでは?などいろいろネタは詰まっている。美味しい酒のつまみです。

オススメ
★★★★☆
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