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英雄は嘘がお好き



     ここにテキスト

 

もう令和だってば、昭和だって遠い昔。
もはや大正時代は時代劇になると気づかせてくれる。
日本人に当時を伝え、
まさにわが国独自の映画文化を映像にして残す。
いやはや勉強になりました。

カツベン!

関連テーマ  真っ向勝負の日本映画


        
 たぶん元号が令和に変わったと実感できるのは、数年後だと思われる昨今。変化が急激なのはもちろんFire TV Stickに代表されるIT機器なんだけど、ノン・ストップなだけに目まぐるしいことこの上ない。ついに疲れ果てて、kindle(電子書籍)はギブアップし、紙の本に回帰している。よって、このサイトの体裁を変えるためhtml、cssなどを基本から学ぶのは紙の本になった。とにかく指を使ってページをめくるという行為がなければ、全く記憶に定着しない。トシだしここ数年でホントに思い知らされた。




 ドリーミング村上春樹  英雄は嘘がお好き 永遠の門 ゴッホの見た未来   


 けっきょくインターネットは“知ったその場で使える情報”に溢れていても、血肉となる、後々の糧となる知識とは異なるのではないか?良い悪いじゃないよ、だってもしなかったら、「永遠の門 ゴッホの見た未来」「英雄は嘘がお好き」も楽しみは半減してしまうからね。ま、少なくとも過渡期に生きていることだけは間違いなさそうだ。自分の中に蓄えた情報があれば、Googleニュースとて精査できるし。もちろん、知識を増やすために映画館に行ったりしません、あくまでお勉強は副次的な要素。



      



 本作の告知はかなり前からあったような、気がつけば「舞妓はレディ」から5年経っていて、「それでもボクはやってない」以来だから、周防正行監督作はいくつか観てきたことになる。もっとも、是枝裕和荻上直子ほど、この人の熱心なファンではありません。ですから、作風とかはまるで分かっちゃっいない。それでも「終の信託」などは忘れ難いし、重要な日本映画だと思う。今回挑戦してくれたのは活動弁士。コレって確かに今まで見たことがないし、映画の内幕モノですから楽しみ。宣伝過多の作品を避ける傾向にはありますが外せません。



    亡くなった私の祖父は映画好きで、本棚には「あゝ活動大写真 グラフ日本映画史 戦前篇」という今でいうムック本?がある。めくってみると本作に登場したような上映館が載っていて、なるほど大正期の人々は、落語の寄席小屋みたいな場所で、映画を楽しんでいたことは間違いなさそう。それにしても、観客は現在のシネコンで禁止されていたことを平気でやっている。中でタバコ吸ってて、実に賑やか。翻って上映前に見せられる注意は“死んでてください”と言ってるみたいだ。観ている人々も生き生きしてて、その痕跡は「二十四の瞳」にもあった。



 「ミツバチのささやき」なども参考になりますけど、人々が滅多に触れることの出来なかった新しいテクノロジーによる幻影ですから、特に子供は夢中になるわけです。こっそり潜り込むなんて、やはり21世紀には許されない。もちろん、牧歌的ではあっても貧しい人間には厳しい現実もあって、ヒロインの梅子ちゃんはけっして楽な暮らしはしていない。だから、彼女にとってのキャラメルは幸せを象徴する。彼女に何気なくあげちゃう俊太郎クンとの恋模様は、アクロバティックに展開しつつ本作になくてはならない軸。幼なじみでしょ、「イエスタデイ」っぽくてウキウキしてしまいます。それにしても梅子役の黒島結菜は絶品で、彼女無くしてはこの部分は成立しない。




  イエスタデイ  わたしは光をにぎっている



 見どころは映画にまつわる諸々が描写されていることも楽しくて、雲が出てきて陰っちゃうからいったん停止、なんて日本ならではです。合衆国だと大金持ちが撮影するもんだから、飛行機延々と待たせたり平気で出来るもんね。映写室が映っているのもヨカッタ。「わたしは光をにぎっている」にはチラリですけれど、「ファイト・クラブ」なんかデジタル化する前のお仕事風景が垣間見られる(「オリヲン座からの招待状」も参考までにどうぞ)。歌舞伎役者が出てくるのが常で、女優もいなかったとは、シェイクスピアの時代みたいじゃないか。 




 ただし、主役はあくまで活動弁士。音は映画の初期からあったとは「すばらしき映画音楽たち」で触れられておりましたが、世界のどこを探しても弁士だけは我が国オリジナル。弁舌で中身を変えちゃうとは唖然なんだけど、男前の看板弁士から、俊太郎クンが編み出した技で客を呼ぶとは、世界でも例のない現象でしょう。「エド・ウッド」は悲しかったけど、ああいうデタラメな間に合わせって、まさに活動写真を表しているような。それにしても、濃すぎる看板弁士役の高良健吾は「彼女の人生は間違いじゃない」の延長線上だと納得なんだけど、「悼む人」を最近見たので驚かされる。 


    ある船頭の話


 きっと俊太郎クン役の成田凌も今後は驚かさせてくれるでしょう(既に旨いからね)。そういえば映画監督役の池松壮亮もさ、「ラストサムライ」「鉄人28号」から「海よりもまだ深く」「永い言い訳」を経由して落ち着いた感じが出てきている。90年代に生まれた人々が、もう大人なのだと理解しないと。ま、永瀬正敏は周防監督作に初参戦じゃないかな?「ある船頭の話」も貫禄でしたけど、見せ場はキッチリ持って行っていく。酔っ払って彼が語る中に、活動写真から映画になっていく時代を知ることも出来る。 


  

 「Shall we ダンス?」以来のお馴染みのキャスト(竹中直人、渡辺えり、徳井優、田口浩正)は手堅く美味しい場面を持っていくが、少々詰め込み過ぎだった。特にラストの畳みかける部分がモッタリしてしまった。勝手な解釈ですけれど、作業工程がフィルムの時代と異なり、時間とか状況に追われなくなったからかもしれない。参考までに「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ」をオススメなんですけれど、現像を待つ必要が無くなって、長時間の撮影が可能になったための印象かもしれない。    サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ 




    もちろん作っている監督は百も承知ながら、現在の観客に合わせるため、こういったテンポになったのだろう。「ルパン三世」の第一話“ルパンは燃えているか・・・?!”には、止まっているセル画を動いて見せるテクニックが目いっぱい詰まっている。でも、それだと今のお客さんがついていけなくなる可能性があるのだ。CGを例に挙げると分かりやすく、昨今重宝されるのは、“ヌルヌル動く”と称される滑らかな映像。パソコンを構成するパーツのCPU、グラフィックボード、メモリなどのスペックに比例する(作ったので実感)。


  アイリッシュマン  



 ゲームに慣れた目にはカット割りが早く、スパスパ先に進む映像は、敬遠されるかもしれない(自分でコントロールできないからね)。茶風林ことチャーリー・チャップリンだったら、この上映時間を半分にしてしまうかもしれない。「アイリッシュマン」同様に長く感じたが、それは現在の観客に合わせた結果そうなったのであって、時代が違えば、それこそ人々に活力があって、生き生きしている時代だったら、まるで異なる代物になっていただろう。とは言え、活動写真の頃をキッチリ描いてくれて、たいへん勉強になったし、血肉化することが出来た。それだけでもお釣りがくるワケで、84分で勝負できる「イメージの本」のジャン=リュック・ゴダールが超レアな人なの。

現在(12/14/2019)公開中
オススメ★★★★☆
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その他の関連作


   

   ワンス・アポン・ア・タイム・イン・

     

 

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昭和元禄落語心中


    既に令和が始まっているので、若い人からすれば昭和時代は遠い遠い昔。怒涛の情報更新、IT機器の進化、こういった流れの早い21世紀には、せっせとメモしておかないと、あっという間に“ワケの分からない最果ての地”に置き去りにされてしまいます。もし、この手のサイトを作っていなかったら、そーとー不貞腐れていたことは間違いない。街に出てどれくらい自分が老けたかを肝に銘じておかないと、「ビートルズなんて知っていて当たり前」などとホザいて失笑を買うのも必至。ですから、「イエスタデイ」は好きなだけでなく、現状認識に大いに役に立っている。



  


 「舟を編む」と同様に若い人からすれば歴史の勉強にもなる、落語を巡る物語。また、52歳の初老も無知なことを気づかされた。「の・ようなもの」くらいしか知らなかったけど、芸事の世界は奥が深く、恐ろしさも潜んでいる。稀代の天才と努力家といった図式で進行するから、「アマデウス」っぽい展開になるのは予想の範囲内なんだけど、映し出される風景やらは馴染みだし、いつ消失してしまうか心許ない今では貴重な映像資料でしょう。


 「舞妓はレディ」は京言葉を響かせて良かったけど、東京出身者としてはコチラの江戸弁は心地よい。馴染みのない人だと「何言ってんだこの人?」という方言はちゃんと首都にもあるのだ。弟子にしてくれと頼みこんで居候なんて、まず現代ではTVドラマとしては成立しないよね。懐古趣味になってしまいますけど、トシには勝てません。それにしても、70年代には元気いっぱいだったアニメーションに、こんな作品が出現するとは思わなかった。


  天気の子 


 で、「天気の子」の時だから今年の7月にはAmazon prime videoで見られた本作、いつの間にかシーズン1は他の配信先からになっている。いつでも見られるとなると、放ったらかしになってしまうんですなぁ、DVDを借りてくるハメになった。ところが、近所(御殿場)のTSUTAYAに在庫がなかったりして。次から次へと視聴できるタイトルが繰り出されて、今までにはなかった「日常」とか「東のエデン」とかが加わると、あっという間に忘却の彼方へ・・・。


 文春オンラインに載った「あの事件でスピルバーグは過去の遺物になった」押井守監督が感じた“ハリウッドの破壊者の限界”という記事で、対立を煽るのがマスメディアだからタイトルは仕方ないにしても、インタビューの中身はなかなかに興味深い。「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の監督であっても企画が通らいないんだそうな。Amazon PrimeもNetflixも既に硬直しつつあることが伺い知れたりして。それは「アイリッシュマン」の時にも痛感した。


 ま、ますますインターネットへの依存度は上がっていて、ソコに割く時間が増えまくっている。自分で見つけ、探し出す時代ですから、興味深いものは幾らでもある。昨今見つけた“消えた映画館の記憶”というサイトには唸った。別サイトはしょせん“自分の行動範囲内で出来る限り”に過ぎませんが、スケールがケタ違い。現在1つも映画館のないこの静岡県駿東郡小山町にも、なんと5つも存在していた。最新テクノロジーは手軽に情報を入手できるのは間違いないけれど、それを生かすも殺すもコチラ次第。


 閑話休題、キャストは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のお3人が登場で、渚カヲルにしろ「ケロロ軍曹」のサブロー先輩にしろ石田彰の変貌ぶりには驚かされた、年寄りの師匠まで演じてしまうんだからね。他の林原めぐみ、山寺宏一は「カウボーイビバップ」もだし、「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第六章 回生篇」もそう言えば…。52歳の初老男には馴染みのある世界ながら、令和生まれが成長したら、間違いなく過去を知る映像資料になるのだろう。私にとって江戸時代から明治時代を知る手がかりになった「蟲師」のように。
オススメ
★★★★☆

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