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テーマ映画館と私

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  イメージの本
 
やっとたどり着いた
ジャン=リュック・ゴダールの映画
「イメージの本」
凝縮された作品は限りなく自由なのに、
観賞後は開放感に浸れる。
コレって過去の傑作に通じますね。
あらゆる人に向けて作っているのに、
練度を要求してたのか。

イメージの本

関連テーマ  シネスイッチ銀座


 映画にもめぐり合わせってのがあるんですかねぇ、嫌いじゃないのになぜかスルーしてしまう監督がいる。私の場合ウディ・アレンがそうで、「カフェ・ソサエティ」からご無沙汰。翻ってクリント・イーストウッド「ミスティック・リバー」辺りから「運び屋」に至るまで、毎回欠かさず劇場に行っている。ま、「長いお別れ」で描かれたような生活をしておりますので、時間を節約する必要に迫られ、今後はもっと観賞作は絞られていく。トシには勝てませんよ、たいがいの人は。

  長いお別れ ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ


 ところが御年88歳だそうな、ジャン=リュック・ゴダールは映画の基本に忠実なのに、新しい作品を提供している。恐ろしいと言うかなんというか、上映時間はキッチリ84分。先週のアレは素人目でも、半分で良さそうなのに、132分と自ら興行収益を脅かしているモンスター級。1日の上映回数を考慮した場合、「Taxi」などが理想だと思います。ただし、凝縮した内容となると、“物足りない”のも事実。短い上映時間はスピーディーな作品限定ってことになる。

    “凝縮した内容を描くのに、短い上映時間は不向き”この辺を澄ました顔で覆してしまっている。前回の「さらば愛の言葉よ」はキャストではなく、3Dカメラが主演だと豪語しているわけだし、並じゃないですね。もちろん内容が凝縮されているからと言って、チンプンカンプンではありません。むしろ宣伝で「見方はこうだ、見せ場はココだ」と強いてくる作品より遥かに自由。久しぶりに“途中で出ても大丈夫なんじゃ?”とまで思わせてくれる。なにせ昨今の映画館はお客を席に固定しますから。


 なじみの客から一見さんまで満足させようったって、そう簡単じゃない。凝縮された部分はずっと観てきた人、映画の教養が豊かな人をニヤニヤさせるのでしょう。引用されている作品で判ったのは「アワーミュージック」くらいで、「シークレット・オブ・モンスター」のスコット・ウォーカーに触れているのは驚いた。もっとも強烈な映像の後に暗転、音響効果も最大限に利用しているから、退屈せずまるで眠気が襲ってこない。「不滅の恋/ベートーヴェン」でも不協和音の後に月光を演奏するシーンがありますが、あんな感じですかね(恥ずかしや)。

  THE GUILTY/ギルティ ROMA/ローマ


  過剰な超大作に対抗するのに音だけで想像させたり、色彩を削いだり平面だけで展開したり、彼の後に続く監督たちはそれぞれ趣向を凝らしてお客さんに提供している。ところが適切に色彩と音響を全編にまぶし、メッセージまで込めて描けるのだから、この人は天才なんでしょう。観賞後に納得してしまったんですけれど、傑作と感じる作品は、凝縮された内容だけにスクリーンに集中する反面、観賞後には開放感がやってくる。最近は「天国と地獄」ですけれど、「エイリアン2」は忘れられない。    
 


 音響に関してはあつぎのえいがかんkikiですから音も割れないし(「幼女戦記」で確認)、文句なしでした。込められたメッセージは冒頭に、“5本の指を使って”というのは現代人への苦言かな?“悪党と詐欺師が世界を動かす”とは昨今ニュース代わりに観てきた「RBG 最強の85才」「記者たち/衝撃と畏怖の真実」「バイス」などと合致するし、“人々は戦争が好きだ”とか“映画はリメイク”など、ボサッと観ているワリには響いてくる。


  劇場版 幼女戦記 RBG 最強の85才 記者たち/衝撃と畏怖の真実 バイス


 
 


 パンフレットにはインタビューが掲載されていて、一筋縄ではいかない人だと痛感。質問している記者たちは、都合のいいように誘導するけど、そんなことお構いなしだもんね。この人のお友達だったフランソワ・トリュフォーの方が好きで(「大人は判ってくれない」)、ずいぶん前に亡くなっていたのは残念。相対した作品は撮らないだろうけど、今の時代を別な角度で描いてくれただろうから。ウディ・アレン同様にジャン=リュック・ゴダールとはめぐり合わせが悪かったですけれど、本作は紛れもなく傑作です。

現在(6/9/2019)公開中
オススメ★★★★★
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   新人監督がアイディア勝負に打って出る作品は、2度目は通用しない(「CUBE」「モンスターズ 地球外生命体」)。ただし、これは映画全般にも言えることで、シリーズはホントにお先真っ暗。「THE GUILTY/ギルティ」とか「ROMA/ローマ」とか「ANON アノン」があるんだから、もっとお知らせする努力をしても良いのでは?過剰さにうんざりした人にはアピールする1品で、現代人の目にはPC画面が日常だし、このやり方は正解。「主戦場」だって挿入されていたけど、コチラはそれのみと潔い。

主戦場  


 それにしてもGoogleマップもFacebookもやたらと現代人の時間を奪っておりますな。ただし、批判もあるけど、有用な部分も盛り込まれている。「ステイ・コネクテッド~つながりたい僕らの世界」の先に位置する作品にして、「クロニクル」「帰ってきたヒトラー」などのモキュメンタリー風でもある。いちおう認識しておりましたが、OSの画面で時代の変遷を知る時代なのね。恐らく使い続けた人なら、Windows95からVista、7とか画面が変わっていくだけで懐かしさがこみ上げてくるかも。


  








 秒進分歩な21世紀だけに2017年の「ザ・サークル」よりIT機器もインターネットも格段に進化し続けている印象はある。しかし、実際はひたすら忙しくなるだけ、機械の奴隷にされるだけ。「イメージの本」で告げられているように“5本の指を使って作る”ことを忘却の彼方にしてしまうのは危険。見ていてそう感じてしまうのは、トシのせいだけではあるまい。ま、立体映像のアンチテーゼとして、平面だけで成立させられるのも現代ならでは。見ていてちょっとアレは無理っぽいかな?というシーンもあるけど、劇場だったら集中していただろう。
オススメ★★★★☆

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