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潜水艦映画の過去作品から アイディアを山ほどもってきて ギュウギュウ詰めにしたB級 「ハンターキラー 潜航せよ」 お約束にニヤニヤ、笑いながら楽しむに限る。 この辺はコチラの腕の見せどころ。 |
ハンターキラー 潜航せよ |
現在シネコンのスクリーンを独占しているのは「名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)」だ。小田原コロナシネマワールドでは1日に20回も上映されている。豊富なスペック(3D、4DXなど)を備えているアメコミ映画が、成し遂げていなければならないのにさすがの人気。職場の若い人からも強力にプッシュされたりして。孫でもいれば行ったかもしれないけど、初老だけに潜水艦映画を選択。 |
そしてTOHOシネマズ小田原の入り口で同年配の同僚と出くわす。「運び屋」を観たんだそうで、「客はオレ一人だったし、いなかったらやってたのかな?」とのこと。年に数回私も抱く疑問にして不安。子供向けばかりでは映画館とて廃れてしまいます。中高年向けの作品も、細々でもいいからやっていただきたい。それにして縁遠くなりましたよ若い人の出てくる映画。「劇場版 幼女戦記」はいちおうアニメーションだけど、子供向けとはいいがたい。 |
さて、「ブラック・シー」から4年近く経過して、お久しぶりのネタ。ホームページにはデカデカと“潜水艦モノに外れなし”と出ている。たださ、さすがに海上戦闘がイメージできない。これを平和ボケとして嘲笑うか、人類が進歩したと安堵するか。或いはべらぼうに金のかかる代物を独占するのは超大国で、それ以外ではゲリラ戦に移行しているのが現実なんでしょうか。 潜水艦映画と言えば?と職場の人に尋ねると、年が上の方なら「U・ボート」で、下の方なら「レッド・オクトーバーを追え!」で、さすがに「眼下の敵」と答える人はいなかった。ま、「ローレライ」も捨てがたいんだよなぁ、という程度の私にとっては実に楽しい時間を過ごせる1本。つまり旧作から美味しい部分を摘まんで、新しいキャストでお色直ししたB級となっております。パクっているトコにニヤニヤしてしまう。 |
もちろん、潜水艦ネタだけでは目の肥えたお客さんを満足させられないので、ネイビーシールズも組み込んでしまう。マジな「ネイビーシールズ」のラインではなく、「ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!」。消滅しつつありますが、レンタル屋の棚、下から二段目くらいに置かれる商材です。しかし、それを劇場で観られるという幸運に感謝だし、よくジェラルド・バトラーもゲイリー・オールドマンも出演しましたよ。 |
言語に関してはかなりデタラメで、クーデターで監禁されるロシアの大統領は英語だったりロシア語だったり。「キス・オブ・ザ・ドラゴン」や「5デイズ」に負けず劣らず。もちろん世界の危機だけにホワイトハウス内部の会議室らしいんだけど、昨今2本(「バイス」、「記者たち/衝撃と畏怖の真実」)も観ちゃったので、いい加減に映る。そもそも誰が大統領か判別できなかったし、「ピクセル」だってもう少しまともだった。その辺を笑いながら観ていられるかはコチラの腕しだい。 もちろんお約束は殆ど突っ込まれている。アレで出てきた救助のちっちゃい潜水艇、もちろん艦内は浸水するし、魚雷発射管の辺りは水びたし。艦長と副長は対立し、海底に沈んだと思わせて一気に浮上、水圧でペシャンコになりそうなシーンも、もちろん入っている。ただし、CGには限界があった。汁気がほとんど感じられず、魚でもチラッと出てくればよかったかもしれない。 |
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もうひとつ、オッサン映画の限界で、せっかく美人で優秀なNSAのエージェントを抑えてしまっている。「グリーンブック」のリンダ・カーデリーニはチトもったいなかったし、「ブレイン・ゲーム」に一歩譲ってしまうポイント。更にゲイリーにしろコモン(「恋のスラムダンク」をぜひ)にしろ出ていただけって感じなのだ。ま、現場と後方のやり取りなんか完全にすっ飛ばして、ひたすらB級アクションの見せ場だけを積み上げている。これは好みの問題ですけれど、「沈黙の戦艦」とか「パッセンジャー57」が好きなだけに申し分なし。 もちろんB級だからこそ、見どころを探す楽しみがある。私にとっては艦内が妙に実物を感じさせるんですよね。軍事機密だから見せちゃいけないだろうけど、生々しい。それと、亡くなってしまったミカエル・ニクヴィストがなかなか渋い。「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の人が「ジョン・ウィック」の印象を残したままだったら残念だ。ジェラルドも「スマイル、アゲイン」からご無沙汰なれど、ミカエルとの相性は良かった。モデルはもちろんアレのショーン・コネリーとスコット・グレンの再現でしょうか。 |
大量の映像コンテンツで溢れかえっている21世紀、劇場公開作は旧作のリードタイトル的な役割を持っていると思う。昨年の「MEG
ザ・モンスター」は「ロスト・バケーション」観賞誘因になった。派手なオッサン向けアクションは、なかなかお目にかかれない昨今、理屈抜きで楽しめるのは貴重。少なくとも実機が出てくると作品が締まるは「眼下の敵」で、ハンターキラーの艦内だけはそれが再現されていると思います。 現在(4/16/2019)公開中 オススメ★★★☆☆ |
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ブレイン・ゲーム |
「ハンターキラー 潜航せよ」がそうだったように、コチラも過去作品を掘り起こさせるリードタイトル的な1本。混合要素は満載で、ひとつはアンソニー・ホプキンスが出ているわけだから「羊たちの沈黙」が代表的なサイコサスペンス。そこに超能力者の要素が入って来て、神と悪魔の相克のようなテイストもまぶされる。彼の過去作品がパッと思い浮かんだけど、ホントに役柄は多彩だった。家で「ハーモニーベイの夜明け」を見ておりましたが、彼の新作は「ハイネケン誘拐の代償」以来。 |
元ネタ的作品はまだまだあって、医療に関係するから「私の中のあなた」もオススメで、刑事モノだけに「EMMA/エマ 人工警察官」もイケるでしょう。また主人公の立ち位置がコンサルタントだけに「THE MENTALIST メンタリスト」、「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」、「SHERLOCK/シャーロック」などのTVドラマも・・・。恐らく監督はお客さんはとっくに見ているはずだ、との確信があったからか、遡って見てほしいのか。 |
映像もスタイリッシュで、冒頭は「ANON
アノン」っぽく今風。キアヌ・リーヴスの「マトリックス」、「コンスタンティン」、デヴィッド・フィンチャーの「セブン」、「ドラゴン・タトゥーの女」などなど、映像のヒントは幾ら挙げてもキリがないくらい。現在40歳のアフォンソ・ポヤルト監督はブラジル出身だそうだが、かなりの実力者。「シティ・オブ・ゴッド」で知られて「ナイロビの蜂」、「ブラインドネス」と売れていったフェルナンド・メイレレスみたいになっていくのか。 アレと比べて本作の強みはもちろんアビー・コーニッシュ。彼女とアンソニーの取り合わせは、ジョディ・フォスターが引き合いに出されるかもしれないけど遜色なし。「プロヴァンスの贈りもの」から「ロボコップ」を経て凛々しくなりました。女性が活躍する脇で男が魅せるのが今日的で、出番が少ないのにコリン・ファレルはなくてはならず、主人公ジョンの親友に扮したジェフリー・ディーン・モーガンは泣かせる。 オススメ★★★★☆ |
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