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適量の感動がストレートに響く バディ&ロードムービーに新たな秀作を追加。 「グリーンブック」 ヴィゴ・モーテンセン&マハーシャラ・アリの 掛け合い漫才だけでも必見。 |
グリーンブック |
まずは本作に作品賞をあげられたアカデミー賞を称えたい(真知子ちゃんも異論はないでしょう)。なにせピーター・ファレリー監督作、予告で一切彼の名前に触れられていなかったけど、「フロントランナー」とは違って伏せるしかない。だって、「メリーに首ったけ」、「愛しのローズマリー」を撮った人ですもの。しかしながら、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のアダム・マッケイ(「バイス」が楽しみ)という人もいるわけで、シリアス作に不向きとは限りません。
なかなか美味しい実話を見つけてきたものです。本作は基本的にバディムービーにしてロードムービー。ミュージシャンが主人公だから音楽映画の要素もあるし、時代を刻めて人種差別も描ける。昨今の流れで、「ボヘミアン・ラプソディ」のロングヒットは、少数派への差別という要素があったからだと思う。とは言ってもスパイク・リーだと、もっと差別の描写がきつくなっていたかもしれない。ま、その辺りを確認するためにも「ブラック・クランズマン」は今から楽しみ。
で、珍道中を引っ張っていく2人、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリは絶品でした。あんまり時代背景とかに目がいかず、ずーっとこのコンビを追っていられるんだからさすが。ヴィゴに関してはあの王様を覚えている人は嘆いてしまうでしょう。恐ろしく太ったし(「タリーと私の秘密の時間」のシャーリーズ・セロン顔負け)、年中食べている。そうそう、マックはなかったからケンタッキーフライドチキンが出てくるね。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」、「イースタン・プロミス」の人だからチンピラもお手の物だけど、イタリア系とは。
マハーシャラはつい最近「アリータ:バトル・エンジェル」を観たばかりだけど、「ムーンライト」、「ドリーム」と近いようで別人、神経質なピアニストがハマった。インテリ然としていてドクターだし、行儀の悪いトニーと繰り広げる漫才が微笑ましい。ただ、トシのせいですね、10年前だったらドン・チードルとジョー・ペシ(「グッドフェローズ」)でイケたな、などと思ったりして。
音楽家がドサ回りをするのはクラシックだろうとカントリーだろうと変わらない。ただし、カーネギーホール(「マダム・フローレンス!夢見るふたり」)のあるニューヨークなら問題ないけど、差別が色濃くある南部となると、途端に身を危険にさらすことになる。ただし、ココをスルーするのではなく、実話を元に過度に強調しないで、音楽家ドクター・ドナルド・シャーリーの勇気ある旅として描いてみせたんだからさすがです。
音楽家は変わっていて当然だし、仕事が仕事だけに孤独。そんなドクターから見ると、身内がガッチリ固まっているトニーの家族は異質なれど憧れもあったのかも。たとえが古くて申し訳ないが、構図は「ドライビングMissデイジー」逆にした車内、すったもんだの道中は「ミッドナイト・ラン」がオススメ。そうそう、ロバート・デ・ニーロの「ブロンクス物語」は参考になるかもしれません、トニーの家庭を見る場合ね。マフィアに関しては「ゴースト・ドッグ」のノリもあった。
アカデミー賞も時代とともに変わってきているんですかねぇ、特殊効果ではなく作品賞に「ブラックパンサー」もノミネートされたし。で、裏方の中でオクタヴィア・スペンサー(製作総指揮)の名前を見つけたけど、昨年出演の「シェイプ・オブ・ウォーター」に続いて賞に縁があるのかも。今後はクリスマスが近づくと、「リーサルウェポン」に加えて本作を思い出しそう。
現在(3/1/2019)公開中
オススメ★★★★☆
ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK -The Touring Years ブロンコ・ビリー
ブラックパンサー |
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アメコミ映画はついていく体力がないためパスしているけど、アカデミー賞の作品賞にノミネートされたとなると気になる。私にとって「羊たちの沈黙」のことが記憶にあるので、既にレンタル屋に並んでいる、というのも宣伝効果がある。ちゃんとデータを見れば監督は「フルートベール駅で」、「クリード チャンプを継ぐ男」のライアン・クーグラーだしね。2作で主演のマイケル・B・ジョーダンも悪役として登場する。 もちろん「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でお披露目された、無敵の王様ブラックパンサーは欠かせない。忘れちゃったんだけど、演じているチャドウィック・ボーズマンは史上初の黒人メジャーリーガー=ジャッキー・ロビンソンを演じているんだよな。豪華なのはフォレスト・ウィテカーまで無造作に出てくるし、侮れない。残念ながら「リミッツ・オブ・コントロール」のイザック・ド・バンコレは確認できなかったけど。 |
冒頭部分で、「星の王子ニューヨークへ行く」を思い出したんだけど、合衆国で王族に説得力のあるのはヨーロッパや中国よりアフリカかもしれない。「バーフバリ 王の凱旋 完全版」に負けていない設定はさすがで、かの大陸の深刻な問題を描いた作品は数あれど、スパッと吹き飛ばせるのはアメコミ映画なんですな。いろんな一族が集うってのは「アバター」もあることだし、ウケるのは納得。
前半は族長の継承などの要素もあり引き込まれたものの、後半はさすがに4DX仕様(アレ同様に水しぶきは必須)を考慮してかなり無理めに派手になっている。若者向けだから当たり前で、その辺は目くじらたてずにお付き合い。ラストもなかなか染みてくる感じでヨカッタ。ただ、“他言無用の秘密”に触れたエージェントがどうなったか?なんてきれいサッパリ。直後に「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」も見たけど、マーティン・ロス(「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」をぜひ)は出てこないし、無かったことにするのか?後々膨らませるのか?
オススメ