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俳優監督50音順
テーマ映画館と私

     ここにテキスト

 


  手に汗握りしめ、
身を乗り出してしまうアクション(古くせー)
「雲の巣を払う女」
キャスト一新の成功例、
リスベットはシャープかつクレバーにして大胆、
今こそ求められるヒーロー。
 

蜘蛛の巣を払う女

関連テーマ  インターネット スパイ映画 シリーズ

 寒さはいっそう厳しく、インフルエンザは流行中。みなさま風邪など召さないようにお気をつけください。確かに映画館は人混みなんですけれど、マスク着用である程度は防げます。そして、今年2本目の本作は、TOHOシネマズ小田原にての観賞なんですけれど、座席が2つしか埋まっていない。もったいないなぁ、極上でしたよ、スパイ・アクションとして文句なしでした。

   前作から7年経過しているわけでして、我々を取り巻くネット環境も変化している。本作の関係者にも時の流れはあって、今回はキャストも監督も一新されている。ルーニー・マーラデヴィッド・フィンチャーの交代はちと不安材料なんですけれど、「デビルクエスト」で発見したクレア・フォイならOK、予告の彼女は魅力的だった。

 加えて絶対に化けて過去作品と見分けがつかないシルヴィア・フークス、真っ白で怖い。「ブレードランナー2019」ロビン・ライトを刺したかと思いきや、「ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!」は可愛かった。また監督のフェデ・アルバレスは話題になった「ドント・ブリーズ」を見逃しているので力量は不明ながら、本作でその才能は証明されている。

          

 枠組みは「007/スカイフォール」「007/スペクター」で展開されたのと同じ(並行観賞がオススメです)。違いがクッキリするのは、クレアが演じるリスベット・サランデルで、まさに本作のキモ。登場するキメのシーンがシビレます。「イコライザー2」もやってますが、21世紀に淘汰圧のかかっている暴力男を吊し上げちゃう。デンゼル・ワシントンにはタクシー運転手が似合いますが、リスベットが駆るのはドゥカティのバイク。

 ネットを使ったサスペンスフルな展開と同時に、アクションの切れ味が良い。氷上を疾走するバイクは「チェイス!」でもなかったし、「ミシェル・ヴァイヨン」以来かな?なんでもハッキング出来ちゃうから、逃走車も選びたい放題で、金持ちのブルース・ウェインが乗りそうなランボルギーニに釘付けになる。バイクにしろ車にしろ、ヨーロッパの風景に溶け込み、空撮に映えるのだ。

         
 前夜に「ヨルムンガンド PERFECT ORDER」を見ていたので、各国のセキュリティを解除しちゃうとか、NSAとかが出てくるトコとかなんとか付いていけた。合衆国の情報ネットワークは侮れないもんね。ただし、国家なる組織体が腐敗している今となっては、個人が立ち向かっていく物語こそ説得力があるし、リスベットは求められるヒーロー。

 
 絶対に笑わないリスベットのキャラクターを浮き彫りにするのは、秘密のカギを握る少年なんだけど、天才を示すのにはチェスが一番で「ボビー・フィッシャーを探して」をこの機会にどうぞ。少年との関係を描き込むと「グロリア」っぽくなるけど、それだとミカエルとの部分が効いてこないし、さじ加減はなかなかでした。もちろん恋愛方面も臭わせる程度で、核心部分がボヤけない。この監督の力量を示している。  
 






 ラストは派手なアメリカ映画だけに、テクノロジーを駆使して敵アジト急襲の場面はエキサイト。手軽なドローンを使っているのかと思いきや、スナイパーが活躍だったり意外性を突いてくるし文句なし。実はオリジナルも当の昔に記憶から遠ざかっていて、単品に近い感じで楽しんだのが良かった気がします。予習はせいぜい前作に止めて、一新したキャストによるヒーロー誕生としてご覧になるのがよろしいかと。

現在(1/18/2019)公開中
オススメ★★★★☆
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   人類が手にしてしまったあのいらん代物を巡って繰り広げられるスパイアクション。もう嫌というほど見たけど(「ピースメーカー」「4デイズ」)、そこに師と弟子の要素を加味して、「マイル22」より娯楽に徹している。ラストの派手なCGは笑えるように仕上げているのも、狙ったと思われる。戦艦を描いたCG映像って「バトルシップ」とか「ローレライ」とかどんなに頑張っても、「眼下の敵」を見た瞬間にマンガ化してしまう。

       マイル22

 とは言っても主演のディラン・オブライエンが抜群に細身でセクシーだから、女性にもアピールするでしょう。どことなくガエル・ガルシア・ベルナル(「モーターサイクル・ダイアリーズ」)に近い風貌のような。彼を際立たせる悪役がテイラー・キッチュで、「ジョン・カーター」からもう7年経ったのね。この人もちょっと前だったらスティーブン・ドーフ(「somewhere」)が演じたら?と既視感がある。

    

 で、師匠役のマイケル・キートンが出てこなかったら、オッサン感情移入できませんでした。ワルの創業者より、気骨あるジャーナリストの芸風で迫っていて、暗殺者の指導員だけに鍛えている。疲れた風だと「ハンテッド」の時のトミー・リー・ジョーンズになりますけど、元気だったころ(「地獄の黙示録」)のロバート・デュバルっぽいかな。爪剥がされて痛そう(「シリアナ」にあった)

   CIAのリクルートもので「エージェント:ライアン」はもう忘れられちゃったかもしれないけど、これはシリーズ化するのだろうか?確かにキャストに既視感、物語にマンネリ感はある。けれども、アメリカ映画はズバリ世界の脅威を教えてくれるわけで、今回はイランがイスラエルを狙っているそうな。ただし、国やら企業やらの組織体が腐りきってることを人々が気がつき始めているので、諜報アクションは「蜘蛛の巣を払う女」になってしまうんだと思う。
オススメ
★★★★☆


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