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テーマ映画館と私

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  ブラック・クランズマン
 
手の施しようのないアホたちは
コケにするしかない
「ブラック・クランズマン」
コミカルにしてシリアス、
差別側だけでなく、両サイドからの視点を描き
じっくりと考える材料にもなった。

ブラック・クランズマン

関連テーマ  インディペンデント・スピリット賞  アカデミー賞  バディムービー

フォーカス・フィーチャーズ  原作とは?part2


   
 先週に引き続いて、あつぎのえいがかんkikiにやって来る。本日は“驚音上映”での2本立て、火曜日と日曜日は隣の劇場を閉めてやるのだそう。もう1本は既に観ている「劇場版 幼女戦記」だ。アミューあつぎ映画.comシネマがそうだったように、ココのラインアップは期待させるものが多々あり。「主戦場」「イメージの本」は間違いなく行くし、見逃した「ビール・ストリートの恋人たち」も拝めるからありがたい。   

 明日は年号も変わるというのに、厚木の街はチョッと混雑している日常。で、本作の監督スパイク・リーに関しては「セントアンナの奇跡」以来10年近くご無沙汰。音沙汰なかったと思うのは時代に遅れている証拠で、商才のある人だしせっせと新作を世に出している。なんと最新作の「パス・オーバー」などは配信で見られたりして。「WIRED(ワイアード)VOL.26」を読んでAmazon、Netflixといった2大プラットフォームについてお勉強していたにもかかわらず、スルー。いったいどれだけアンテナを張っていれば、置き去りにされずに済むのだろう?

     グリーンブック

 さて、宣伝は“黒人の刑事がKKKに潜入という驚きの実話を元にしたコメディ”で、「グリーンブック」よりキツイ感じを予想。ところがさにあらずで驚く。主人公ロン・ストールワースが警官になるところから始まるが、彼は地元で初の黒人警官。ジャッキー・ロビンソンみたいになるぞ、と釘を刺され現実的な差別と直面する。もっとも、監督も還暦過ぎてるし、ギラギラした感じはない。そういえばジム・ジャームッシュ「パターソン」も落ち着いていたよなぁ。

    資料係でうんざりしたロンは情報課への転属を希望し、潜入捜査官となる。賢い人だけに、まんまとKKKのコロラド支部の連中とコンタクト。もっともそれ以前にブラックパンサーの集会にも潜入していて、この時代が今より~運動とかが活発で、人々は政治に関心のあった証拠ではなかろうか?本作でワルはもちろんKKKなんだけど、ブラックパンサー党に関しても全面的に支持しているわけではない。「大統領の執事の涙」でも好意的に描かれなかった。

 時代が70年代だけに、警察の捜査方法も牧歌的。体裁もコメディだから「フェイク」とか「マイアミ・バイス」のような緊張感が張り詰めたりもしない。だいたい捜査対象のKKKが恐ろしくショボい集団で、群れている連中のアホさ加減は周囲にもいるから苦笑い。ただし、侮ったりしているとマラソン大会を爆破したり、果てはとてつもない大統領を誕生させたり、暗黒時代がやって来る。

      

 本作で監督は黒人、白人の双方を、配分をなるべく等しくしようと努力して描きつつ、歴史的な事実を提示しているかのようだ。KKKが拠り所にしている「国民の創生」は見たくもないけど、映画人として後世に伝えなければならないのでしょう。劇中で爺さんが集った皆々に、惨殺された友だちのことを淡々と語るけど、TVで徹底的に痛めつける今と変わらないじゃないですか。この辺をかなり冷静に見せていて感心してしまう(「マルコムX」とか観ているだけにね)。

 そういった側面と同時に間抜けなKKKをコケにして笑う。政治家にも効果的ですが、何言っても無駄な狂信者にはね。主演のジョン・デヴィッド・ワシントンは実在する黒人警官そのもので、差別と職務の板挟みになる。恋人の心情に寄り添いながらも、職務に忠実とはカッコ良い。ハンサムな父親にはチョッと無理っぽいんだよな。意外に「アフターアース」のジェイデン君より化けるかもしれない。

                

 本作では先輩格になるアダム・ドライヴァーは貫禄すらある。「ローガン・ラッキー」なんて朴訥って感じで、妖怪ジジイを真っ二つにするアレでは激しく、「フランシス・ハ」からあっという間。いちおうバディムービーでもあるんだけど、ジョンとアダムにベタベタした感じがなくてクールです。どーしても“角突き合わせていたのに、友情芽生える”パターンに陥りがちですから。
 
 
 

 マイケル・ムーア憂いておりましたが、本作のリーもまた合衆国の今を哀しみを込めて見つめているのでしょう。根幹には憎しみがあって、集団に属してそれを発散していることに気がつかない人が多い。団体やら組織体にはそういった面がありますけど、共同体はどうか?昨日近隣の人たちと“始常会”なる集いを催しました。どんど焼きなど1年の行事を決めていくんですけれど、集った13人でそれなりに楽しかったし、顔を合わせるのは悪くない。日本の田舎に微かに存在する、安心できる場所は対立を解消する役には立たないものか。アメリカ人には無理っぽいけど。

現在(4/29/2019)公開中
オススメ★★★★☆
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劇場版 幼女戦記 響音上映
 
   「マイ・ブックショップ」の時にスクリーン脇のそびえ立つスピーカーに目が点になりましたが、あつぎのえいがかんkikiの売りを確認するにはデカい音が必須。「ブラック・クランズマン」はそこそこなれど、コチラは期待できる。なにせ先月拝んでおりますので、4DXだったらあのシーンは?とも思ったし、家ですら本作の音が以前のアニメとは段違いなのを承知している。
                 
 連休だからか、154席の場内は9割の入り。若い人たちが殆どで、彼らの張っているアンテナにはちゃんと引っ掛かるのでしょう(実にうらやましい)。ぶっ飛んだ「シドニアの騎士 第九惑星戦役 THX上映会」を越える迫力を期待していたら、予想を覆すレベル。確かに隣の劇場を閉めなきゃ近所迷惑。感動すらしてしまう音響は伊達じゃない。しかも機器メーカーだけに、音が割れないんだよね。ライヴ会場だってひどい所は耳が痛くなった経験を持つだけに感無量。

 小規模ながら確実にお客を掴んでいるし、「シドニアの騎士」同様に完結までぜひ作り続けていただきたいものだ。家では延々とプライムビデオで、各話を摘まんで見ている始末で、要は現在ハマっている状態。嘆いたところで悪化する現実が好転するわけもナシ。もちろん投票を拒否するなんて権利の放棄はしませんが、このヒネクレまくった逃避ファンタジーは面白すぎて。
オススメ★★★★★
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パス・オーバー

  









 情報が過剰な作品に飽きたら、余分なものを差し引いた方面を試すのも一興です。役者さんの力で楽しませてもらえるし、集中して訴えていることに耳を傾けることができる。「ブラック・クランズマン」は構成要素が満載ですが、本作はストレートに人種差別、黒人の少年たちがどういう世界で生きているかを観客に伝えることができる。もちろんただの舞台中継ではなく、映画ならではの仕掛けもきちんと施されてます。
                                 THE GUILTY/ギルティ  
 冒頭はスパイク・リー作品らしからぬ穏やかな映像で、もちろんAmazonスタジオ製「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「ワンダーストラック」「さよなら、僕のマンハッタン」など新作は侮れないし、プライムビデオがまた曲者。本作観賞後にすぐ「ドゥ・ザ・ライト・シング」に走っちゃう。若き日のスパイク・リーはギラギラしてたな、などと落ち着きのないことこの上なし。ま、ニガを連発する2人の会話を聞いて、横須賀に住んでいた頃を懐かしんだ。
オススメ★★★★☆
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