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ここにテキスト
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ANON アノン |
観賞劇場 | ヒューマントラストシネマ渋谷 |
関連テーマ | 近未来SF ギャガ(GAGA) インターネット |
遅きに失しましたが皆さま、あけましておめでとうございます。年末から働きづめでして、ページの体裁を変えたりと、前回から2週間ご無沙汰してしまいました。もっとも、それが功を奏して本作に至る。監督indexを直していて、“アンドリュー・ニコルが好きな監督だった”ことを思い出し、ネットを漁り…。埃をかぶった本棚ではなく、自分で作ってきたページをひっくり返しても、新作に至ることはあります。 |
それにしても、ヒューマントラストシネマ渋谷で展開している“未体験ゾーンの映画たち2019”は侮れません。確かシネマカリテでも似たような企画は展開していたと思うし、都内在住でアンテナを張っていると、映画に関してはお得ですな。ただし、ネット環境さえあれば、それぞれ観賞可能で、「マジカル・ガール」の監督カルロス・ベルムトの新作「シークレット・ヴォイス」(見逃しちゃった)は見られるんだよね。 |
コレはNETFLIXが提供しているし、いずれ会員登録するハメになりそう。でもでも、家で見る場合はチョッと経つと忘れちゃうし、作品そのものを堪能できない。本作はわざわざ出向いた甲斐ありで、★×5です、文句なく先端と感じさせてくれる。1日に1回の上映で客席は満員。目端の利く人はいくらでもいて、客層も年齢はバラバラ。ネット環境は既に当たり前だし、そういった常識がないと、本作は新しく感じないかも。 |
本作のどこが新しいかというと、ついに画面から入力装置が消えてしまった。刑事たちは捜査資料である映像ファイルのやり取りを、目に見える道具を使わずに行っている。会議もただテーブルに座って話しているだけ。そのシーンに説得力を持たせる映像がまさに斬新で、我々が現在PCモニター上でやっているセワシイ動作そのものを再現している。まるでターミネーターの視線のようですけれど、21世紀の人間はどんどんサイボーグ化しているのかもしれない。 |
2014年の「her/世界でひとつの彼女」で音声入力によってメールのチェックなどをしていたのに驚きましたが、それは現在スマートスピーカーで実現してしまっている。より先を行く映像を目指した結果なんですけれど、色味を押さえているのも効果的だと思う。「ルネッサンス」ほど極端ではありませんが、「ゼロの未来」より格段に抑えたトーンになっている。 |
そういった背景なので、「アジャストメント」などがオススメなんですけれど、展開されるお話は「攻殻機動隊」が既にやっている。神山健治によるSTAND ALONE COMPLEX、S.A.C.2nd GIG、S.A.C SOLID STATE SOCIETYなどでごく当たり前のように“視覚のハッキング”は出てくるし、ネット接続の会話は日常的。ただし、2000年代だけに敢えて描写は誇張したものになっていた。 |
時は移り、現在の我々は危惧された政府の管理下ではなく、GAFAの支配下にあるようだ。行動から思考に至るまで、次から次へと収拾されている。そんな渦中にあって、タイトルになっているANON=匿名でいることこそ技術を必要とする。「シモーヌ」、「ガタカ」を手掛けてきたアンドリューならではの世界観で、「TIME/タイム」のアマンダ・セイフライドがアレのスカーレット・ヨハンソンよりシックでいい感じです。 |
「赤ずきん」から格段に大人の雰囲気になった彼女を追う刑事役がクライヴ・オーウェン。「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」では情けなくも老けましたけど、コチラでは8つもサバを読んで、哀愁を背負った中年刑事に化けている。この人の近未来モノだと「トゥモロー・ワールド」が好きなんだけど、画面全体がスタイリッシュなもので「ザ・スクエア 思いやりの聖域」が思い出される。同じ刑事モノでも娯楽超大作の「チェイス!」とはエライ違い。 |
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「ドローン・オブ・ウォー」からご無沙汰でしたが、アンドリュー・ニコルのテイストは健在です。すぐに「蜘蛛の巣を払う女」を観ることになりますが、世界観は後塵を拝することになりそうだ。秒進分歩の21世紀だけに、作品世界をドンドン更新していかなければならないし、視聴環境とて変化の只中。チラシの画がいかにもB級になってしまうのが残念ながら、幸先の良い2019年のスタートです。 現在(1/10/2019)公開中ですけれど、最終日でした。 オススメ★★★★★ |
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関連作 |
チェイス! |
黄昏時を迎えている合衆国、日本の映画に元気があるわけがない。シックリくるのはそれぞれ「フロリダ・プロジェクト/真夏の魔法」、「万引き家族」で、現実を直視する作品。派手な品と言えば「アベンジャーズ/インフィニティウォー」とか「機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)」になるんだけど、旧作のリードタイトル、反復補完の物語に落ち着くしかない。やはり「バーフバリ 王の凱旋 完全版」を打ち出してくるインドじゃないと、元気になる娯楽作は無理。 |
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「ボヘミアン・ラプソディ」より前に絶叫・応援上映していたのに、インド映画の知名度、人気はそれほどでもないらしい。なにせ見ようと思い立ったは良いけど、近隣のTSUTAYAに在庫がない。仕方がないから「メアリーの総て」を新宿で観るついでに渋谷で借りたけど(「キッチン」もそうだった)、Windows+Gもあるし、配信がますます有利になっていきます。 | ||
さて、近所の店に在庫がないし大丈夫か?との思い込みを吹き飛ばす、とんでもないアクション超大作。大雑把に「グランド・イリュージョン」の枠なんだけど、マジシャンではなく、サーカス団を使っているところがミソ。基本的に派手なミュージカルシーンは必ず入るインド映画、ここがダレ場に小気味よく、圧巻のバイクアクションはさすが。 |
車だと「ベイビードライバー」があったけど、昨今バイクの似合う男は「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」のライアン・ゴズリングくらいしかいない。だいたい女性にお株は奪われておりましたが(「ドラゴンタトゥーの女」、「THE NEXT GENERATION/パトレイバー第五章」)アクションを展開するのは「ダークナイト・ライジング」以来じゃない?それにしても小気味よく派手なうえにトランスフォームしてしまうとはやりたい放題。 |
銀行を襲う主人公サヒールを捕まえるために、無理やりインドから間抜けな刑事コンビを呼んできちゃうとは映画ならでは。「ブラック・レイン」、「プレイデッド」みたいなシリアスさは微塵もなく、言葉だってかなりいい加減に通じてしまう。「ルパン三世」もインド映画がリメイクしてくれたら・・・。コメディとアクションのバランスは絶妙で、アッと驚かされる仕掛けはまだまだある。 |
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なんと「××××××」と同じことをやっていて、もう一つ「×××××」の要素も盛り込んでしまう。「ダンガル、きっと強くなる」も素晴らしかったアーミル・カーンはさすがの変身。サーカス団に新人として入るアーリアも極上の美人で、ちゃんとラブロマンスまで展開させてしまう。「007/スペクター」とてこの作品に比べたら鈍重で、上映時間152分をフルに使い、笑いとスリルと涙を贅沢に観客にご提供、娯楽作の王道ですな。 オススメ★★★★★ |
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