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    万引き家族

 日本の今を知る貴重な手がかり
もはや成れの果て、という実情は覆い隠せない
「万引き家族」
お気に入りの監督なんだけど、是枝裕和が怖くなった。

        万引き家族

関連テーマ  家族の絆  ギャガ(GAGA)  真っ向勝負の日本映画

 現在家族の2名を欠いて、日々親の介護施設の手続きやら、見舞いやらで時間は次々に消費されていく。本日も夜勤明けで7:30に帰宅、介護保険施設の方が13:30には来訪するので、さっさと寝てからお待ちする。手続きはリハビリに関するものなんだけど、なんとか14:30には今後の打ち合わせが終了。その後ですからね、劇場に向かうのは。とは言っても休日なんだから、じっとしていれば良いのに、映画だけは止められない。

 ただ、無駄な時間の過ごし方ではないハズです。TVにしろウェブサイトにしろ、知った途端に忘れるヘッドラインは、なんら役に立たない。本作に関しても同僚が“政府の助成金騒ぎ”に関しては知っていても、「最後は死体遺棄までいくぜ」と言ったら驚いていた。情報のつまみ食いは、頭を空っぽにする作用がありそうだ。強制的に2時間、身体に染み込ませる劇場鑑賞が有効と信じます。

 
 で、ギャガ(GAGA)も当てているし、なんとフジテレビも一枚かんでるしで、宣伝は効果的かつ広範囲になっているんでしょう、シネコンの一番でかいスクリーンでの上映。「そして父になる」の時以来なんじゃないかな?「奇跡」の時はギッシリ詰め込まれたし、「空気人形」まで遡ると・・・。もう是枝裕和は宣伝文句に巨匠とか使われても、誰も疑わないでしょうね。

 キャストはハマっていて、ついにリリー・フランキーが主演。初参加の「そして父になる」から「海街diary」で“是枝作品に“欠くことのできない要素化しつつある”と思ったし、「海よりもまだ深く」のワルも完璧だった。もうひとりは樹木希林で、この人も「歩いても 歩いても」以来欠かせなくなっている。もちろん“是枝作品は子供が素晴らしい”も継続されている。よって新味はどこかというと、安藤サクラと松岡茉優(「聲の形」に声優としても出ているのね)。

                        

 是枝作品は“我々が目を背けている日本”を見せてくれて、ありがたいけど苦い良薬。倫理もクソもない万引き家族の中で、松岡演じる亜紀は風俗で稼いでいる。いやはや生々しいですけれど、「彼女の人生は間違いじゃない」「チチを撮りに」も若い女の子が風俗で働いている実情は描かれる。AV女優とかグラビアアイドルの数を見れば“金に困っているのは国民のほとんど”ということくらい分かりそうなのに・・・。

 
 そして安藤サクラにはホントに驚かされた。履歴を漁ると「家路」「クヒオ大佐」しかヒットしないけど、まるで覚えていない。ところが最も重要で、おそらく監督の鋭いメッセージは彼女の口から発せられる。ぜひご覧になってご確認を。ある種のサイコパスだからこそ、ああも言い放てるのかな?とも思えるし、まっとうな感覚も備えているし・・・。
 店長やっていたから万引きは天敵なんだけど、手口そのものは気をつけていれば防げる幼稚なもので、あまり参考にはならない。ホームレスは既に「MY HOUSE」があるから、この選択になったのかな?子供を拾って大冒険は「東京ゴッドファーザーズ」なれど、もう滅茶苦茶生々しい。最下層にだってヒューマニズムはあるけど、倫理観の欠如は最上層(センセイたち)と似たりよったり。
 また派遣労働者の実態なんて、“俺の職場と変わんないな”というくらい生々しい。そして育児放棄も「彼らが本気で編むときは、」が描いたけど、あの拾われる女の子の実の母親、恐怖の日本人=TV視聴者そのものでゾッとする。アメリカ映画にも「ルーム」があったけどさ、消費し尽くすまで止めない資本主義信者に提供するにはこのくらい淡々と生々しく描かないと伝わらないものか。死体遺棄のシーンはホラータッチじゃないからね。  

 過去作品が投影されているようなシーンはそれなりに楽しめて、留置場で相対する場面は前作、捕まりそうになって飛び降りるシーンは「誰も知らない」、唯一笑えるナニの2回目で子供たちが帰ってくるトコは「幻の光」っぽいかな?そうそう柄本明も出てきますよ。海水浴はもちろん「海街diary」、家族に接見する刑事2名は「ワンダフルライフ」とは強引ですかな。

                                           

 林立するビルの谷間にたたずむ日本家屋、「レンタネコ」でもよく見つけたなと思ったけど、象徴的ですね。後先考えずに血眼になって資本主義とやらを信じ、あとは放ったらかし。駄菓子屋が閉まっちゃうトコも示唆的だ。辛辣な笑いが散りばめられていた方が、むしろ救われるのに、是枝裕和は心理的な余裕を持たせてくれない。ずっと観てきたけど怖い人だ。今の日本を知り、腰を据えて考える時間を設けさせていただきました。
現在(6/11/2018)公開中
オススメ★★★★★

 

その他の関連作

女神の見えざる手  メイジーの瞳 それでも生きる子供たちへ

ルパン三世  オーシャンズ13 ありがとう、トニ・エルドマン

日本と再生 光と風のギガワット作戦

 

 

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  追記:ド田舎でもぜんぜん平気、むしろ助かっている。

 今年は1月の「レディ・ガイ」で横浜ニューテアトルに行って以来、近辺の映画館にしか足を運んでいない。アミューあつぎ映画.comシネマ、TOHOシネマズ小田原、小田原コロナシネマワールド、TOHOシネマズ海老名のみ。PCという機械の力を借りると、とたんに自分の衰え具合を思い知らされる。もっとも私めだけでなく、家族全員なんだけど。3月に母親がくも膜下出血で倒れて以来、生活費を稼ぐ賃労働には身体、家のことには頭、といった具合に休みなく延々と仕事をしているようだ。

 五十路になれば当たり前で、チャラチャラしている若者が羨ましい。という渇望を常に抱きながら、なんとか生き延びている。もっともこれが都会だったら、悪くすれば「万引き家族」、良くても「海よりもまだ深く」という有様だったに違いない。少なくともご近所はみんな顔見知りだし、みっともない真似はできない。それだけでなく、お隣からオハギとか、まぜご飯などを貰ったりしていると、助かるなぁなどとホッとするのだ。

 5年以上前だったら、IT機器も今ほど進歩していないから、インターネットの恩恵は不十分だったけど、今では持て余すくらいになった。配信映像はうんざりするくらいの量に達しているし、HDDに突っ込んである音楽を再度掘り起こせば良いだけ。店頭に並んでいるNew Releaseは新曲シールが貼ってあるだけで、使い回しなのはよーく知っている。じっくり何度も坂本龍一asyncを聴いている方が健康によろしい。

 日々の暮らしが仕事になると、TVのニュースもTwitterで話題になっている事柄もまるで頭に入ってこない。「欲望の資本主義」でキッパリと“あれはショウだ”と明言されていたし。Twitterも宣伝効果はあってもそれ以上ではない。マスメディアをスルーしたって、好きなラーメン屋のマップは自分で作れる。むしろぼんやり眺めていられる富士山が、町内にあるから目も休まる。

 険しくとも理想の里山生活が「おだやかな革命」で、世も末の都会生活は「万引き家族」。両極の中間に位置するようなド田舎ですが、今のところ快適とまではいかないが、悪くもない。むしろアミューあつぎ映画.comシネマに行く時に小田急線を利用しますが、ベタベタと貼られている宣伝、モニターに映るCMなどが“行き詰まっている資本主義”に感じられて気の毒。たった5年前に暮らしていた空間が、ひょっとすると自分を追い詰めていたのかな?
(6/14/2018)

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