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    ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

 この手のジャーナリスト映画が、いつまで経ってもタイムリーなのはなぜ?
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
彼は締め出したから、とどめを刺されちゃたんだね。

    ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書


関連テーマ  ジャーナリスト映画  アカデミー賞  スターと監督

 最初の一報に接したのは、去年の11月だったスティーヴン・スピルバーグ最新作。彼の“あまり目立たない作品”は見逃すと損だと感じたのは「戦火の馬」辺りからで、遡って「アミスタッド」「ミュンヘン」などは未見の方にオススメです。よって「ブリッジ・オブ・スパイ」も見逃さず助かったけど、「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」は子供向けだけにもう一息だった。とはいえもう来週には「レディ・プレイヤー1」が控えているんだけど。

  

 主演の2人も宣伝効果抜群で、初共演じゃないかな?メリル・ストリープトム・ハンクスは。もっとも綿密にデータを漁ったわけではないから心許ないですけれど。そこんトコはオッサンだということでご容赦願いたい。で、今回のメリルは期待大です、1作前が「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」だっただけに・・・。予告の感じは「大いなる陰謀」の延長線上っぽい芝居だし、奇抜さはなさそう。またこの人とスピルバーグのお仕事は「A.I.」くらいですかな。

 トム・ハンクスに関してはいつの間にかスティーヴンとのコンビ作が5作目になっている。トムもねぇ「パンチライン」「ドラグネット・正義一直線」の頃からは想像もできない、ヒット作に欠かせない役者さんになっている。ロン・ハワード「インフェルノ」クリント・イーストウッド「ハドソン川の奇跡」に出ては当てて、「ザ・サークル」といった若手の監督ともお仕事している。監督、主演が鉄壁の布陣で挑むのはジャーナリスト映画。

                                

 昨今の世界情勢を嘆いても仕方なく、ひたすら推移を見守っていなければならない。この作品から得られる情報も半端じゃないと思います。邦題は扱っている題材に焦点を絞っておりますが、副次的にジャーナリスト、マスメディアの世界を知る契機を作る。原題はいたってシンプルで“THE POST”。村上龍氏のエッセイで触れられていたけど、アマゾンのジェフ・ベゾスがココに描かれているワシントンポストを買収したのは2013年。

 本作が描いているのは1971年、ベトナム戦争の渦中にある合衆国。その当時を描いている作品はいくつか観ていて、昨年は「ドリーム」「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」などがあった。おかげでTVが醸成した情報とは違った角度を持てるようになりましたが、まだまだ明確にはなっていないことはある。そして不明なままにしておいたから、またまた繰り返しちゃってるんだなという気にもなる。

 現在とシンクロさせるために「スノーデン」が参考になりますけれど、隠蔽された不正、不祥事は誰かが身を挺して世に知らせないと、闇に葬られるのが常。本作でも戦争から何から、合衆国政府が不正そのものを隠蔽し続けていた事実は、内部からじゃないと出てこない。ただし、その後こういった映画によって人々に整理して伝えられる。「J・エドガー」お陰さまで歴代大統領はFBI長官によって盗聴されていたことも知ることができたしね。

 暴露の過程をスリリングに描くのなら、「大統領の陰謀」があるので、同じことをしても意味がない。よってその当時の新聞社事情も合わせて描かれている。家族経営だったワシントン・ポストは、今まさに株式公開しようとしている時期。これって「ジョー・ブラックをよろしく」がオススメなんですけれど、近い部分があると思います。で、特ダネは掴んだが、政府と対立しても発表するか?といった生々しいところにドラマが展開。

 編集主幹は当然ブン屋根性丸出しだから、政府の検閲に屈するものかというオッサン=ベン・ブラッドリー。ところが上流階級に属している社主のキャサリン・グラハムは政界関係者に“お友達”も多いし、なにより元ネタを作成した張本人マクナマラと長年のお付き合い。ココんトコが見せ場で、トムメリルのお芝居炸裂。喧嘩腰のベンに対して「お友達のJFKのことは悪く書かなかったじゃない」とは「大いなる陰謀」を観ているだけにニヤリとしてしまった。政治家と仲良しだと情報は得られるけど、同時にコントロールもされてしまう。

 スピルバーグ作品で役者が目立つのって、今までそんなになかったような。わりと観ていて気がつく人が他にもいて、かつてJFKも演じたブルース・グリーンウッド。この人はシリアス作の印象が強くて「ドローン・オブ・ウォー」とかがオススメ。もう1人やったと握り拳だったのがニューヨーク・タイムズのエイプ・ローゼンタール役のマイケル・スタールバーグ。先月の「シェイプ・オブ・ウォーター」に続いてなんだけど、「リンカーン」にも出ているらしいから、チョイと見てみるか。

            シェイプ・オブ・ウォーター

 ではスピルバーグらしさはというと、ちゃんと活字印刷される新聞の工程に出ていると思う。丁寧に追っていて、新聞社を描いた作品のクライマックスと言える。95年の「ザ・ペーパー」の時は、まさか消滅の危機が迫ってくるとは思っていなかったけど、2014年の「LIFE!」では決定的だった。本作単品では気がつきませんが、幾つか見てきた方ならご納得で、信じられない品揃えの動画配信で並行観賞しても確認もできます。

 「スポットライト 世紀のスクープ」にしても過去の出来事ながら、キッチリ覚えておくことは大切だと痛感。なにせ周知されないもんだから、けっきょく似たようなことが繰り返されている。TVを見てもTwitterを追いかけても“あいも変わらず繰り返している”としか思えない。“政治家は監視対象で、お友だちになると報道は無理”は本作を通じて感じる。ただし、いずれ泣きを見る大統領は、彼らを締め出したから、引導を渡されちゃったのね、というラストは爆笑だった。まさかあの有名な作品の前日譚だったとは、ぜひご覧になってご確認を。
現在(4/16/2018)公開中
オススメ★★★★☆
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その他の関連作

 

フォレスト・ガンプ一期一会  地獄の黙示録  ディア・ハンター

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関連作

                      大統領の陰謀

 本作をウォーターゲート事件の起点と考えて、前日譚が「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」、スピンオフを「ザ・シークレットマン」と捉えて並行観賞してみるのも一興です。そして政治家とはただの人気商売に過ぎなくなっている現実を、垣間見る機会を作るかもしれない。知ったところで変わるものか、ではなく少なくとも、フェイクニュースを濾過する視点は得られるのでは?TVのニュースだけでなく、Twitterで飛び交うデマも。

 映像資料として優れているのは70年代がまんま映っていること。当時の人々は当たり前のように、鉛筆とタイプライターを使っている。最新作の「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」がうまく回避していた部分だと思う。それと電話をかけまくって、食い下がるぶん屋根性も見事に刻まれている。アチラでトム・ハンクスが演じたベン・ブラッドリーも当然出てくるから、楽しめます。
 
 背景を前日譚のアチラで知るとは私めも後世の人間に属するわけで、当時の人々にはどうだったんだろう?ワシントンポストが大統領によって干されていた事実は周知のことだったのか。似たような関係は「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」「ローマの休日」で、目が疲れること。膨大な量の映画から2作品、3作品を同一画面上に映しながら見比べる。こうしてメモしておけば、なんとか思い出せますけど、あまりオススメできる観賞法ではありません、蛇足ながら。
 
 2日に分けて読むように見るといった観賞は、映画にとっては魅力を半減させてしまいます。一時停止してデータベースを確認して、といったことをしていると、確実にスリルが殺されてしまいます。とは言っても監督はアラン・J・パクラだろ、メリル・ストリープとは「ソフィーの選択」で仕事してるじゃん、などと散漫極まりなく、若き日のロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが、隠蔽された政府の陰謀に迫っていく過程が台無し。時間を取ってじっくりご覧ください。いちおう私めは2度目ですので。
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        不都合な真実2:放置された地球




 続編を望むドキュメンタリーは今のところ「0円キッチン」なんですけれど、コチラは見ていて損はしないニュースとしてオススメ。東日本大震災と原子力発電所事故に関して、ナチに関して、権力者に関して、それぞれ定期的に観る方が、うるさいTVニュースより有効な時間の使い方、と昨今は痛感。じっくり腰を据えて本を読む時間がないのではなく、老眼が進んで細かい字が読めなくなっている。

    ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書   

 前作から10年経過しているわけですけれど、その間にエコロジーの仮面を被ってディストピア化が進行。すり替えるのが実にうまい人々はあいも変わらずTVカメラに向かって喋っている、根絶は不可能。結果として服従の心理を利用するサイコパスによって、6割の人々はブツブツ呟きながら、深刻な事態が迫っている予感がするものの、日々を暮らしている。

 もっともこれは私めの認識でして、一般的ではありません。50代ともなりますと、介護に追われる生活にもなってくる。ただし、現在暮らしているド田舎に感謝で、少なくとも山間部なもんだから、道路が水浸しになったりせずに済んでいる。ホッとするのはせいぜいそれくらいで、髪が白くなるまで地道に活動を続けてくれている、元副大統領には素直に感謝。

 本作でクッキリするのは、2015年のパリで起こったテロ事件。TVが飛びつくのはこの種の殺伐とした対立を煽るネタで、未然に防がれたことは殆ど知られていない。よってクリント・イーストウッド「15時17分、パリ行き」を残したし、「メイド・イン・フランス -パリ爆破テロ計画-」で語られるのは、予備軍が3,000人もいるということ。

 一人じゃとても追いつけないから、協力者を募るのは間違っていない。ただし、セミナーの感じがさ、「ザ・サークル」を思わせて大丈夫か?とも思う。何でもかんでも疑ってかかるのは良くないので、カナダの若き首相も映っているし、代替エネルギーとして太陽光発電を取り上げていて、原発のげの字もないから、アル・ゴアの言葉は信用しても良さそう、ではなく賭けてみる価値はある。
オススメ★★★★☆
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  15時17分、パリ行き
 







 

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