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ロープ 戦場の生命線 |
観賞劇場 | アミューあつぎ映画.comシネマ |
関連テーマ | 戦争映画 アミューあつぎ映画.comシネマ |
多種多様な映画があって、それなりに数を観ていると、だんだん大手の情報というか紋切り型の宣伝に辟易するようになる。また50歳で介護生活をしているわけだから、当然行動半径も限られてくるし、刻々と時間は早送りで進んでいく。よってたどり着く先はもちろんアミューあつぎ映画.comシネマ。もっとも昨日「犬ヶ島」を観たTOHOシネマズ小田原も、ウェス・アンダーソンの女性ファン以外は見かけなかったような。 | ||
インターネットにかじりついていると、遅れている自分を見出すだけ。よって予告編とチラシのみで、当たり外れは神だのみ。本作はものの見事にオッサンを直撃、★×5です。監督はまるで知らないフェルナンド・レオン・デ・アラノアなれど、「マジカル・ガール」と同じスペイン産。キャストは文句なしでベニチオ・デル・トロ、ティム・ロビンス、オルガ・キュリレンコに加えて「昼下がりの背徳」、「バビロンA.D.」にも出ているメラニー・ティエリー。 |
勉強になったのは本作に登場する“国境なき水と衛生管理団”。確かに戦争で最初にやるのはインフラの破壊で、水は生き物にとっては最重要。この題材に「007/慰めの報酬」に出ていたオルガが出演するのも何かの縁。また舞台がバルカン半島だけに、「あなたになら言える秘密のこと」のティムが出てくるのもニヤリとしてしまう。「ウェルカム・トゥ・サラエボ」から20年も経っているんですから、覚えている人の方が少ないのかも。 |
紛争地域を描く作品はたいていジャーナリストが主人公で、怖いものもあれば(「おやすみなさいを言いたくて」、「ある愛の風景」)、笑いをまぶしたものもある(「アメリカン・レポーター」)。戦地で生き延びると日常に復帰することが難しいのは「ハートロッカー」が代表的。また兵士、ジャーナリスト以外が主人公になっている「あの日の声を探して」もありますが、たいていはシリアスな感動作。 | ||
本作は「ノー・マンズ・ランド」とか「ククーシュカ」のラインなんだけど、大人が観ていて納得の仕上がり。実際に活動に参加した人が執筆していて、随所にその目で見てきた事実が散りばめられているのでしょう。監督も心得ていて、わざわざ“バルカン半島のどこか”という舞台設定にしている。起こった事件をいくら訴えたって伝わらないんなら、このやり方で描く方が効果的。この劇場の前説に感謝です。 | ||
井戸に死体を投げ込まれて周辺住人は水が飲めなくなってしまう。引き上げるにはロープが必要で、それを探し回る面々。戦地だけに地雷が埋められていて、手口のなんと巧妙かつ現実的なこと。牛の死体を道の真ん中に置いといて仕掛けるんだもんね。ティム演じるビーは古参だから見抜くけど、言ってることが合ってるようなズレてるような。「さよならゲーム」とか「未来は今」の芸風がそのままシフトしているようだ。 |
生真面目な新人役がメラニー演じるソフィーなんだけど、彼女とオルガ演じるカティヤは作品の華としても機能する。メラニーはちょっと前ならスカーレット・ヨハンソンがやっていそうな感じで、オルガはいずれキャサリン・ゼタ=ジョーンズみたいになっていきそう。もちろんベニチオがチームのボス=マンブルドゥで、「スターウォーズ/最後のジェダイ」の変人や「ボーダーライン」の復讐鬼とも違って、いかにも紛争地域慣れした感じを出していて素晴らしい。 | ||
ホームページの宣伝文句だと“感動のヒューマン・ドラマ”ってなっているけど、本作に描かれる紛争地帯の日常、緊張の連続で通常の感覚が麻痺しきっている人々はよく描かれていると思う。ベニチオとティムは典型的な人物を見事に体現している。また物語を駆動させるのはロープながら、原題の“A PERFECT DAY”はまさに合致したタイトル。 |
うまくいかない日こそが完璧な一日で、トイレの処理に向かうラストにもニヤリとしてしまった。私めの家の近所に下水道はなくて、衛生車が今朝来たばかりだったもので。もちろん道中で合流するニコラ少年のエピソードは戦争そのもので、100ドル札を渡すマンブルドゥのあきらめを含んだ表情がほろ苦くてたまらなかった。国連軍に関しても「アンダーグラウンド」よりよく描けていると思う。鳴り響く“あの兵士たちは今どこに?”はストレートだ。 現在(5/28/2018)公開中ですが、6/8までです。 オススメ★★★★★ |
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