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MEG ザ・モンスター |
すっかり気温も下がって秋の気配が近づいております。7月からサマーシーズンだと仮定すると、“夏の目玉”と考えられる品は「オーシャンズ8」と「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」くらいしか観ていない。観賞本数に変わりはなくとも、体力が落ち、秒進分歩の情報に追いつけなくなると、アミューあつぎ映画.comシネマに行く回数が増える。とは言っても「バーフバリ 王の凱旋 完全版」などは、とてもミニシアター系じゃないと思うがどうか。 |
で、ホントだったら夏真っ盛りの時に上映されていて当然のサメ・パニック、なんと9月にずれ込んで公開。あれだけ暑かったんだし、“肝を冷やす”ネタは受けると思うけど。もっとも、なかなかこの手の作品で新味を出すのは難しく、いくつか観てますからねぇ、ビックリしたりしない。それは昨年の「エイリアン:コヴェナント」しかりで、五十路にもなりますと、“現実に起こりっこない”と頑なになるし、「日常」のはかせとは違ってサメ好きでもないし。 |
では、なんで小田原コロナシネマワールドに足を運んだかというと、監督がジョン・タートルトーブだった、この一点のみ。この薄弱な理由にはオマケがあって、来週にならないと、食指の動く作品が見当たらないのです。いちおうジョンは「クール・ランニング」~「キッド」までだいたい観ていたし、「ラストベガス」は見逃しちゃったし。でも、ホームページだと「ナショナル・トレジャー」が代表作になっていてトホホ。「フェノミナン」、「あなたが寝てる間に」も忘れちゃ困りますよ。
彼に対する評判は知る由もありませんが、この手の大作は肌に合ってないような。どこか優等生に徹してしまって、怖がらせ方にガキっぽさがない。これは致命的で、いつまで経っても「JAWS/ジョーズ」は越えられないのかもしれません。「ロスト・バケーション」も健闘していたけど、サメのドキュメンタリーもYouTubeで見放題だし、“知ってるつもり”の人がいっぱいいる21世紀に、完全フィクションでお客さんを楽しませるのは至難の業。
またパニックとアクションスターの合体技で勝負なので、ジェイソン・ステイサムが出てくる。彼の起用は納得で、もともと水泳の飛び込み選手。おすぎさんのビデ・シネプレビューでも彼が格好いいとのこと。ただ「グレートウォール」と似たような感じなんだけど、中国資本参入とキャストが作品を不安定にしている。アジアを舞台にした場合、どーしてもカチッとハマらない。「ラルゴ・ウィンチ」が良く出来ていて、「ブラックハット」が及第点って気がするのです。
じゃあまったくダメかというと、21世紀ですから楽しみ方は幾らでも見つけられる。邪道なんですけれど、帰宅後に本作の豪華さを確認してビックリ。キャストのリー・ビンビンは既にハリウッド進出済み。彼女を発見した「1911」で、孫文を演じたウィンストン・チャオも出ているし、「ゲットスマート」がオススメのマシ・オカも光った。もっとも中国出身の女優さんで一番のお気に入りは、今のところ「スペシャルID 特殊身分」のジン・ティエンなんだけど。
米国勢も負けてなくて、派手な刺青のルビー・ローズは「ジョン・ウィック:チャプター2」で目立ったからね。もう一人主人公ジョナスの元妻役ジェシカ・マクナミーは出番がもっと欲しいと思っていたら、次に予定している「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」に出てくるそうな。華じゃありませんが、クリフ・カーティスは見覚えがあって、「クジラの島の少女」に出ていたことを確認。
スタッフも製作の一人コリン・ウィルソンは「ザ・シークレットマン」、「デトロイト」を直近で観ていて、撮影はトム・スターンだよ、クリント・イーストウッドの「15時17分、パリ行き」、「ハドソン川の奇跡」の人。更に音楽のハリー・グレッグソン=ウィリアムズは「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」が去年で、10本以上担当作を観ている。また出演した「素晴らしき映画音楽たち」を、もう一度チェックしないと…。
キャストもスタッフも文句なしの豪華さで臨んだのに、けっきょくB級路線でしかないのはこの手の作品の宿命。関連作を探しながら観ていますので、冒頭部分は「レッドオクトーバーを追え!」が参考になるし、仲間の救出劇は「オデッセイ」。洋上プラットフォームを舞台にした作品は「バーニング・オーシャン」、小型潜水艇のシーンは「ヴァレリアン
千の惑星の救世主」にもあったなぁ…。
監督のジョン・タートルトーブにはぜひ原点回帰というか、ハートウォーミング作に復帰してもらいたい。もっともジェイソン・ライトマンとか「さよなら、僕のマンハッタン」のマーク・ウェブなどがメキメキ出ているし、難しいのかも。もし撮ったとしても配信限定だったら、気づかずにスルーってこともあり得る。未見の「ハーモニーベイの夜明け」がさ、近隣のレンタル屋から消え失せて、配信にもなっていなくて、チョッと悔しい昨今です。
現在(9/25/2018)公開中
オススメ★★★☆☆
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ロスト・バケーション |
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「MEG
ザ・モンスター」と並行観賞して、スケールの大きい小さいを見比べて楽しむもよし、主演のブレイク・ライヴリー(「かごの中の瞳」が楽しみ)にデレデレになるもよし、とは冗談ですけれど、「エスター」の監督ジャウマ・コレット=セラは一味違ったアプローチでサメ・パニックに臨んでいる。無人島独りぼっち「キャスト・アウェイ」の短縮版って要素とか、スマートフォンが日常になっている“せっかちな今”とかを組み込んでいる。 ブレイクは「アデライン、100年目の恋」でお気に入りになったにもかかわらず、本作をスルーしたのはもったいなかった。トム・ハンクスはアレで、マット・デイモンは「オデッセイ」、ウィル・スミスは「アイ・アム・レジェンド」で“ピンでイケる役者じゃないと持たないネタ”に挑戦しましたが、彼女も実力を証明。キレイなだけじゃないのです、ちゃんとサーフィンしていたし。 もっとも「ソウル・サーファー」をご参照いただくと分かりますが、もし30年前だったらヘレン・ハントが挑戦していたかもしれない。無人島ネタの短縮版、サーフィン映画、パニックの合体技で、刻一刻とリミットが迫る。上映時間も86分とコンパクトだし文句なし。もっとも、もし主人公が男の場合、成立しなかったかも?なにせ「アンブロークン/不屈の男」で襲い掛かってきたサメぶん殴って食べちゃってたしね。 |
サメの出てくるパニックはB級の定番だし、数は多い。そこで王者「JAWS/ジョーズ」の路線を行くのが最適。出番はじらして後に取っとく、そこまでに人間ドラマを絡めて観客を誘い込み、一気にラストは畳みかける。こればっかりは変えようがなくて、本作も踏襲しているから、ある意味予定調和。もし本作が監督のデビュー作だったら、「モンスターズ/地球外生命体」とか「キャビン」みたいに注目されたかもしれない。また、モキュメンタリーを臭わせるシーンもあって、「トロール・ハンター」のラインでやってたら・・・。
オススメ★★★★☆
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