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英雄は嘘がお好き



     ここにテキスト

 



教誨師  傾聴に値しない話こそ、
我々にとって身近な真実。
死刑の是非ではなく、
深い問いかけ
「教誨師」
今更だが、大杉漣が亡くなったのは惜しい。
 

















  教誨師  

観賞劇場 小田原コロナシネマワールド 小田原コロナシネマワールド  


関連テーマ  真っ向勝負の日本映画  日本映画の新しい流れ  


   仕事が終わってから劇場に行く。昨今このパターンになっておりまして、情けないやらアホらしいやら。小田原コロナシネマワールドの駐車場に停めて、車中で仮眠取ってから観賞とは。ま、介護生活しているわけですし、使える時間は限られております。家で見れば済むところながら、とにかく記憶に残らないし、液晶モニターは目が疲れる。それと、黙って見ていないでマウスをイジっちゃうしね。  
 主演とプロデュースを兼ねた大杉漣が亡くなったのは今年の2月、「人生はシネマティック!」「シン・ゴジラ」が見納めなどと記しておりますが、本作こそ相応しい。「万引き家族」より深く考えさせられる内容で、現時点で邦画№1。アメリカ映画に負けじとCGを駆使してスケールを大きくするよりコチラの方が効果的。対話形式だから二人芝居になるんですけれど、「ふたりの旅路」も良かったし、悪くないです。  
       
   人生はシネマティック! 万引き家族 ふたりの旅路  
     
   接見する受刑者は6名、それぞれ効果的に配置されている。初めは口を利かない鈴木貴裕、この人物と主人公の佐伯保を対峙させることで、牧師の背景も描くことができる。ほとんどが会話だけなので、出演者は実力を試される。もっとも、話される内容はたいていの映画なら採用されない“傾聴に値しない”もので、通常のドラマを期待した人にとっては退屈かも。ただ、ミニシアターランキングで1位になっているし、死刑制度に関心のある人にとっては、良い材料だと思う。  
   ドラマ的な会話ではなく、ごく日常で接する話し方にグイグイと引き込まれていく。なーんにも話さないと思っていたら、ストーカーだったり(「コンビニ人間」に出てくる白羽さんっぽい)。よく喋るけど、ちゃんと聞いていると虚言症のオバちゃんだったり(なんと「四季・奈津子」の烏丸せつこが・・・)。読み書きできない爺さんはあまりに生々しくて。店で働いていたし、派遣の現場をいくつも見てきたから実感で、読み書き云々ではなく、狡猾な奴に騙されそうな人はいっぱいいる。


       
   際立つのが三石研扮するやくざの親分との場面。双方“名バイプレイヤー”と称されてきたし、掛け合いは見事だ。この人の「シン・レッド・ライン」はビックリながら「めがね」「レンタネコ」といった荻上直子作品だけでなく、「時効警察」もお気に入り。「アウトレイジ ビヨンド」に出ているだけに、実際のヤクザの話がこれまた説得力がある。  
 本作で身を乗り出したのは、マスメディアのデマそのものを垂れ流す高宮真司との場面。まさに悪魔の手先で、演じている玉置玲央は「39刑法第三十九条」を参考にしたのかな?と思ったら劇団出身だそうな。なんで悪魔かというと、最初に「統合失調症なんですよ」などと話している。「ザ・ライト/エクソシストの真実」がパッと思い浮かんだし、この人は黒い服のまんま。
 それにしても、耳を塞ぎたくなるご高説で、対する佐伯も次から次へと繰り出される言葉にひるんでしまう。マスメディアの情報を口から垂れ流す人は、すべて悪魔の手先だなどとは言わないけど、警戒しないとね。恐らく彼らの目的が屈服にあるからなのでしょう。チョットした隙につけ込むんだよなぁ。目には映らないけど周囲にいるのかもしれない(「コンスタンティン」)。  
 予算のなせる業かもしれないけど、無駄な部分はまるでない。作品全体の感じは「午後8時の訪問者」とか「サンドラの週末」に近く、音楽も無駄にかからない。かと言って平板な描き方かというと、幽霊が出てきたり、ひょっとすると超能力が備わっているのでは?と思わせる人もいるし、侮れません。それぞれの出演者の熱演はぜひご覧になってご確認を。
   「デッドマン・ウォーキング」も死刑制度を考えさせる作品でしたが、本作もまたしかり。“遺族感情を考慮して”とか“国家による殺人を許すのか”といったマスメディアの扇動は無視してじっくり考えると、日本の死刑制度はなくならないと思う。自分が罪を犯したら?、自分の身内がそんな目に遭ったら?、身内の一人が死刑囚だったら?という風に自問するとね。


       
     
   選ぶ題材にしても今回の芝居を見ても、惜しいとしか言いようがない大杉漣という俳優。「ソナチネ」辺りから気になって、「眠らない街 新宿鮫」にチラッと出てくるのにニヤリとして、「犬、走る DOG RACE」も断然オススメだなぁ。そうそう、「落下する夕方」に出ていることも忘れていた。YouTubeで原田知世のPV見るまでとは情けない。

現在(10/11/2018)公開中
オススメ★★★★★
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  その他の関連作  


       
     
     
     
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  関連作  

  


  ハーモニーベイの夜明け  

 「MEG ザ・モンスター」の時に近隣のTSUTAYAにないことが判明、配信にもなっていないとなると、自分の中で観賞する価値が増すみたいです。置いてあった店で働いていた時は、見向きもしなかったのにね。「かごの中の瞳」を観に行くついでにTSUTAYA鴨居店で借りて来る。この過程に喜びを見出すのが、オタクなのかもしれません。で、肝心の中身なんですけれど、自分で良いトコを探さないとボツになってしまう品。 MEG ザ・モンスター
     
       


   スタッフは豪華な布陣で、音楽をダニー・エルフマン(「バットマン」)、撮影がフィリップ・ルースロ(「DIVA」)が担当していて、特殊メイクがスタン・ウィンストン。この人の仕事で有名なのは「ターミネーター」なんですが、ゴリラは知られていない。本作はCGに着ぐるみが勝っている例で、「ターザン:REBORN」が書割に見えてしまう出来栄え。「スターウォーズ/ジェダイの覚醒」は正解だったのです。  
       
     
 キャストも文句なくて、アンソニー・ホプキンス「羊たちの沈黙」以来檻の中にいるのが似合ってしまう。ドナルド・サザーランド(「再会の街で」)まで出てきて、作品に風格を持たせている。主人公のキューバ・グッディング・Jrは観客を作品世界に連れて行く狂言回し。精神科医ですけれど、「声をかくす人」「アミスタッド」「三度目の殺人」の弁護士たちと変わらない。  
     
   ルワンダの密林でゴリラと共に暮らしていて、レンジャーを殺して捕まり、合衆国へ移送されるパウエル博士。精神鑑定を依頼された若き医師テオは、研究材料として美味しいと踏んで、博士と対峙する。博士との接見を通じて、若者は大切な何かに気づく…、はパターンなんですけれど、邦題になっているハーモニーベイという刑務所がキモ。野生化している博士が、その中にいる状況から読み取れることは多い。  


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   勝手な解釈ですけれど、単純化すると、野生の中には平和はあって、人間の社会はどこまでいっても檻の中。象徴的なのが刑務所というわけで、原題の本能=INSTINCTがズバリ。刑務所の中では区別がクッキリあって、支配している側は一方的に暴力を行使できる。「es[エス]」が分かりやすく、働いている職場を見渡しても近いモノがあったり。人間を浮き彫りにする場合、猿は適しているのでしょう。「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」から「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に至るまでね。  
     
   監督のジョン・タートルトーブは惜しいことにツメが甘い。題材もスタッフもキャストも申し分ないのに、ガキっぽさというか下品さというか“ナニか物足りない”感じがしてしまいます。ただし、「教誨師」と並行して見ると、考える機会を作り、周囲を違った目線で眺めるようになる。マスメディア的な“優しさ”とか“思いやり”とか“人間の本性”といった浅いものではなく、より突っ込んだ感じですかな。
オススメ
★★★☆☆
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教誨師



























  

 










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