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ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

関連テーマ  戦争映画  フォーカス・フィーチャーズ

 “動物園を舞台に決死の脱出作戦を決行  「ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~」
歴史の事実を記憶に定着させるなら、本か映画が最適を再確認”

否定と肯定 女神の見えざる手
ヒトラーへの285枚の葉書

  「否定と肯定」に続き2週連続してナチ絡みの作品を拝む。CDV-NETのおすぎさんのレビューでも触れられていて、「私たち日本人がほとんど知らない事実を描いたもの」だそう。主演のジェシカ・チャステインは製作を兼任。サイコパスを演じた「女神の見えざる手」も良かったけど、ガラリと献身的で根性の入った動物園経営者に変貌。「ホワイトハンター ブラックハート」で語られるけど、戦争は否応なく人々に毅然とした姿勢を要求するのかもしれない。

 監督はニキ・カーロで、作品はだいたい見ている。「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」から7年経過、私めの記憶も衰えておりますので、この人の特徴が本作のどの辺りに出ているかは判然としません。しかし「スタンド・アップ」の人だけに、ナチの強姦魔としての側面をキッチリ刻んでいる。処刑にギロチンを使うような連中ですから(「ヒトラーへの285枚の葉書」)、野蛮な畜生。

 動物園を舞台にした作品は「幸せへのキセキ」がありましたが、本作の設定はオッサンに子供の頃に読んだ絵本「かわいそうなぞう 」を思い出させる。東日本大震災でもペットが放置されたままの事実を描いたドキュメンタリーがありましたが、状況次第で人間は無情なこともやってしまう。パンダに浮かれ騒ぐのは、TV視聴者の習性なんだろうけど・・・。こんなところで愚痴をタレていても仕方ないか。

 人間同士の殺し合い=戦争は日常をあっという間に破壊。生きるのに必死になる様は何度も映画で見せられた。舞台になったポーランドに関しても「カティンの森」とコチラと並行鑑賞すると、ちょっとだけ見えてくる。本作以後のワルシャワは「残像」も参考になると思います。“大国に挟まれた国”とは島国日本に生まれると、まるで実感できませんが、弱肉強食を思い知らされるのかもしれない。

 ナチが侵攻して街を蹂躙したあとは、ゲットーを設けてそこにユダヤ人を収容。「黄色い星の子供たち」にもありましたけど、平気で実行しちゃう兵隊さんたちに矜持ってあるのかな?最初は友達を匿っていただけなんだけど、だんだん収容された人々の逃亡を、手助けするようになるアントニーナとヤン夫妻。やってることは軍事作戦に等しく、「ソハの地下水道」より確信犯的だし危険。


 あのうすら馬鹿のナチに見つかったら?と緊張してしまいます。代表的なヘックを演じているのがダニエル・ブリュールで、この手の役が板についてきそう。「イングロリアス・バスターズ」から「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」に至るまでホントに連続している。ですから、ぜひ「コッホ先生と僕らの革命」とか「グッバイ・レーニン!」とかも合わせてお試しください。笑えるのは「二つ星の料理人」なんだけど。

 「ダンケルク」が込めたメッセージは“生きて帰ればそれで十分”だと思っていて、本作から読み取れるのは“生き残ることが全て”のような気がします。事実を継承していくのは後の人間の役目だし、第二次世界大戦の検証はもっと続けていかなければならないし、終わりなんてないのでしょう。動物園の夫婦を賛美したところで得るものなど何もない。この作品から生き残る術を学び取ることが重要。権威を背景にセクシャルハラスメントするような奴なんて相手にしない。

現在(12/15/2017)公開中
オススメ★★★★☆
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