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マイビューティフルガーデン


マイビューティフルガーデン

 “ベラ役の彼女だけでいいじゃない、前世紀の絵本を見ている心地よさがある
「マイビューティフルガーデン」世の中がデジタル化したからって、なにも全ての映画がそれに染まることなんてなくていい。”

 先週はオッサン必見の2本立て(「海辺のリア」「わたしは、ダニエル・ブレイク」)を観まして、アレコレと悩むでもなく、それなりに頭の片隅に置いて考えるようにしていた。老いた両親とか、これからそうなっていく自分とか。よってもはや若者が主人公の作品には縁遠くなるかと思いきや、本作のチラシはあっという間に宗旨替えさせてしまう。女優の威力をナメてはいけない。

 もっともトシを感じさせてくれますよ、主演のジェシカ・ブラウン・フィンドレイはもう「ニューヨーク冬物語」「ヴィクター・フランケンシュタイン」と2本観ている。片方は劇場で拝んだくせに、記憶から引っ張り出せないんだものな。もしこのPCという機械がなかったら、正確には記憶を外部化するという習慣がなかったら、もっと涼しい顔で“美人の新人見つけた!”とかホザいているんだろうか?危ないったらありゃしない。

 で、チラシにおびき寄せられて、ホームページの予告映像で観賞決定。なにせキャストが興味深くて、主人公ベラの隣に住んでいる偏屈ジジイが「スノーデン」のトム・ウィルキンソン。「SHERLOCK/シャーロック」のモリアーティで知られるアンドリュー・スコット(彼は既にアレでジェシカと共演済みか)。データを漁ると「戦火の馬」で主役だったジェレミー・アーヴァインなど、小品ながら侮れない布陣。おまけに監督はポール・マッカートニーの養子だとか。

  もうねぇ、わざわざ下調べなどしなくとも映画館に赴く前に、これだけ余計な情報が頭に詰まっちゃう。でも、もし劇場前をたまたま通りかかって、ポスターだけで判断してフラッと入っての観賞だったら、満足度は上がったかもしれない。映画との距離も自己責任ってわけですな。よってコジつけですけれど、このあと予定している「パトリオット・デイ」との抱合せとしたら抜群だと思う。

  データ的に“良さそう”と思わせる本作は、まるでスキだらけ。外界と接触しない人は「幸せの1ページ」、几帳面な人は「主人公は僕だった」、変わった女の子は「アメリ」などこの種の品数は豊富。これらの作品に比べれば詰めが甘い設定。几帳面のクセにベラは遅刻魔なんだもの。出生にまつわるエピソードも、無いよりはマシというか、後々効いてくる布石とも思えない。

 とは言っても私めが好きになっちゃったのはまさにこの部分で、ボサーっと眺めていられる映画に出会えるのは、アミューあつぎ映画.comシネマならではです。「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」みたいにね。好感が持てる要素として、コレが絵本を映像化している印象があったからかもしれない。よって画面上にITは出現せず、スマートフォンなんか存在しない世界。

  映し出される花々も「ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た」みたいだったら目が疲れる。図書館も舞台の一つだけど、司書に聞くという習慣がごく当たり前。ジェレミー演じる男の子のファションにしたって、とても21世紀の若者には見えない。内気な女の子と男の子の淡い恋模様が存在する世界なんて、絵本を見ている心地よさ。ま、古い作品観りゃあいいでしょと仰るなかれ。

  トム演じるジジイとベラが打ち解け合うのは“火を見るより明らかな展開”なんだけどOK。あの「フル・モンティ」だと素っ裸になり男、頑固ジジイが娘に庭のことを教えてやる部分は微笑ましい。間にアンドリュー演じるやもめのヴァーノンが配されていて、彼は若者二人の恋仲に関与しそうなんだけど外野のまま。何ともいえない放ったらかしなユルさで、作品を成立させてしまう英国は意外に懐が深いのか。

 「わたしは、ダニエル・ブレイク」のような人口調節という現実も存在していて、失業問題を扱った作品は多い(「リトルダンサー」「キンキーブーツ」)。またかの国は曇天がほとんどなので、植物の見栄えという点でイタリア(「ミラノ、愛に生きる」)には適わないかもしれない。だからこそ本作はある意味挑戦的とも言える。「マーサの幸せレシピ」だって、ドイツのフランス料理店のシェフだったし。もう少し若かったらスカーレット・ヨハンソンがハマっていそうだけど、草木に囲まれて映えるのはやはりジェシカ・ブラウン・フィンドレイでなければ。今度は忘れないぞ。

現在(6/11/2017)公開中ですけれど、6/23までです。オススメ★★★★☆


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