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沈黙 -サイレンス-

  沈黙-サイレンス-

 

 「健さん」「ヒッチコック/トリュフォー」でご尊顔を拝したマーティン・スコセッシ。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は見逃して大損で、「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ」にも出演していたけど、この人の監督作を劇場で観るのは2012年の「ヒューゴの不思議な発明」以来となる。ま、データベース見ながらいちいち確認するのもアホですけれど、忘れっぽいもので。

 

 

 時代劇は和製ですと「太秦ライムライト」が最後で、外国人が描いたものは「ラストサムライ」。昨今「七人の侍」を繰り返し摘んで見ているからか、物足りなさは感じない。むしろ黒澤明の傑作を経由しているから、向ける視線のハードルは高い。では中身はというと、文句なしです3時間近く退屈することなく、じっくりと噛み締めることができるし、後々考えさせてくれる。

 

 

 もし観客が外国人、それもキリスト教徒だった場合、宣教師ロドリゴにその視線を重ねることになるでしょう。未知の国=日本において、過酷な状況下に置かれてそれでも信仰を失わなかった男の物語として。成立させている原作者の遠藤周作は無視できなくなった。日本および日本人を理解するための情報量は、半端じゃなく込められている。教科書で習う“踏み絵”にしたって、大変勉強になった。

 

 踏んだくらいでお役人が見逃してくれるわけないよね。“幕府は切支丹を弾圧”という文字情報では伝わらない酷さが刻印される。幕府の目的はキリスト教の根絶だから、斬首、火炙り、拷問も辞さない。CIAがやってる拷問も我が国は先取りしているし(「レイルウェイ 運命の旅路」をご参考までに)。観ている時は辛いですけれど、後々日本というものを考えさせてくれる材料になった。

 

 

 だてに50年近くも生きておりませんし、昨今は電車の中で手軽に情報も得られる。そんなご時世だけに冷静に描いてくれたマーティンに感謝なのです。昨今のことにリンクするんですけれど、果たして我々日本人は押し寄せる外国人の中にあって生きていけるのか?もし弾圧を悪とみなした場合、その体制を確立した徳川家康は極悪人、子孫が滅ぼされる「魔界転生」などは痛快ということになる。

 

 

 ただし17世紀とはどういう時代だったのか?大航海時代が背景にあったことを加味すると、鎖国は誤りだったか?も考慮する必要がある。16世紀はスペインの艦隊は無敵で(「エリザベス・ゴールデン・エイジ」)、15世紀にはコロンブスが新大陸に乗り込んでいって蛮行をはたらいている(「ザ・ウォーターウォー」)。ただしマノエル・ド・オリヴェイラの「コロンブス 永遠の海」はまた違った角度で捉えている。

 

 

 幕府があれだけ酷いことをする背景には、世界の事情があったはず。もちろん本作には描かれていませんが、いくら人権などという概念が存在しない時代だからといっても鬼畜の所業。「ペイルライダー」で権力者は現れた牧師を恐れますが、時の権力者は宗教を隠れ蓑にしてやって来る大国も怖かったし、人心が離れていくことに恐怖した。その裏返しとして、見せしめの意味も込めて虐殺を繰り返した。

 

 

 学校でライトに教えようが、大河ドラマで誤魔化そうが、いずれバレる。権力とは血塗られていて、気の毒ですけれど、末代まで祟るわけです。無実の人を処刑した連中も(「声をかくす人」)、ダルトン・トランボを追放した連中も。本作ではイッセー尾形が代表格で、近づきたくもない大名。わざわざハエがたかっていたりして、さすがの芝居。「太陽」の主演だけに、映画の生き字引マーティンに起用されるのも当然。

 

 

 世界的な知名度を持っている人は揃って出ていて、浅野忠信のワルって独特。加瀬亮の出番は少なめでしたけど、窪塚洋介は素晴らしかった。まさか監督は「UGLY アグリー」までは見ていないと思うけど。彼とアンドリュー・ガーフィールドの相性は良かった。また今後ジム・ジャームッシュのPatersonに出てくるアダム・ドライヴァーは見逃せない。「スターウォーズ/フォースの覚醒」から目立ち始めたのはドーナル・グリーソンやオスカー・アイザックだけではない。

 

 

 アダムはとにかくガリガリで、塚本晋也ともども心配になるくらいだ。「マシニスト」の時のクリスチャン・ベイルみたいなことをしたのかな?落ち着いた感じのキアラン・ハインズ(「ペイド・バック」)、リーアム・ニーソンもハマった位置に。私めにとって当たり外れのあるマーティン・スコセッシ作品でしたが、今回は完璧だし感謝です。なにせ我が国についてじっくり考えさせてくれたんだもの。

 

現在(1/24/2017)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  コロンブス 永遠の海

 

 「リスボン物語」にも出演のポルトガルの巨匠、マノエル・ド・オリヴェイラによる歴史考察。賞賛されているから認めるとかではなく、スゲェと思うのは上映時間75分でコンパクトにまとめて、伝えたいことはキッチリ描き、女優も素晴らしく、自身も登場したり。さらに定説って代物が、どーも胡散臭いぜとまで言ってるのかも?だってさ、コロンブスって名前からして違うらしい。

 

 Wikipediaを斜め読みしながらが断然オススメなんですけれど、私めも「ザ・ウォーターウォー」でスペイン人などと書いてますが、ホントのところは不明。ただし、インディアンへの大虐殺は間違いないし、武器で勝ったというより、乗り込んでいった彼ら自身が生物兵器だったのでは?とまで深読みできる。ただ大航海時代の大国の恐ろしさだけは全世界に知れ渡っていたはず。

 

 で、本作から私めが読み取ったのは、コロンブスと称されてきた人の功績でも彼の故国でもなく、広まっている知識の不確かさ。あと合衆国の無駄のない描写も唸ります。「世界最速のインディアン」でもやってたけど、全景を映さなくともお客さんが分かれば良い。また後々考えてしまいましたが、コロンブスって掘っちゃったモニュメントの数々はどーするんだろう?巨匠は我々を笑わせようとしているのか?
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