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パターソン |
観賞劇場 | チネチッタ川崎 |
関連テーマ | Amazonスタジオ 原作とは? |
ジム・ジャームッシュの作品は「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」以来だから4年ぶり。それほど待たされたわけではないけれど、その間に世の中は様変わりしております。前作の時にAmazonが映画に出資するなどと誰が想像できたか。今年は既に「ネオン・デーモン」、「カフェ・ソサエティ」、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と観ていて、良作が揃っている印象。WIRED VOL.26で“ドラマの話法が変わり始めている”と出ていたけど、そんなものかな? | ||
相変わらずというか、お馴染みのジャームッシュ作品に感じられてホッとする。今回の主演は、出る前から監督の作品世界を体現していたアダム・ドライバー。だって「フランシス・ハ」を見れば当然って気になります。世間一般には「スターウォーズ/フォースの覚醒」、「沈黙 -サイレンス-」の順に認知されている人だと思いますが、この作品に主演したことは彼にとって大きいでしょう。 | ||
市営バスの運転手で、詩人でもあるアダム演じるパターソン。また街の名前でもあるといのは洒落なんだろうか?爆弾を仕掛けられる「スピード」だと猛スピードですけれど、ごく真っ当な路線バスとして描写されているのが何より。そういえば「ブロンクス物語」でロバート・デ・ニーロも運転手だったなぁ。内輪差が大きいことが特徴の大型車両ですから、交差点のトコが良いのです。 | ||
「ナイト・オン・ザ・プラネット」でタクシー運転手とお客の“えも言われぬ空間”をジャームッシュは描いておりますが、車内で交わされる乗客の会話がパターソンにも聞こえてくる。それが彼の詩作に影響しているかは不明ながら、運転しながら詩が思い浮かんでくる部分が良いのだ。慣れたコースだし、しょっちゅう強盗がカーチェイスを繰り広げているわけではない(先週「ベイビー・ドライバー」を観たばかりですけれど)。 |
ごく日常を生きているパターソンの1週間を追う形式で描かれていて、何か仕掛けを施せそうだけど、そんな素振りも見せず気楽に眺めていられる。定時退社して愛妻のローラと食事、その後は愛犬の散歩。馴染みの店でビールをちびちびやって一日が終わる。日本だと主人公を杉並区在住の都バス運転手にして、仕事が終わったあとに高円寺か阿佐ヶ谷で飲むシーンを入れて・・・、「選挙」の想田和弘がこの手の題材で映像化したらと思ったりして。 | ||
もちろんお話が退屈しないように、愛妻も愛犬も馴染みの店も微笑ましいエピソードに一役買っている。ただ紙にペンで詩を書き付けているパターソンだけに、創作者としての悲劇に見舞われてしまいます。画面上に映し出される、彼の頭の中で浮かんだ作品が何とも言えない味。ではそれが広く受け入れられるモノか?というとそーでもない。偶然出会った少女の方がストレートで、上手なのでは?という部分も差し挟まれる。 |
コインランドリーで作詞している人も楽しくて、“パッと閃いたらしたためる”のが文学活動では?そういえば「はじまりのうた」でシーロー・グリーンが付き人にメモさせてたね。奥さん役のゴルシフテ・ファラハニは「彼女が消えた浜辺」の後に「エクソダス:神と王」にも出演だから出世しているんだけど、パターソンという街が“色々な人が暮らす”という特色を出す効果になっているのでは? | ||
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事件といえば愛犬が“しでかしたコト”くらいなんだけど、「ミステリー・トレイン」の永瀬正敏が登場して作品をお開きにする。アダムから比べたら、もう大人なんだね。この後で「光」を予定しているけど、そろそろ老け役になっていくのかな?創作の源泉というか、文学の発生を描いた作品にも見えるし、“市井に生きる詩人”をありふれた日常で描いている得難い1本。詩人は何も破滅的な人ばかりではないのです。 現在(8/28/2017)公開中 オススメ★★★★☆ |
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