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たかが世界の終わり

たかが世界の終わり  たかが世界の終わり

 

 昨今遅ればせながら発見した監督は「チチを撮りに」の中野量太、ご無沙汰してマズかった「フランシス・ハ」のノア・バームバック。本作のグザヴィエ・ドランは処女作「マイ・マザー」で既に世界的に注目を集め、出演のみの「エレファント・ソング」、「神のゆらぎ」は予告を見たことがあった。ま、ものの見事にスルーしてきたけれど、今回は出演者の豪華さと、彼の母国が劇場に足を運ばせる要因。

 

 

 

 カナダといえばデヴィッド・クローネンバーグでしょ、ブライアン・アダムス、セリーヌ・ディオンでしょ、という程度の認識ではもう古い。昨今政治的にも見逃せないし、役者ではセス・ローゲン(「50/50フィフティ・フィフティ」)、ライアン・レイノルズ(「セルフレス/覚醒した記憶」)、ライアン・ゴズリングがアメリカ映画で欠くことのできない位置を占めている。

 

 

 

 先頭を走っている印象はもちろんドゥニ・ヴィルヌーヴで、「ボーダーライン」が凄かった彼の「メッセージ」と「ブレードランナー2049」は間違いなく観に行くことになる。で、フランスを代表する役者さんを配置して、未だ20代のグザヴィエ監督は何を描いたか。元は戯曲の“家族の再会”をテーマにしている。内田樹氏のブログによると、現代人は核家族化を通り越して、原子核化しているのだそう。

 

 

 「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」でも家族が集まって食べることを“家族ごっこ”と称しているけど、分解して散り散りになった因子がじっとしているハズはない。戯曲が元の作品はここ数年「おとなのけんか」「8月の家族たち」があって、造りは近いものがある。まさかこんな地味な作品に、出るはずないよなというスターが、入魂の“その辺にいそうな”我々の隣人に化けている。

 

  

 

 直後に「マリアンヌ」を拝むことになるマリオン・コティヤールが、ごく当たり前の主婦。「サンドラの週末」も華やかさを封じておりましたが、できちゃうんだよね。レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセルといえば「美女と野獣」のコンビではありませんか、それがもうごく当たり前にいる犬猿の兄妹になっている。恥ずかしながらナタリー・バイ(「映画に愛をこめて アメリカの夜」)だけ、記憶のどこを探しても思い当たらなかったけど。

 

マリアンヌ  

 

 そして主人公のギャスパー・ウリエルはちょっと変わった天使を演じた「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」から美貌は変わりませんな。ま、ごくフツーの一家の中で、彼だけが“顔も才能も恵まれている”ことになっているから、アップを多用されていましたね(ファンは幸せだったでしょう)。自身の死を告げに、永いこと会ってなかった家族の元へ赴くルイなんだけど、口数は少ない。

 

 

 映画監督たるもの、お客さんを楽しませなければお話にならない。かと言って既存のものをナゾっては作る意味がない。この監督のサインは冒頭に記されていて、「Mommy/マミー」もなんだけど、“ここではない何処か”。家族の分解を批判しても意味はなく、予定調和にすれば感動ポルノになってしまう。なかなか新味を出すのは難しく、ついていけないのは私めの感覚が古いからだと気づかされたりして。

 

 直近で「シークレット・オブ・モンスター」がやはり“新しい”と感じさせてくれましたが、彼らの感覚は“80年代生まれならでは”と整理して、自分を落ち着かせることにしましょう。21世紀は映像コンテンツが満ち溢れていて、似たような作品も労を惜しまなければ探し出せる。ただそんな時代でも“今を描ける”のは若い人だと思う。異常とも思える状況を感動作にしたのが「ルーム」だったし。

 

    

 

 光線の加減でオッサンは「イギリスから来た男」がパッと思い浮かびましたが、かつて天才と称されたレオス・カラックスの「ホーリー・モーターズ」と並行鑑賞してみてはいかがでしょう。年代によって天才と呼ばれる感覚の違いが楽しめるかも。またカナダだから「みなさん、さようなら。」もオススメで、“久しぶりに家族が集う”ということでしたら「歩いても歩いても」もあるけど、“死にまつわる”お話だね。

 

現在(2/13/2017)公開中
オススメ★★★★☆

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