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ムーンライト

ムーンライト  ムーンライト

 

 3月22日付の朝日新聞夕刊に本作の広告が挟まれていて驚く。枚数にして4枚、記事はたったの2枚。始まって提供しているからだと分かったけど、宣伝効果は絶大だ。13:45スタートに9割入っている。アカデミー賞も獲っているし、「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」に続いて“受賞話題作2本立て”ってことになるのかな?ただ共通しているのは“TVの外側にある世界”だと思う。

 

ムーンライト

 

 “アフリカ系アメリカ人は、かの国の底辺層を形成していて、その実態は悲惨である”と描いた作品は数が多い。その側面だけに着目して関連作を挙げるとすれば「プレシャス」とか「フルートベール駅で」が順当だ。白人とて「ファーナス/訣別の朝」があるし、観ていてムカムカしてしまう。またヤクの売人も出てきて、主人公シャロンの暮らす地域が、安全ではないことも観客にすぐに察知できる(「クロッシング」)。

 

  

 

 よって悲劇的なラスト、ままならない現実と向き合うことになるのが受賞作の定番。ところが本作は完全にそれらを覆しているだけに、評論家は惚れてしまうでしょう。数を観ていて“またか、アレと同じだよ”と分かった気になる私めも似たような感じで、やられてしまいました。久しぶりに座席が硬いと感じなかった。だてにブラッド・ピットが製作総指揮をしていない(「トゥルー・ストーリー」が気になるのだ)。

 

 冒頭で素晴らしかったのは売人の元締めフアンで、廃墟に隠れているシャロンを連れ出して飯を食わせる。演じているマハーシャラ・アリが魅力的。犯罪者には違いないけど、子供がいていい場所と悪い場所の分別はある。彼女の家に泊めて翌日は送っていったり。この“ついやっちゃう行為”の中に人間の善が秘められている気がします。「ウェルカム・トゥ・サラエボ」が近いですかねぇ。

 

 

 じゃあ「ブロンクス物語」みたいに、自分を気にかけてくれる父親代わりの魅力的な男について行く話かというと、その予想も覆す。またシャロンには他の子供とは違う秘密があって、それを承知の上でフアンが泳ぎまで教えるのがまたジーンくる。いちおう母親もいるけど、明らかな育児放棄。「彼らが本気で編むときは、」に比べれば激しい描写ですけれど、アメリカ映画としては控えめ。

 

彼らが本気で編むときは、

 

 この辺もなるべく劇映画っぽくしない、美談や感動ポルノとは違った描き方を貫いていてたまらない。「サウスポー」はケースワーカーでしたけど、ナオミ・ハリスはどーしょーもない母親を力演。有名どころは彼女だけですけど、「007/スペクター」のマニー・ペニーからは想像もできない。彼女がヒステリックに徹したおかげで、男優陣は作品の最も重要な要素をスクリーンに定着させる。

 

 

 

 この作品にはアメリカ映画で描かれてきた暴力、犯罪、貧困、薬物依存など人々が目を背ける事象が満ち溢れている。しかし作品世界を貫いているのは静謐さ。シャロンを虐め抜くドレッド・ヘアーの少年もさすがの芝居で、暴力は爆発するんだけど「ヒストリー・オブ・バイオレンス」になっていかないんだよね。シャロンをあだ名で呼ぶケヴィンとの友情物語?としても成立する優れもの。

 

 

 構造がオムニバス形式で、ちょっと「シークレット・オブ・モンスター」も近い気がするけど、新人監督の出現は映画好きにとっては歓迎です。「ラ・ラ・ランド」のデイアミン・チャゼルも“向こう見ず”な印象がありましたが、枠組みは既存のモノであって良いと思う。しかし新味を出すのに新人の感覚は不可欠。オーソドックスな作品なら先輩たちに任せたら良い。

 

シークレット・オブ・モンスター  

 

 出現当時は私めも若造で映画に関して無知でしたから、スティーヴン・ソダーバーグ「セックスと嘘とビデオテープ」ジム・ジャームッシュ「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のインパクトは理解不能。でも今となっては年間最低でも70本観る暮らしを続けてますので、新しい作品は滅多にお目にかかれなくなってきた。このバリー・ジェンキンスという監督、今から新作が待ち遠しいダントツの1位です。映画の賞も捨てたものではない。

 

現在(4/4/2017)公開中
オススメ★★★★★

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