ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち
アミューあつぎ映画.comシネマで興奮の「チチを撮りに」に出会い、厚木から海老名に移動中に配信をタブレットにダウンロード。映画にコキ使われてるのか、幸せな時を過ごしているのか。ファンタジーを好んで観るオッサンではありませんが、ティム・バートンは外せません。前回は実話を元にした「ビッグ・アイズ」でしたが、「ダーク・シャドウ」の路線に回帰。
時代の流れは加速中で、この人のファンは増えているのかな?は心配ご無用で、ちゃんとTOHOシネマズ海老名には、ゾロゾロと女子高生が観に来ている。私めはそろそろティム・バートン初段くらいになった気でおりますから、彼の過去作品を思い出しつつ気楽に眺める姿勢。予想していた通り、「ビッグ・フィッシュ」の枠組みに近い感じが楽しい。
ただしユアン・マクレガー主演のアチラは父と息子で、コチラは祖父と孫という関係が軸になっている。本作には触れられておりませんが、人間の寿命は伸びている。御年63歳のデンゼル・ワシントンは「マグニフィセント・セブン」で曲乗りしてたもんね。お爺ちゃん役のテレンス・スタンプはあまり「イギリスから来た男」から印象が変わっておりませんな。
孫がなんと「ヒューゴの不思議な発明」からあっという間に、足の長いジェイクに成長したエイサ・バターフイールド。“祖父の話してくれた物語”を追う彼の冒険譚でもあるし、甘酸っぱいお話でもあるし、タイムパラドックスという私めの好物でもありますから画面から目が離せない。「アリス・イン・ワンダーランド」以来ティムは3Dもやってますけど、2D字幕版で文句ありません。
たぶん綿あめでお化けをナニしちゃうシーンが、3Dだと見所になるのでしょうけれど、“異能者”と呼ばれる子供たちの特殊能力だけで十分。また空気よりも軽いエマ役のエラ・パーネル、湯を沸かしちゃうオリーヴ役のローレン・マクロスティは今後出世間違いなし。どうゆう風に化けるかは現時点では判りませんが、「ネオン・デーモン」のベラ・ヒースコートみたいなことになるのか。
オッサンがしっくり来るキャストはエヴァ・グリーンで、ついに貫禄を手に入れてしまいました。それは「007/カジノ・ロワイヤル」で共演したジュディ・デンチに負けてない迫力があったからかな。あと悪役を一身に背負ったサミュエル・L・ジャクソン、白目が嬉しそうだ。「ターザン:REBORN」の誠実さと本作の悪逆さは対極に位置するんだけど、見事ですな。
「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」と路線は似たようなところがありますが、特撮の精緻さはさすがテイム・バートン。また祖父と孫の間に挟まれた格好の、父親の描き方も興味深かったですね(自分が感情移入できるからね)。自身の過去作品を思わせるシーンを、随所に散りばめているのはファンサービスだと思う。単純なタイムパラドックスではなく、仕掛けの一部として組み込むは直近で「ドクター・ストレンジ」があるけど、コチラの方が洗練されている。
2時間飽きることなく、感動のラストまで観客を導くティム・バートンはやはり映画話法を心得ている映画監督。目玉食べちゃうとことか、アメコミ映画はチョッと避けちゃう、ゾクゾクした感じを味わえるのも彼の作品ならでは。次はどんな趣向で来てくれるのかな?IMDbには「ビートルジュース」の2と出ている。続編は「バットマン・リターンズ」くらいだから、珍しい。
現在(2/6/2017)公開中
オススメ★★★★★
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