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マグニフィセント・セブン

  マグニフィセント・セブン

 

 「七人の侍」の翻案「荒野の七人」のリメイクアントワーン・フークアが手掛ける。「サウスポー」「ロッキー3」に近かったけど、弱者のために立ち上がるは「ティアーズ・オブ・ザ・サン」があったな・・・、いやいや「キングアーサー」が既に黒澤明不朽の名作をモロにパクっていたじゃないか。といった具合で、昨今は機械の力を借りないと、自分の観賞履歴すら怪しくなります。

 

 

 で、恥ずかしながら「荒野の七人」は未見でして、直系の祖を知らずに観たのが功を奏したのか、133分の上映時間が全然気にならなかった。たぶん作りが恐ろしいくらいオーソドックスだったからなのかも。だってさ、オープニングなんて簡潔で、誰がどう見ても、最後は“八つ裂きにされる末路”まで予想できるワルが登場。「仮面の男」から幾年月、ピーター・サースガード(次の「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」が楽しみ)さすがの変身ぶり。

 

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発

 

 タイトルがバーンと出て、ビビーンときた後は、音楽担当ジェームズ・ホーナーの名前を見つけてグッときたり。そしてデンゼル・ワシントンが出てくるでしょ、同じ酒場にクリス・プラットがカードやってるでしょ。クリスはもう次の「パッセンジャー」も告知されているけど、いい面構えです。他のキャストも魅力的かつやる気まんまん。そりゃあそうだよね、このメンバーになったら死に様までかっこよいもの。

 

パッセンジャー

 

 「ターミネーター:新起動/ジェニシス」「REDリターンズ」などイ・ビョンホンはここ数年出まくりで、ジャッキーさんに次ぐアジア代表になりそうだ。彼らをリクルートしていく場面も退屈することなく進行する。弓の名手のネイティヴ・アメリカンと接触するところなんて、「ダンス・ウィズ・ウルブス」のパクリに見えたり。ヴィンセント・ドノフリオ(「ザ・セル」)も美味しいんだけど、オッサンの中にあって紅一点のエマは強く、美しい。

 

 

 演じているのはヘイリー・ベネットで、「ガール・オン・ザ・トレイン」から間髪いれずなのに、全く気がつかなかった。私めは本作で彼女に惚れてしまいました。「イコライザー」の出演歴もあるから、既にデンゼルとアントワーンと仕事しているんだよね。彼女がいなかったら不毛の西部劇ですよ。そりゃあカッコイイ奴らだけど、むさ苦しい男の場面ばかりになってしまう。そしてラストも彼女抜きには語れない、ぜひご覧になってご確認を。

 

 

 もう一人「オレの場面はいただくぜ」と美味しいところを持っていったのがイーサン・ホーク「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」ではいいトシした駄々っ子でしたが、まさか「トレーニングデイ」の若造がここまで渋くなるとは。七人の中だとデンゼル、イーサンに次いで場面をさらうのはクリス。「ラストサムライ」っぽいんだけど、マッチのところは“やるぜ、あいつ”とニヤリとしてしまった。

 

 

 クセ者ぞろいですけれど、ワリと演じる役者の実力で、うま味のある場面の順位が読めるのが楽しかったりして。アントワーンの描き方はオーソドックスに徹していて、観客を楽しませてくれるし、よーく見ているとワルの連中が“どうにかなりそう”にも映っていて興味深い。セリフでは軍隊なんだけど、軍勢と呼ぶには乏しい数なんだよね、観ていれば分かるところがミソ。

 

 

 オリジナル未見なので、「荒野の七人」をどう料理したかは不明ながら、デンゼル扮するサムの買って出た理由は「ペイルライダー」のオマージュに見えた。私めと似たような方でしたら、「リンカーン」「アウトロー」もこの機会にぜひオススメ。痛快西部劇にして背景に南北戦争も込める。チームワークムービーには弱いし、文句なしでしたな。

 

現在(1/31/2017)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  七人の侍

 

 ネタ本映画の快楽―ジャンル別・洋画ベスト700にある山根貞男氏の評が簡潔で正しい(ぜひご確認を)。すべてあのクライマックスを盛り立てるためにある。ただし21世紀の、特に今の我々には“お膳立て”部分も糧になるから傑作は恐ろしい。別に真剣にそう思って見始めたわけじゃなく、「マドモアゼルC 〜ファッションに愛されたミューズ〜」の映像に目が疲れたので、ボンヤリ眺めようと思ったけど止まらなくなってしまった。

 

 表面上略奪行為はないけれど、“お役人を頼ったって仕方ない”のは戦国時代も今も変わらない。長老に知恵を出してもらって、なけなしの勇気で侍を探すお百姓さんを、自分に投影できるまでにはトシを重ねる必要があります。でも志村喬演じる勘兵衛が出てきたら、すぐ乗り換えちゃうけど。若い時にリバイバルを観た時は、宮口精二の久蔵がダントツに思ったけど今回は勘兵衛を軸に楽しんだ。

 

 泣きつかれて承知するというより、つい戦術を考えちゃうトコに注目すると、“戦が商売”の侍らしさが見て取れる。また「一国一城の主を目指したが・・・」と呟き、集った面々がしんみりする場面もたまんない。あれこそ行き場を失った今の中年に響く名シーン。ま、何回見ても参謀役の五郎兵衛が「ご冗談を」と言って、腕試しを見抜いちゃうトコが大好きなんだけど。

 

 本作が公開された1954年には「ゴジラ」「二十四の瞳」もあった。昨年はそれぞれ「シン・ゴジラ」「この世界の片隅に」として蘇っていると思う。西郷隆盛について書いている内田樹氏のブログ(「民の現像」と「死者の国」)がなぜかシンクロするんだけど、“小さくとも何かを守る”という物語は若い人が活躍する「君の名は。」だけだったような。男が情けない映画はあったけど(「海よりもまだ深く」「永い言い訳」)。

 

 天下国家などというスケールは、責任を拡散させるだけでアピールしない。女性が優位なのは自然の流れながら、合衆国はちゃんとオッサンが活躍する映画を作っている。「マグニフィセント・セブン」がそうだし、ボスが女の子なだけで、「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー」だってキマってました。美男子は一人しか出てこない、私めにとっては戦国時代ドキュメンタリーに見える本作は今後の滋養強壮剤になりそうです。
オススメ★★★★★
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