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LION/ライオン 〜25年目のただいま〜

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜  LION/ライオン ~25年目のただいま~

 

 「マリアンヌ」辺りからだから、ここ数本はなんだかんだ言ってアカデミー賞獲得作を観ている。オスカーの宣伝効果は侮れなくて、12:35スタートのTOHOシネマズ海老名は大人の女性でいっぱい。世間様は新しいスタートを切る4月なのに、子供も若い人も劇場ロビーで見かけたりして。私めはニコール・キッドマンには悪いけど、ルーニー・マーラがお目当て。

 

 始まってまたまたギャガ(GAGA)配給で、字幕担当は戸田奈津子さんだから品質は保証されている。で、予告編から察するにオーストラリアから物語が始まるかと思いきや、なんとインドからとなる。この辺の戦略というか、予想の外し方はなかなかです。「天空からの招待状」っぽい空撮は見ごたえアリ。前後編の二部構成で、映画として色づけされていると思うけど、過度に臭みはないです。

 

 

 前半部分は主人公サルーが迷子になって、途方もなく家から離れた場所に放り出される。日本では考えられないことながら、かの国では日常茶飯事。ここを憤ったって仕方なく、かの国の人口を考慮したら黙るしかない。いくつか見ればある程度理解できて「スラムドッグ$ミリオネア」でしょ、「トリシュナ」「めぐり逢わせのお弁当」なども参考になると思います。

 

  

 

 連れてってくれと兄貴にせがんだ彼が悪いっちゃあそうなんだけど、5歳じゃあね。言葉も通じない見ず知らずのベンガルで、ホントにやばい場面には何度も遭遇。親切だからといって気は許せない(タイが舞台ですけれど「闇の子供たち」をご参考までに)。気のいい兄さんのおかげでなんとか施設に転がり込んでも、現実ですから「BFG」に出てくるのとは大違い。

 

 

 この前半部分は子供の頃の記憶を頼りにしているといっても、真に迫っていると思うし、画面から目が離せない。「裸足の季節」のラストがハッピーに見えなかったのは、こういった都市の現実が背景にある。また悪く言う人は“お節介”なんだけど、孤児のもらい手を探す人だっている。「消えた声が、その名を呼ぶ」にもその種の人は描かれていて、微かな救い。

 

 

 サルーは本当に幸運で、引き取った夫婦はまっとうな金持ち。もうオーストラリアを代表する女優の貫禄、ニコールは入魂でしたな。それはお目当てのルーニー・マーラもしかりで、この人も「トラッシュ!-この街が輝く日まで-」とか地味なお話によく出てきますね。輝く美貌をフル回転させれば、レイチェル・マクアダムとかエマ・ストーンみたいに出演作を量産できるのに。

 

 

 そして成長したサルーですけれど、「スラムドッグ$ミリオネア」に出たし、インドの偉人ラマヌジャンを「奇蹟がくれた数式」で演じているけど、デウ・パテルはイギリス人。本作の監督はオーストラリアの人で、旧大英帝国の版図の広さが図らずも見えますね。もっとも21世紀はGoogleが全世界を席巻中で、良くも悪くも使える道具を提供している。

 

 

 IT機器は秒進分歩で進化し続けている。正確に起こった年を刻んでいかないと、不自然な描写になってしまう。よって作品世界が2011年であることは重要。なにせ自分のPCで確認できますが、現在のGoogle Earthはもっと進化している。正確さは機械に関してだけじゃなく、サルーの兄、彼の後に引き取られたマントッシュのことも濁さずに観客に示している。勇気のいることだけど、本作が感動ポルノではない証拠。

 

 むしろニコールは必死でご本人に近づこうとしていたけど、デウとルーニーはまさに映画ならではの美男美女。タスマニアの自然もインドが対象になりますので、楽園に見えます。「ハンター」で描かれた側面もあるけど、空撮を見て「ピアノレッスン」のジェーン・カンピオンがチラッと脳裏をよぎったけど、この監督ガース・ディヴィスは前作で一緒に仕事してるのね。

 

 

 主演2人のロマンス描写が最大の臭みなんだけど、なくてはならない。本作は家族の絆を美談に仕立てることなく、生き延びる子供のしぶとさ、ルーツを追う執念を描き、最後に衝撃的な事実を告げて幕を下ろす。年間に行方不明になる子供の数が、万単位に登るとは凄まじい。もちろん事実を訴える作品ではないから、押しつけがましくはないけど、知っているべきことの一つ。

 

現在(4/10/2017)公開中
オススメ★★★★☆

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