タイトル

光をくれた人

関連テーマ  ヒューマンドラマ・家族の絆  シャンテ


光をくれた人

 “深いため息とともに涙がにじむ感動作「光をくれた人」
 21世紀には不可能な悲劇、だがヒューマン・ドラマなのだ。”

 1,2年前どころか1,2週間前の出来事も“ずいぶん前”に感じられてしまうのが今の感覚なんだろうか?溢れる映像コンテンツに溺れているのは気のせいではなく、未見のタイトルはHDDに嫌というほど詰まっている。劇場に赴く前にTSUTAYAに寄ったけど、もはやDVDを手に取る気にもなれない。数年前は希少タイトル(「エル・スール」など)を求めてあちこち行っていたことも、もはや記憶の彼方(「君の名は。」だねまさに)。

 どーでもよいイントロなんですけれど、ここしばらくは家でも映画を見たりせず、ひたすら坂本龍一asyncだけを聴いている。それが功を奏したか、本作の映像に見惚れることが出来た。自分で“映像を抑える”ことも観賞継続には必要です(なんだか悲しいなぁ・・・)。予告などで触れられてはいませんが、「プレイス・ビヨンド・パインズ/宿命」が素晴らしかったデレク・シアンフランスの最新作は文句なし。

  ま、キャストでだいたい判断できます、マイケル・ファスベンダーレイチェル・ワイズだけでなく、アリシア・ヴィカンダーが出ている(チラシの表記が“ヴィキャンデル”になっているのは何か意図があるのか?)。「エクス・マキナ」でハッキリ記憶し、「二つ星の料理人」が物足りなく、「ジェイソン・ボーン」で満足といった経緯で、現時点では脳内にデータが収まっている。

  わりと色黒の彼女、今回は実力全開でしたね、マイケルともども前半部分を成立させなくてはならない。前作「ブルーバレンタイン」と見てきた限りでは、この監督は物語をチャプター形式で成立させる。本作は前半を腰を据えた愛の物語に、後半をサスペンスをベースにした悲劇にしている。全体が“腰を据えた観賞に足る”作品にしているのは情景描写で、灯台から見下ろす太平洋の描写は素晴らしい。またそれらは実に練られた構造を、見せない仕掛けとしても機能する。

 時は1920年代、第一次世界大戦後で人々は傷ついている。戦闘に関しては「戦火の馬」が参考になりますが、「フェアリーテイル」に似ている描写があった。ただ、観賞中はヨーロッパだと思っていたら、なんと舞台はオーストラリア。地名が出てきても分らんとは無知です。よって「ディバイナー 戦禍に光を求めて」も参考になるかも。最近では「LION/ライオン ~25年目のただいま~」もあったし、豪州も侮れません。

LION/ライオン ~25年目のただいま~

 前半部分はホントに素晴らしく、マイケル「ジェーン・エア」で旦那様の風情があったし、「存在のたえられない軽さ」を思い出させる。また祖父母の代=大正時代の男女間についても知る手掛かりになった。この部分を丁寧に描いたことで、後半の悲劇性を倍加させている。次のチャプターにレイチェルが登場するんですけれど、灯台の夫婦と対置する人物だから、人によっては悪役に映る可能性もある。ところが彼女の演技と監督の描き方は、薄っぺらな感動ポルノにはしない。

 血のつながり、家族の絆を中心に描く作品だと思っていて「彼らが本気で編むときは、」「湯を沸かすほどの熱い愛」に近いのは間違いなかったけど、本作の関連作としてオススメは「ジャック・サマースビー」「題名のない子守唄」。愛の映画として観客を引き込み、サスペンスが駆動させる物語として完璧な印象の作品だけど、それ以外にもいろいろ考えさせてくれる。

彼らが本気で編むときは、  

  もう100年近く前のお話だけに、21世紀の今とはだいぶ違う。現在では2度の流産は回避できた可能性が高く、灯台夫婦に殺人の容疑はなかったかもしれない。では進歩したハズの今は幸せなのか?それと法に負けた、ではなく心情として受け入れられなくとも、当時の人々は従った。本作の悲劇を成立させる枷=法を、日本人には理解できないほど彼らは遵守する。切ない物語に涙しつつ、その凄まじさが刻まれた。今のエライ人たちはコソコソしてるから余計にかな?

現在(5/29/2017)公開中 オススメ★★★★★
​Amazon.com
DMM.com





その他の関連作

そして父になる  もうひとりの息子  いのちの子供  キッズ・オールライト

舞台よりすてきな生活  少年と自転車 アロハ  

4ヶ月、3週と2日                   


← 前のページ   次のページ→



       top

ここにテキスト

 

 

 

 

 


inserted by FC2 system