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アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発

  アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発

 

 子供の頃大好きだった「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」のリメイク、「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第一章」を配信で済ませたクセに、わざわざ新宿はシネマカリテまで来てコチラを拝むとは、自分でも説明不能。ま、アミューあつぎ映画.comシネマで上映してくれそうだけど、どーしても観ておきたかった。記憶に定着させるには、劇場での観賞が一番ですから。

 

 昨年の「アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち」から気になっているテーマで、この後は荻上直子「彼らが本気で編むときは、」を予定している。“現代イシューを考える”2本立て、と括れるかもしれない。TV、新聞、インターネットなどの媒体でニュースは溢れているけど、単純に見出しを覚える効果があるくらいだ。そしてそれは世間話のきっかけを作るネタでしかない。

 

 

 ただし“好きなものを何より優先する”人間の場合、まるで意味がない。その証拠に職場で同僚が「シン・ゴジラが日本アカデミー賞を獲ったね」と話しかけてくれたのに、連れない返事しかできなかった。観賞優先作を追いかけるので手一杯で、インディペンデント・スピリット賞アカデミー賞も完全スルー。彼とはアレを“観た者同士”だから会話が成立するはずだったのに・・・。天候を除くと共通の話題は乏しい。

 

 ただどーして関心が低いのかな?と思うくらい、昨今の事情ともリンクする重要な研究。観賞後にスタンレー・ミルグラム博士の服従の心理を読んでいますけど、注目されないのが不思議なくらい。博士を演じるのがピーター・サースガードというのも劇場に行く動機の一つで、「マグニフィセント・セブン」の悪役からは想像もできない冷静なインテリに変身。

 

 原題がexperimenter=実験者というくらいで、ほとんどピーターの独壇場です。ユダヤ人のミルグラム博士は「なぜホロコーストは起こったのか?」、Why?を繰り返す。これはハンナ・アーレントの結論、“アイヒマンはただの役人に過ぎない”の先に進んでいる。じゃあなぜ“非人間的な行い”をフツーの人がしてしまうのか?詳細は原作を読むに限りますが、本作だけでも輪郭はクッキリする。

 

 

 よく考えられている実験で、生真面目な人なら“詐欺まがい”と怒るかもしれない。ただし嫌な結果だけに直視しないといけないかも。派手な「es[エス]」とは違い密室での実験ですから、ピーターが引っ張っていかないといけないし、華としてウィノナ・ライダーも登場する。「僕が結婚を決めたワケ」からご無沙汰していますかね、でも作品の色調が落ち着いたトーンで、目を楽しませてくれる。

 

 

 「マルコヴィッチの穴」っぽいかな、殺伐とした実験の風景には合っている。余計な描写は可能な限り削がれているのも楽しくて、「スパニッシュ・プリズナー」もオススメできます。ただ落ち着いた画だけでは退屈で、被験者役の2名がアクセントになっている。アントン・イェルチンとジョン・レグイザモが出番が少ないのに、それぞれ代表的な人物として登場。

 

 

 

 「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」とか「ジョン・ウィック」とか美味しいところをさらうジョンは、「やれって言ったから」と代表的な被験者。またほんのチョットながら、アントンは印象的でしたね。技師だけに実験に使用する電流に関しては知識があり、「これ以上はいくらなんでも」と深刻な表情はさすが。「スター・トレック BEYOND」などの脇役もいいけど、ホントに惜しい。

 

  

 

 学者が研究する映画って「愛についてのキンゼイ・レポート」があったな、と思ってチラッと見たら冒頭に本作主演のピーターが出てきたりして。変わっていて当然の学者さんなんだけど、常人より知識は豊富で知恵もある。ただ研究成果が“すぐ役に立つか?”ばかりを追いかける組織人になってしまったんでは、このミルグラム博士のような結果は出せなかったのでは?

 

 

 想像力を殺さないと組織人としては生きられない。会社勤めをすれば誰でも身に染みることながら、家に帰ってもTVばかりを見ていたら、TVピープルという組織人。消しゃあ良いのに、「TVとかマスコミが悪いんだ」とは本作に登場する被験者たちとなんら変わらない。ではネットにアクセスするIT機器の時代になったら解消か?とは誤りで、元ネタはTVと同じ。さらに“自分が選んでいる”という自負がより危険。

 

 劇場の外へ出ると、“コントロールされている人たち”ではなく、好き勝手に生きているようで、服従することに抵抗のない人は多いのかな?とちょっと怖くなる。「アップルシード」で「人間とは檻に入りたがる珍しい動物だ」というセリフがあったけど、それが“人間らしさ”だったら悲しくなる。でもこの博士はその“目を背けたがる本質”に切り込んだわけだ。

 

現在(3/2/2017)公開中
オススメ★★★★☆

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