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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

  雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

 

 レディースデーだからか、11:40開始の本作のチケットは、9:00に買おうとしたら席が6割程度埋まっていたブルク13。ジェイク・ギレンホールのファンが詰めかけているのか、題材が世の女性たちを惹きつけるのか。予告編から“喪失と再生”をテーマにしていることが伝わるから、“いろいろなものが失われつつある21世紀の今”この種の作品が求められているのかも。

 

 もう直近で「永い言い訳」と似ているようだし、「誰のせいでもない」もあったし、成長しきれない男という点では「聖杯たちの騎士」もそうだ。翻って女性たちはますますたくましい。しっかりした人生設計をしているし(「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」)、病を患っていても家族をまとめようと奮闘する母ちゃん(「湯を沸かすほどの熱い愛」)だって説得力がある。

 

  

 

 まさか去年はボクサーだったのに、空っぽなナイーヴ男に変身するとはジェイクもさすが。彼が主演し、ナオミ・ワッツクリス・クーパーが脇を固めるというのは、かなり手堅いキャスティング。「ダラス・バイヤーズ・クラブ」は観たけど、ジャン=マルク・ヴァレの力量は不明で、データ的に信頼を置いていたのは製作総指揮のジョン・マルコヴィッチジェイソン・ライトマン

 

 

 両名が関わった作品は私めの大好物で(「JUNO/ジュノ」「ヤング≒アダルト」)、昨今ご無沙汰しているフォックス・サーチライト社製でもある。感動作をいくつも世に送り出してきた会社ですけれど、地に足のついた品が多い。「おとなの恋には嘘がある」とか「WIN WINダメ男とダメ少年の最高の日々」辺りが特にオススメで、我々の隣人を過度な効果を用いずに描く。

 

 いきなり横から追突される画は最近「Mommy/マミー」でもありましたし、「セッション」でも出てきますけど、交通事故の頻度としては高い(村上龍氏も遭遇したとか「星に願いを、いつでも夢を」)。突然妻を亡くしたにもかかわらず、ジェイク演じるデイヴィスに悲しみの感情が湧いてこない。トントン拍子に金持ち生活を続けてきた人だからか、もともと空っぽだったからなのか。

 

 鬼気迫る無表情演技(「ナイトクローラー」)とは違った、ジェイクの“どーしていいかわからない”感じを、絶妙な映像で切り取る監督の手腕はさすが。義理の父に「まず解体してみろ」と言われたのがきっかけか、彼は冷蔵庫を手始めに家のモノを分解し始める。タイトルがdemolition(=取り壊し、破壊)というくらいで、解体業者の仕事までやり始める。

 

 それと同時に自販機から出てこなかった菓子の苦情を出して、そこに接点が生まれる。「RED/レッド」にも出てきますけど、“人々がみな分断され、隔離された”21世紀には説得力がある。ナオミ・ワッツもシングルマザー=カレンが板について、妻を失った男に無関心でいられなくなる。デイヴィスとの接触方法もIT機器の時代ならではで、ホントに人々は触れ合うことに臆病になっている。

 

 カレンと知り合い、息子のクリスと触れ合っていくという関係の中で自らの役割をこのデイヴィスは獲得していくのかな。「永い言い訳」は母性に目覚め、コチラは父性といったところでしょうか。あの防弾チョッキのシーンはかの国らしさです。そして「ナイスガイズ!」同様に子役が新鮮味を出し、きっちり作品を成立させる役割を担っている。

ナイスガイズ!

 

 クリス役のジュダ・ルイス君は美少年で、「シークレット・オブ・モンスター」の子より少し上で、いずれ「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」のエイサ・バターフィールドのようにあっという間に成長するのか。ゲイを告白する彼は停学処分中で、その理由はアフガニスタンに関係している。「アイアン・ソルジャー」とか「レディ・ソルジャー」とかあるんだから、子供に目を背けさせることは難しい。

 

 子役が上手いんだから、大人も負けてはいられなくて、ナオミは疲れた感じが板についてきてトホホ。「ダイバージェントNEO」などこの人も年を重ねている。私めの知る限り3回共演している、ジェイククリスは見せ場を作りましたね。もしあのシーンがなかったら×5にはならなかった。そしてラストのメリーゴーランドも素晴らしく、「ツリー・オブ・ライフ」とか「トゥ・ザ・ワンダー」に一歩も引けを取らない。

 

 “喪失と再生”というほど大げさではなく、身内の不幸はポッカリ空いた穴を生む。そして苦もなく生きてきた現代人はそもそも空っぽで、孤独に生きていて、喪失すら実感できないのかもしれない。「たかが世界の終わり」に漂う空疎さはまさに現代だし。ところがモノを壊し、母子と触れ合うことで、この主人公には何かが注がれたように見える。それが何かはぜひご覧になってご確認を。

 

現在(2/22/2017)公開中
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