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バーニング・オーシャン


 “不正義のTV社会にあって、ホラ吹きの映画は真実を描ける。
現時点でピーター・バーグのベスト”

 パニック映画は大別すると2種類、人災か天災。人災の典型は経費をケチったため大火事になる「タワーリングインフェルノ」で、一見ものすごく迷惑な怪獣が、ズルズルと歩く「シン・ゴジラ」も原因は人間様が蒔いたタネ=放射性廃棄物。災厄を撒き散らしている人は、日々TVに映っていると「世界を欺く商人たち」をムカムカしながら見て痛感の今日この頃ですけれど、本作はピーター・バーグのベストです。

パトリオット・デイ

 もし爆発事故さえなければ、冷静に石油掘削作業の過程を映し出した、出来すぎの映像資料に見える。仕事場に向かうヘリに、が激突するのが不吉な伏線とも取れますが、これみよがしのシーンは少ない。現場の人々に作り手が敬意を払っているからこその描写。火が点きゃ“手の施しようがない代物”を扱っている現場だけに、責任者も技術者もチェックに厳しい。

 “絶対にここだけは譲れない一線”を肝に銘じている2人が、技師のマイクと監督のジミー。マイク役のマーク・ウォールバーグは6月の「パトリオット・デイ」もストックされていて、ミュージシャンだった過去なんてトリビアになっちゃう。カート・ラッセルもとうとう「機動警察パトレイバーTHE MOVIE」のおやっさんっぽい。ぜひ「ゴーストハンターズ」「ニューヨーク1997」を若い人にオススメ。そういえば燃え盛る「バックドラフト」にも出ていたんだっけ。


   

 現場作業員だけじゃ潜水艦映画と同じく殺伐としてしまいますので、何年もお見限りのケイト・ハドソンで目を楽しませてもらった。「あの頃ペニー・レインと」とか「10日間でで男を上手にフル方法」とか可愛かったけど、未だ若奥さんって感じでデレデレしてしまいました。華はもう一人いて若手のジーナ・ロドリゲスで、「ザ・コンサルタント」のシンシア・アダイ=ロビンソンみたいな役が今後はきそう。

 ま、観賞前に分かっていたのはジョン・マルコヴィッチが“やりまくるだろう”と思っていた通り、この人災の犯人を熱演。“他人に責任をなすりつける”組織人の典型で、彼が劇中口にするセリフは、全て今後の人物判定に使えます。「それでも男か」が分かりやすいですけれど、脅迫したり煽ったり、“口が臭い”人にはご用心で、自分も戒めないと。ホントに今回の彼はやる気満々だった。

 いかにも生々しい犯人はジョンが担って、マークはヒーローに変身、劇映画の要件を満たさなければならない。映画はホラですし、金曜の夜に劇場に来るお客さんを満足させなければならない。マイクが燃えさかる炎をかいくぐり、仲間を助けたのは事実なれど、忠実に再現してしまっては娯楽じゃなくなる。「ワールド・トレード・センター」には無理だけど、このスレスレのところはさすがのピーター。また油田採掘所の事故を描いた作品は、他に「あなたになら言える秘密のこと」がありますが、テーマが違います(ご参考までに)。



 本質は経営側が引き起こした人災で、石油に関わる人は強欲だと再確認、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」をご参考までに。クリント・イーストウッド「ハドソン川の奇跡」に近く、この件を“誰の目にも明らか”に出来るのは映画。この翌年に日本はもっと深刻な人災に見舞われますが、日本人とて無関心ではない証拠が「シン・ゴジラ」「君の名は。」のヒットだと思う。

 21:45スタートのTOHOシネマズ小田原は入っていないけどさ、娯楽性もあり良く出来ていると思うけどなぁ。ドゥニ・ヴィルヌーヴを“注目を余儀なくされる監督”として認識していましたけれど、ピーター・バーグは無視できなくなった。伝えることと娯楽性の融合は、ロン・ハワードに近い実力の人。次の「パトリオット・デイ」も当たりでしょう、キャストを見ただけで嬉しくなる。

現在(4/21/2017)公開中  オススメ★★★★☆
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