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TOMORROW パーマネントライフを探して 0円キッチン

 

はじまりへの旅

はじまりへの旅

 “ヴィゴ・モーテンセンのまともな変人親父とずば抜けた子供たちが清々しい。現時点で本年度No.1”

 新しく始めた“映画館と私”のためもあるし、「TOMORROW パーマネントライフを探して」に近いネタのようだしで、MOVIX橋本までやって来て本作を拝む。本日は“ロードムービー”2本立てで、次は「0円キッチン」を予定している。それにしても、主演のヴィゴ・モーテンセンは「オン・ザ・ロード」を見ているといっても、劇場では「危険なメソッド」以来になる。

 「ギリシアに消えた嘘」、「涙するまで、生きる」、「約束の地」といった作品をすっ飛ばしているからといって、知らん顔していたわけではないのです、単純に時間がないだけ。チラシの画はウェス・アンダーソンの「ムーンライズ・キングダム」「ダージリン急行」などに近い感じがするし、予告編の売り方も大自然に暮らすヘンテコな家族のお話っぽい。

 

 でも始まってすぐに、その和やかさからは程遠い内容であることにワクワクする。シカが出てきてありがちな大自然モノかと思いきや、身体中に迷彩を施した少年が一撃で倒す。えぐり抜いた心臓を食べたりして(「ダンス・ウィズ・ウルブス」にありました)。この家族が住んでいるのは原始の自然、つまりは「レヴェナント:蘇えりし者」と大して変わらない環境。

 

 金が儲かって道楽で住んでいるのではなく、世を捨てて来たわけでもなく、家長であるベン・キャッシュの教育方針に則って一家は生き抜いている。6人兄妹はレンジャー部隊ばりの訓練を受け、ナイフの使い方も堂に入っている(「ハンテッド」をご参考までに)。まず落ちたら死ぬよな、という断崖絶壁でロック・クライミングも訓練の一つ。

 じゃあ肉体だけ鍛え上げているかというと、知性はもっと根性が入っている。読んでる本が人類必読書ばかりで、父は単に読み捨てさせるだけでなく、習熟度のチェックも怠らない。それにしても動物の骨でコレクションをしている子は、平気な顔でポルポト(「キリング・フィールド」をご参考までに)と発言。たいがいの親が“それは大人になってから”なんて禁止事項は、この一家には通用しない清々しさ。

 でも家族に隠し事なんてない健全な一家なれど、精神病だったお母さんが自殺するという悲劇が襲う。そして子供たちを連れ、家長は妻の遺言を実行すべく葬儀に出ることに。もう予想通りに“ファシスト資本主義”に貫かれた下界は、子供達にとって異世界。ノーム・チョムスキー先生の誕生日を祝ったりする一家だもんね。でも彼らが変わっているのではなく、コチラが異常。

 素直な目で素朴な疑問が痛快、「太った人が多いね」と体脂肪率の極端に少ないちびっ子のストレートさにニヤニヤ。「ザ・コーポレーション」や一連のマイケル・ムーア作品も参考になります。彼らをまともだとすると、異常極まりなく見えてしまう世界の代表として、義理の一家が出てきて徹底的に笑われてしまう。ゲーム漬けだと当然バカだから、権利章典という法律すら知らないし、演じてる子がまた上手いのだ。

 ただし、フツーの人々を笑ってオシマイにしない、もう一段階があって本作は侮れない。義理の父を演じているフランク・ランジェラ(「素敵な相棒 ~フランクじいさんとロボットヘルパー~」がオススメ)が絶妙なんだけど、娘をオカシナ考え方に染めたと思い込んでいるし、ベンを許そうとはしない。でも孫は可愛いし、ありがちな悪人ではないから、出て行くベンに「行くあてあるのか?」と尋ねたり。

 ベンの教育方針とて万能ではない。子供たちを閉じ込めたのでは「バイバイ、ママ」になってしまう。ヒゲ剃って持ち前の美貌なんだけど、しょんぼりしているヴィゴ・モーテンセンなんて、「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンの片鱗もないけどイイよねぇ。でさ、一家がやっぱり・・・というラストに涙、現時点で本年度№1最有力です、ぜひご覧になってご確認を。

現在(4/6/2017)公開中 オススメ★★★★★
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