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ここにテキスト
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メッセージ |
観賞劇場 | TOHOシネマズ小田原 |
関連テーマ | エイリアン映画 SF映画 アカデミー賞 |
5/17付の朝日新聞に“乗っ取られる注意力”という記事が載っていた。「選挙」監督の想田和弘氏によるものだが、なかなかに興味深い。自分でもこの頃忘れっぽいと思うが、トシのせいだけではない。“加速する時代の変化”はこうして作業を通じて思い知らされるけど、レイヤー化してモニターをいくつも眺めたりしていると、集中力は当然続かなくなる。スマートフォンなどのディバイスをいイジっていてもそうだ。 |
よってマスメディアによって繰り出されるデマは、肩をすくめてやり過ごし、映画と本で現状を認識していけば良いと思う。焦ったところで追いつけないし、「スノーデン 日本への警告」は何度も読み返し、身体に染み込ませる。我々が頭上に頂いている連中は驚異で、その下っ端が危険なのは「バーニング・オーシャン」が明らかにした。坂本龍一の新作は聴き減りしないし、アレコレ求めても疲れるだけ。 |
で、asyncに似合う作品をいずれ撮って欲しいドゥニ・ヴィルヌーヴなんだけど、まさかエイリアンと遭遇する本作がそうなるとは驚きだ。前々から映像も見所の人だったけど、今回の落ち着いた感じは前作とは違って目に優しい。字幕がむしろ眩しいくらいに感じられる。撮影監督を「完全なるチェックメイト」のブラッド・フォード・ヤングに変えたのも効果的。 |
「プリズナーズ」以降はこの監督に注目していた役者さんは多いはずで、今回はエイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカーといったスターが作品を支えている。デッカイ物体が出てくるけど、予算はそれほど潤沢ではないでしょう、始まる前に関わった会社がいっぱい出てきたし。「ブレードランナー2049」がどうなるかは不明ながら、この監督が超大作を手がけるのは想像しにくい。 |
特撮は適切に見せて、物語をじっくり描く。“娘を失った女性の再生”が軸で、“未知の文化と接触する人類”を背景にしている。予想通り「未知との遭遇」と同じく学者が活躍するから、人によっては退屈に感じるかもしれない。でも画面から目が離せないのだ。エイミー演じるルイーズ博士が軍の依頼を受けて、謎の物体に入ってコミュニケーションを積み上げていく過程は“急ぎすぎている”今の時代に必要。 |
補佐する役回りのイアンをジェレミーが絶妙に演じている。アチラではホークアイですけれど、こういう受け手の男はハマる。エイミー、ジェレミーともにアメコミ映画にも出てますが、「アメリカン・ハッスル」の2人なんだよね。昨日「サウスポー」を見ていてトレーナー役に再度唸ったけど、フォレストは貫禄の大佐役も難なく演じてしまう。 |
高度な文明を持つエイリアンというと、「コンタクト」が最適な描き方だと思いますが、人類がパニックに陥るんですから、タコ足じゃないと。よって「宇宙戦争」とか「モンスターズ/地球外生命体」っぽいのが出てこないとね。でも日本の書みたいな文字で意思疎通をするというのは見たことがなかった。あと予告編で新海誠がコメントを寄せてますけど、「君の名は。」に通じる部分もあるんだよね。 |
人々は加速して忘れっぽくなり、本作が描いている通りデマに流されやすい。未知のモノを見た途端に“敵だ!、殺せ!”とは凄いけど、TVは焚きつけるし、ネットの動画も、飛びつきたくなる映像が再生回数多くなっちゃうんだよね。そういった現代を静かに映し出せるのは映画で、娘を失った痛みを抱えた女性の物語なれど、前に向かって歩き出す姿を刻むことができる。 |
この手の感動作をドゥニ・ヴィルヌーヴは撮ってなかったはずで、素晴らしかったし、どっしりときた。中国が無視できなくなったのは動かしがたい事実で、合衆国だけでなんとかできる時代ではないことも伝わります(「世界侵略:ロサンゼルス決戦」などをご参考までに)。強いとか美しいとかを超えて、エイミーはいつの間にかいい女になっている。本作は彼女の代表作になるでしょう。「her/世界でひとつの彼女」はそれを予感させるけど、娘役の「人生の特等席」もオススメ。 現在(5/19/2017)公開中 オススメ★★★★★ |
追記: 帰ってから「未知との遭遇」を再見したんですけれど、本作との最大の違いは“音”で異星人と人類が意思疎通を試みている点。そして40年前に観客があっと驚かされた特撮は、もはや色あせている。しかし見所は派手な仕掛けより、フランソワ・トリュフォーの演技であったり、今も変わらぬ政府のデマを用いた隠ぺい工作だったり、飽きもせずイケる。 | ||
それに予算が大幅に違うのでは?一見「メッセージ」は特撮が洗練されているし、展開が全世界のようで、実はそれほど広範囲の撮影は行われていない。翻ってスピルバーグ作はインドやら、メキシコやらにトリュフォーを引っ張り出してシーンを組み立てている。出演したエキストラの数も段違いだ。お客さんをあっと驚かせる特撮が見劣りしても、並行観賞すると見えてくるものは多々アリ。 |
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関連作 |
ノーマ 世界一のレストランが東京にやって来た |
異星人との接触を描いた「メッセージ」の関連作に、フードムービーとは的外れかもしれませんが、異文化との接触、それも日本とのソレは並行観賞して面白いかも。政府のコトなど警戒するべきイシューなだけですから。先に「ノーマ 世界を変える料理」を見ていますが、レネ・レゼピに照準が絞られていて、他のスタッフはそれほどでもなかった。 |
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で、同じことしても意味ありませんから、東京出店に際してはっぱをかけられる凄腕がメイン。「エル・ブリの秘密-世界一予約のとれないレストラン」にも男前が揃っていましたが、コチラはさらに見栄えのするシェフが出てくる。筋トレしているラース・ウィリアムズは渋くて、「二つ星の料理人」のキャストが負けてしまいそう。またメインシェフの中で紅一点、ロシオ・サンチェスは「エージェント・マロリー」のジーナ・カラーノ嬢っぽい。オッサン目が釘付けになりました。 | |
“常に斬新な味の探求に貪欲な人”と評されてもこのレネは何も感じないんだろう。とにかくジッとしていられないというか、同じことが繰り返されるのが我慢ならないみたい。スタッフとのミーティングにその“人となり”はうかがえる。マンネリはお店を廃れさせちゃうんだよね。“外国人が描いた日本”には学ぶところが多く、福岡のキノコ栽培のビニールハウスの景色は印象的。 |
長野では生えてる食材が大切だとラースが語る。母国でも土地のもので料理する彼ら、“魚を生で出すなど論外”なのに、タイトル(エビの上のアリ)にもなっている料理はまさに芸術品。またクライマックスと切り上げ方は絶品だ。もはやこのドキュメンタリーも彼らも、既存の枠組みには収まらない。地球の裏側から来店する人もいるけど、ネットで直接お客さんと通じ合ってる。マスメディア衰退の後はブロガーたちが頼りにされるのでしょう。 オススメ★★★★☆ |
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