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ハドソン川の奇跡

  ハドソン川の奇跡

 

 先月10本観賞を予定したものの、けっきょく7本どまりで3本今月に繰り越すことになってしまった。10月のスタートはオッサン映画ばっかり。本作のあとは「メカニック:ワールドミッション」「ラスト・ウィッチ・ハンター」「ジェイソン・ボーン」が続きます。「ジャージー・ボーイズ」辺りから“お願いですから長生きして、1本でも多く撮ってください”と切望するクリント・イーストウッドの最新作はやはり並じゃない。

 

 この件に関して私めが持っている情報はせいぜいTVニュースの範囲を出ない。2009年に起こったことで、2011年の「ステイ・フレンズ」で主人公が「あの機長は評価されすぎだ」などと言って、キャビン・アテンダント(が正確なの?今は)からアホ呼ばわりされたりしている。また本件をモチーフにしていると思われる、ロバート・ゼメキスの「フライト」が2013年で、アルコール中毒の機長が描かれている。

 

 とは言っても実際のことはまるで分かっちゃいないし、この件を同僚に聞くと「ああ、アル中の機長がやったんだよ」などと“したり顔”で言われたり。TV視聴者に対する偏見は日々増す一方の昨今、デマ(TV、新聞)で生きてる人の話すことが全て疑わしいんだから、映画で確認するしかない。「13時間 ベンガジの秘密の兵士」で2012年のリビアを確認、「故郷よ」を再見して日本を再確認といった感じで。

 

 そして前情報として“ALEXA IMAX® 65mm カメラを使用”があったわけですけれど、進化した映像技術なんて全然目に留まるどころか気にもならなかった。やはりスゲェとしか言いようがない。「ボーダーライン」ドゥニ・ヴィルヌーヴ「レヴェナント:蘇えりし者」アレハンドロ・G・イニャリトゥよりも映画をよく知っているクリント・イーストウッドならではの作品です。

 

 邦題は仕方ありませんが、原題のサリーがまさにズバリでこの機長が作品の全て。バードストライクに遭遇した旅客機をハドソン川に着水させ、乗員全員を救った。これをTVが大好きな美談から遠く、“伝え、残す”ことができるのは映画の機能。確かに娯楽作とは言い難いものの、96分と昨今の作品にしては短い上映時間でも、タップリ堪能できる(恐らく映像の効果でしょう)。

 

 観賞前に期待していたのは御年86歳の監督が“世間様を叱りつけるような”内容。ところが「J・エドガー」の人だけに“済ました顔”で、浮かれ騒ぐ世間様やら機長を糾弾する連中も含めて観客に提供している。でも本質は“155人の安否を確認するまでは仕事は終わっていない”というサリーと、救助に向かったフェリーの乗組員、沿岸警備隊の面々が主役なのだ。そうそう、パイロットといえど生活が苦しいことは「キャピタリズム/マネーは踊る」が参考になります。

 

 「大統領の執事の涙」以来“偉人とは我々の隣人なのだ”という認識でいて本作はそれに合致する。今年もう1本拝むことになりますが、トム・ハンクスの化けかたはさすがで、ラストに本人出てきますから確認できます。ローラ・リニーも出番は少なめなれど溶け込んでいたし、「ザ・コア」とか「サンキュー・スモーキング」から幾年月、「アイ・フランケンシュタイン」とは同一人物とも思えないアーロン・エッカートも自然なんだよねぇ。

 

 昨今読んでいる「ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める」に本作の訴えていることと似たようなカ所がある(p50)。確かにコンピュータがクイズや将棋で人間に勝ったかもしれないけど、それを作ったのは秀才たち。本作の機長は“一度も起こったことがない事故に遭遇”して“誰もやったことがない処置”を取った。起こることが分かっているなら、幾らだって都合の良いシュミレーションを作れる。世間様は英雄と呼び、エライ連中が糾弾、サリーは自己防衛を余儀なくされるとは世も末。

 

 機長を糾弾する連中は役人根性丸出しで、演じる皆さんはさすがの熱演。観賞中は腹が立ったけど、個人情報が存在しないに等しい21世紀、あの描き方は辛辣ですよ。「終の信託」は帰る道々考え込んでしまいましたが、ああも露骨に描かれた人たちって実在するわけでしょ?「声をかくす人」に出てくる連中はとっくに墓の下なれど、今もこの地上で息をしている。我が国よりネットが行き渡った合衆国でさぞや辛い日々を・・・。巨匠は怖いもの知らず。

 

現在(10/1/2016)公開中
オススメ★★★★☆

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  ダーティファイター

 

 最近は気楽なコメディがないと安易に嘆くことなどありません、クリント・イーストウッドの“恥ずかしい過去”としても断然オススメ。よくもまぁこれだけ分かりやすくテレテレとしていて、格闘映画にして動物映画でもあったりして。登場人物に切れ者はいなくて、どいつもこいつもアホ丸出し。それにしてもマヌケの先陣を切っているのが真顔の「ハドソン川の奇跡」を監督した人。

 

 この種の作品に恵まれなかったことはジェイソン・ステイサム、ヴィン・ディーゼルにとって痛手。ダサすぎるバイク集団やら隣のばーちゃんやら可笑しくて仕方ない。同時にこの後の合衆国が、どれだけ陰惨になっていったかの動かぬ証拠。エテ公=クライドも芸達者なんだけど、今じゃあ呼び方だってクレーム対象。ストリートファイトったって「ファーナス/訣別の朝」とか、ショー・アップされても「ウォーリアー」になってしまう。

 

 そもそも騙した女を追っかけるという設定が、ストーカー出現以降無理だもんね。画面もですね、「ジェイソン・ボーン」の後ですから目に優しいこと、違った意味で美しいこと。夜が暗く、対してお天道さんが顔を出している時は明るいってのも、今や映画の常識ではないのですな。ソンドラ・ロックは田舎者には“身体に毒”の魔性の女がハマっている。
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