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シン・ゴジラ

  シン・ゴジラ

 

 夏の大作は「ターザン REBORN」「ゴーストバスターズ」だけって決めていて、宣伝がしつこかったコチラはパスする予定だった偏屈な私め。じゃあなんで劇場に行く気になったかといえば、allcinemaのユーザーコメントのおかげ様。かなり好意的な評が寄せられている。「レンタネコ」主演の市川実日子も出てるし、フタを開けてみたらまさにコメントの通りなかなかの出来です。

 

 監督の庵野秀明はもちろん「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」で有名。もっともこの人の実写作品は「ラブ&ポップ」くらいしか観たことない。ただし監督はもう一人いて「ローレライ」の樋口真嗣。特撮が画期的だった「ガメラ2 レギオン襲来」を担当しているし、履歴を漁ると「アサルトガールズ」とか「宇宙戦艦ヤマト2199」にもタッチしている。

 

 この2人の監督による作業はコーエン兄弟作品のような効果があったのか、申し分のない日本映画のエポックになった。2014年に合衆国版の「GODZILLA ゴジラ」があるわけで、描いているポイントが最大の違いになっている。ギャレス・エドワーズは怪獣の被害に翻弄される一家族を登場させますが、コチラは偉い人中心に描かれている。もちろんモチーフになっているのは東日本大震災と福島の原子力発電所事故。

 

 震災に関して描いた作品は我々と同じ目線を心がけているものが多い。「家路」「遺体 明日への十日間」「希望の国」など。翻って国家中枢で何が行われていたか?の映像資料は乏しい。我々の想像の範囲内にすっぽり収まる感じで、かなり勇気のある描写。Real Soundというサイトの“『シン・ゴジラ』は日本の何を破壊する? 庵野秀明監督が復活させた“おそろしい”ゴジラ像”という記事で内閣の様子はコントのようであると記されているけど全くその通り。

 

 後手後手どころか想像力不足の大臣たちのやり取りに笑ってしまった。分からんちんの中で“一人だけ核心を突く男”というキャラクターはパニック映画の定番だけど、あまりに生々しい。海底トンネルの上で爆発してるんだから火山活動のはずないのに・・・。首相役の大杉連や柄本明など、名だたる曲者役者たちは、ここぞとばかりに主要閣僚たちの無能さを力演。

 

 グズグズしている日本のトップをしり目に状況はとっとと先に進んじゃって、ゴジラはよりにもよって大田区に上陸。自分の住んでいる街を壊されて喜ぶ人もいるみたいですけれど、店長やった店もあったし、近所に住んでたし思わず「なんてことしやがる」とスクリーンに文句たれたりして。それくらい真に迫った映像です、おまけに長年通勤に使った京急線まで蹴散らしやがって・・・。

 

 ただし上がってきたゴジラですけれど、“あれ?劇場間違えちゃったかな?”と思わせたりする。この辺はシャレだと思うけど、よく練られている。なにせ物語が進んでいくうちに観客はどんどん引き込まれていくんですから。たぶん「機動警察パトレイバー」の“4億5千万年の罠”もパロディで使っていると思うけど、オリジナルを現在使える映像技術を駆使してリメイクしていると思う。

 

 1954年のオリジナルで私めがビックリしたのは“登場人物の腰の細さ”で、申し訳ないけど口から吐き出されるアレは弱火だった。よって東京が破壊される姿に説得力がなかった。しかし今回は武蔵小杉駅までズルズルと迷惑にも街を破壊しながら歩き、自衛隊の火器も歯が立たない、あげく米軍のミサイルに反撃してホントに東京を火の海にしてしまう。ただ首相以下トップがきれいサッパリのとこにスッキリしたりして(これは不謹慎だけど)。

 

 “通常兵器で歯が立たなきゃ核爆弾”はアレと同じで、日本政府は言いなりで役に立たない。これは現実なんだけど、そこはフィクションの強みで人々は知恵と勇気で立ち向かっちゃう。「舞妓はレディ」でその歌唱力を見せつけた長谷川博己がヒーロー然としない不屈の男でなかなかなのだ。津田寛治もいい味出していて、確認できたピエール滝と古田新太、片桐はいりなど豪華すぎるキャスト。

 

 ラストはアレの×××作戦そのもので、劇伴もまんま流用。だいたい長谷川博己の役名が矢口蘭堂だもんね。この辺はファンサービスなんだけど、活躍するのが建築重機で、止めがオキシジェン・デストロイヤーならぬ×××という手に汗握るラストは是非ご覧になってご確認を。娯楽大作にして、“日本人が忘れてはならないことを刻む”、ドキュメンタリーの「いしぶみ」と同じ日本映画の重要な1本。

 

現在(8/1/2016)公開中
オススメ★★★★☆

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  謀議

 

 見ている途中でムカムカしてしまい、結局2日に分けての観賞になった。会議のシーンのみで成立しているから退屈というわけではなく、登場人物たちへの生理的な不快感がそうさせる。単純に出てくる面々がナチだからということではない。今も我が国の為政者たちが、どこぞの料亭やら別荘でやっている光景に見えたからだ。彼らにとって人間とは数で語るしかないもの。

 

 娯楽作としても優れている「シン・ゴジラ」を大人の映画にしているのが会議のシーンで、我々を左右する権力者の意志決定、その映像資料が不足していることを暗に示している。本作は残った議事録から映像化されていて、人々がホロコースト決定の瞬間を目撃するだけでなく、参加した人物たちは組織人の範囲を出ず、既に進行している計画を追認で締めくくっていることが明らかになる。

 

 背景は敗戦の色が濃い時期のドイツであり、切羽詰まれば“人間分別もクソもなくなる”と捉えても良いかもしれない。本作に至ったのは「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」で取り上げられているルドルフ・アイヒマンに関心があったからで、スタンリー・トゥッチが演じる彼はハンナ・アーレントが指摘した通り。淡々と命令を遂行、表情も変えず、善し悪しの判断をどっかにやっちゃった。

 

 アイヒマンの上官がラインハルト・ハイドリヒで、ケネス・ブラナーが実力発揮。風貌を“ザ・ゲルマン”に変え、押しの強さはヤクザ並みにして根回しも用意周到。政治家が持つ当然の技量ながら、方向を間違えると暗殺されそうになるんだね。後に「ワルキューレ」でヒトラー暗殺を企てる役もやるのに、「ハムレット」の監督はこの件に関してちゃんと見識がある(DVDの予告編を参考までに)。

 

 英国勢では後に国王を演じるコリン・ファースも観客を飽きさせないパートを担っている一人。彼が演じた人物ヴィルヘルム・シュトゥッカートに関してもWikipediaを漁るとモロモロ出てくる。作品の完成度というより、ナチについて考える契機をくれる1本。ただラストに“憎しみが大きいと、対象を失った時に生きがいも失う”とは大きな示唆だと思う、権力側だろうと反権力側だろうと。

 

 見ていて嫌な予感がしたのは、もしユダヤ人を老人に置き換えたら?なのだ。最初は障害者の安楽死から始まって、非純血種に等級を付け・・・。これを経済活動にとって役に立つ人間と、そうでない者などと決めつけ始めたら・・・、我々が頭上に頂く連中なんて代わりばえしない、と同時に“地球が破壊されても不文律にしがみつく”人は出世しやすいし、組織体には不可欠。背に腹は代えられなくなったら?戦争も含めて人口調節に走りそうな嫌な予感が拭い去れない昨今だけに、こんな妄想ばかりが膨らむ。
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