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 注目しておきたい監督は多々あれど、“注目を余儀なくされる人”となるとドゥニ・ヴィルヌーヴ。この人は私めと同じトシの48歳で、「ルーム」のレニー・アブラハムソンが一つ年上ですけど、年齢に見合った感覚が近いからなんですかねぇ、連続して×5になりました。期待通りだとケチつけたりしますが、予告編のハズし方も嬉しくなってくるぐらい、映像のクォリティに満足。

 

 「プリズナーズ」から観始めましたが、サスペンスフルな展開とともに、この人の作品で重要な部分は映像美。アカデミー賞にノミネートされているロジャー・ディーキンスが担っているんですけれど、今回も圧倒的だった。テレンス・マリック(「トゥ・ザ・ワンダー」)、アルフォンソ・キュアロン(「ゼロ・グラビティ」)、アレハンドロ・G・イニャリトゥ作品に欠かせないエマニュエル・ルベツキみたいかな?

 

 昨今「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ」を見直して、IT機器の奴隷だと思い知らされて、上映されている映像は厳密には映画とは言えないのでは?の21世紀。見世物小屋傾向(「ジュピター」「ザ・ウォーク」)が一方にはあるけど、でっかいスクリーンに映し出される4K(でしょう、たぶん)に見惚れるのも新たな映画体験。ラストの銃撃戦にはタップリ最新技術が込められている。

 

 空撮も「天空からの招待状」に勝るとも劣らない仕上がり。もっともそれらは批評家に宣伝してもらう一種の方便で、中身はグッと濃いです。わざわざベニチオ・デルトロが出ているんだから、「トラフィック」を関連づけられますが、表層が麻薬戦争だとして、復讐劇であり、合衆国やメキシコの実態も浮き彫りにするし、人々が目を背けている事実も露わにしている。

 

 主演のエミリー・ブラントが本作を知るきっかけになりましたが、予想通り「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の延長線上にある役柄。クリステン・スチュワート「レディ・ソルジャー」などに出ているし、今まで女性が踏み込まなかった領域に進出している事実に加えて、素人に説明する“狂言回し”のキャラクターでもある。以前だったらもちろんルーキーが担っていた(「フューリー」の新兵とか)。

 

 我々に説明するキャラクターですけれど、本作のエミリーは今まで目にしたことのないほど厳しい表情をしている。「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャスティンや「アイアン・ソルジャー」のミシェル・モナハンなど勇ましいのです。「砂漠でサーモンフィッシング」の頃とは違うし、「ウルフマン」のコスプレお姫様って感じもずいぶんと前に感じる。

 

 そしてデータを見るまで気がつきませんでしたが、彼女とアレで既に共演していたベニチオ・デルトロとジョシュ・ブローリンが脇に見えて実はメインのキャストだった。この辺はぜひご覧になってご確認いただくしかないんですけれど、一方の復讐劇であり、もう一方の打算づくめの陰謀劇でもある。そこに主人公のケイトが巻き込まれるという図式。

 

 FBIの突撃隊であるケイトは胡散臭い男にリクルートされて、メキシコの犯罪組織壊滅に関わることになる。その過程で彼女が知ることになるかの国の実態は“我々が見向きもしないホントの情報”で満ち満ちている。誘拐した人々を殺した挙句に壁に塗り込んだり、頭や手を切り取った死体を通りに吊るしたり。別に皮肉でもなく、ネットで調べれば分かるよとばかりのシーンまであります。

 

 幾つか映画を観ていれば、胡散臭い男が突然やってきて人材を引き抜くってのはCIAのやり口で、「リクルート」「エージェント・ライアン」も描いている。フアレスという国境の街に関しては「ボーダータウン/報道されない殺人者」でも描かれましたがほとんど無法状態。直近で「ニューヨーカー誌の世界」も再確認させてくれましたが、国内での活動を中央情報機関は禁じられている。

 

 そして道案内している得体のしれない男の復讐劇は絶えず繰り返されている。「コロンビアーナ」「今そこにある危機」なども参考になりますし、最初と最後の銃撃戦に関しては「ネイビーシールズ」を娯楽に徹した作品に見せてしまう。今まであった映画の復習にもなりますが、それだったら以前の作品を見れば済むわけで、そこにこの監督独特の映像美が一役買っている。音楽は控えめかつオーソドックスというのも特徴ですかな。

 

 上映館が少なくて、わざわざTOHOシネマズ上大岡まで足を運びましたが、2作品連続で満腹になった。それは監督たちの感覚が“今を見据えつつ、ちゃんと物語として成立させている”からかもしれない。そうそう去年の「しあわせのまわり道」の時には気がつきませんでしたけれど、劇場周辺は道を歩いているのが“ほとんど日本人ばかり”という事実に驚いている。今の職場でも新宿などでもそんな光景ありませんからね。

 

現在(4/12/2016)公開中
オススメ★★★★★

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  レディ・ソルジャー

 

 クリステン・スチュワートトワイライト・シリーズから解放されて、「スノーホワイト」続編を蹴って女優業にいそしんでいる、と履歴からは判断できる(「アクトレス/女たちの舞台」「アリスのままで」)。それにしてもこの題材に挑むんだから根性入っている。「アイアン・ソルジャー」ともどもB級アクションの定番パッケージだが、「バンバン・クラブー真実の戦場−」と同じく見逃すには惜しい内容。

 

 マイケル・ウィンターボトムの「グアンタナモ、僕達が見た真実」が2007年で、ここに描かれている世界も同様。ニュースが途絶えている2016年の今こそ見るべき内容。米軍に捕まえられ、拉致された挙句にこの収容所に送られてきている。この冒頭部分には唖然とさせられるけど実態でしょう。9.11でものの見事に操られてしまったアメリカ人にとっては“知らんぷり”していたい真実。

 

 「ミッションX」以来の共演となるジョン・キャロル・リンチが基地司令なんだけど、印象はエライ違います。「ア・フュー・グッドメン」のジャック・ニコルソンが演じた男に近いかな?軍人だから戦うのが本分だけど、同時に最も強固な組織である軍隊だけに、上からの命令には絶対服従。規律違反であっても、全体を優先するから目をつぶるって姿勢は、ありとあらゆるところで目にする組織人の業。それにしてもあの男の罪科は計り知れないです。

 

 「彼女が消えた浜辺」「別離」で見覚えのあるペイマン・マーディとクリステンの芝居が中心で、ともに素晴らしい。看守と収容者から徐々に心を通わせていく。なんとも重い題材にほんの一筋光がさすラストに感動、ぜひご覧になってご確認を。ラジー賞を彼女が獲得ってのは信じられない。もしあの美貌がなかったら、とてもじゃないけど見終えることなんてできない。
オススメ★★★★☆

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