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 春休みも終わり、そろそろ超大作がシネコンのスクリーンを占有する時期も過ぎた。そんな頃が映画好きにとっては美味しい季節。ま、映画好きみんなが偏屈な人ではありませんが、収益が優先される作品と比較的コア層(ホントは違うけど)を狙った作品の棲み分け、時間差があっても良いのです。おかげさまで先月なんてIT機器の奴隷と化して、映画館に行く時間割けませんでしたから、ある意味ラッキー。

 

 そして今年最初の×5に出会って幸先の良い4月のスタート。今後の観賞リストは「ボーダーライン」「スポットライト 世紀のスクープ」「グランドフィナーレ」と続いておりますが楽しみになってきた。そう感じさせる本作なのですけれど、21:15スタートの最終回とはいえ、公開初日のTOHOシネマズ小田原はちょっと入りが心配。私めにとってはアカデミー賞インディペンデント・スピリット賞も獲得で、ヒット連発のギャガ(GAGA)配給という手堅い布陣の作品だけに。

 

 ま、新学期で皆さん忙しいんでしょう、帰りの道路もガラガラに空いていたし。映画をめぐる環境に限らず、世の中信じられないくらいのスピードで、目に見えない変化が起こっている昨今、説得力のある感動作にはなかなか出会えないものです。笑われないSFが「ハーモニー」だったりする今、20年前だったら“事件の映画”であるはずの題材を感動作に昇華している映画監督レニー・アブラハムソンは素晴らしい。

 

 もちろん関連作を挙げていくのが目的のページですから、「FRANK -フランク-」未見は悔しい。でも慌てて“処理するかのように見た”って、意味ありません。マイケル・ファスベンダーが被りっぱなしの前作から察すると、この監督はウェス・アンダーソン(「グランド・ブダペスト・ホテル」)やスパイク・ジョーンズ(「her/世界でひとつの彼女」)、ジャン=ピエール・ジュネ(「天才スピヴェット」)っぽい人のよう。

 

 つまり描かれている世界は奇抜のようでも、しっかりした価値観の持ち主。その感覚に合致した原作を得て、映画として申し分ない傑作に仕上げている。小さい女の子の感動作のハズが、怒りがこみあげてきた「メイジーの瞳」なども参考になりますけれど、21世紀の今は“おかしなこと”が平気でまかり通っている。TVニュースで報じられる幼児虐待には目を背けますが、それを見ながら食事している家族も同時に恐ろしい。

 

 “7年間監禁された母子が外の世界に出る”という設定自体が異常なのに、今はそれとて慣れっ子になっている。でもそれを悲観したり、ただ批判して終わりにしていてはいられない21世紀。前半は登場人物が2人だけですから、実力が試されます。母親役のブリー・ラーソンと、息子ジャック役のジェイコブ・トレンブレイは息苦しいはずのシーンを、過度に緊張させず、かと言って“心和む風景”にもしていない。

 

 この作品が批判に傾斜するならば、2人を監禁している男のパートに時間を割いたのでしょうが、それを敢えて回避している。それは原作未読なので類推しているだけなんですけれど、ジャックの出生に関する部分もしかり。ウィリアム・H・メイシーは出番が少ないんですが、「君が生きた証」の監督でもあるこの人が残す印象は、観客にある想像を抱かせる。

 

 “追い詰められて、やり場のない男の暴力が招く悲劇”に満ち満ちている今。でも観客の怒りを焚きつけても、無力感を放ち、よりひどい世の中になっていくだけ。非道な暴力にさらされた母と息子が再生していく姿こそ、救いがあります。ですから、「プリズナーズ」より一歩踏み込んだことになる。その重要なパートを担っているんだからジェイコブ君さすがです。

 

 髪が延びっぱなしでフランソワ・トリュフォーの「野生の少年」みたいですが、それを切るシーンにグッときちゃった。「奇跡」も髪をとかすシーンが忘れられないけど、おばあちゃん役がなんとジョーン・アレンなのね(「ボビー・フィッシャーを探して」がオススメ)。娘には距離があっても、ホントに幼い孫は可愛くて仕方ない。また「マーサの幸せレシピ」の1シーンに近いんですけれど、血のつながらない祖父のレオが、ジャックと食べるトコもたまんないんだよな。私めもとうとう“爺さん目線”だということを思い知らされた。

 

 確かにもう救いようがないくらいひどい世間様が背景にないと、映画に説得力なんて持たせられない。「ゴーンガール」など挙げればきりがないくらいなれど、そんな中で子供の生命力を信じ、託す勇気を大人が得られる傑作です。母親役のブリー・ラーソン主演の「ショート・ターム」も見る気になったけど、久しぶりに「野生の少年」と見比べて、今を知るのも悪くない。

 

現在(4/8/2016)公開中
オススメ★★★★★

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関連作

  FRANK フランク

 

 音楽映画として逸品で、Twitterを自然に取り込んでいるという点で、「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」より早いレニー・アブラハムソン監督作。端的にミュージシャンとはどんな人なのか、レコーディングってどんなことしてんのかな?の素朴な問いにも応えてくれる。そして何よりも、私めにとってマギー・ギレンホール(「主人公は僕だった」)のベストと記憶することになる。

 

 ジム・ジャームッシュのテイストがあるような、「ビッグ・リボウスキ」の小ネタが混じっているような気もするし、「ルーム」の監督は多彩です。生まじめで努力家であっても、良い曲を生み出すには才能が必要。もっともソレに恵まれていたって、あんなデカい張りぼてを被っていないとダメとは。音楽家に限らず、アーティストに奇習奇癖は付き物って認識は我が国では浸透しないものか。

 

 生まじめ青年がドーナル・グリーソンで、「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」から瞬く間に売れっ子だと思い知らされる昨今。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」「不屈の男/アンブロークン」「レヴェナント:蘇えりし者」と一か月おきで観ている。そして「エクス・マキナ」が6月だからさらに継続。今後こういうケースは増えていくのかも。

 

 才能のある方のフランクになるのがマイケル・ファスベンダーで、この人も2月に「スティーブ・ジョブズ」を観ていて、5月は「マクベス」。声はデヴィッド・シルヴィアンに似た感じで、歌唱力はなかなか。でもなんと言ってもマギー・ギレンホールの独占欲があるようで、母性を感じさせる魅力が何より。それを引き立たせる頼りなさは、マイケルが被っていないと無理だよね。
オススメ★★★★☆

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