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レヴェナント:蘇えりし者

  レヴェナント:蘇えりし者

   

 熊本の地震に関して、募金以外にも出来ることがあって、少しは気が楽になっている。現在働いている倉庫は小田原にあるんですけれど、系列の倉庫は九州にもある。地震の影響で棚から物が落ちて、その片付けに追われているのだとか。3分の1が使えない分がコチラに回ってきているらしい。よって仕事時間が延長なんだけど、残業にやる気になったのは初めてです。

 

 といった感じの夜勤が明けて、やってまいりました109シネマズ湘南。本作はIMAXでも上映されていて、食指が動くけど「グランドフィナーレ」もとなると、時間の関係で2D字幕というスペックに落ち着く。IT機器の奴隷で忙しい昨今、もし本気モードの映画マニアだったら多忙を極める。なにせコレだって2バージョン、先月の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」なんて幾つになるやら。

 

 選択肢は幾つもある、見方も人によって多種多様ってことで、私めが何に注目していたかというと撮影監督エマニュエル・ルベツキ(「ゼロ・グラビティ」)の腕前。映画好きには多いんじゃないのかな?バッチリ冒頭で満足させていただきました。ただ流れる川が映っているだけで×5が決定。観たら記録するという習慣は10年くらいやってますけど、4作連続でのことは初めて。「ルーム」の予感が当たったのか、先月観られなかった反動か。

 

 予告編では“レオナルド・ディカプリオ悲願のアカデミー賞獲得”の文字が謳っていますけど、情景描写が素晴らしすぎます。ホントにスクリーンから目が離せない。「ボーダーライン」はたぶん4Kと書いてますけど、この劇場ではハッキリと4Kであるとしている。画像の精緻さは字幕の“ドットの粗さ”で分かる。前の方で観ましたが、手前に映っている字幕スーパーがあんな風に見えたのは初めて。

 

 偶然にも前日に「アバター」を配信で見ていてビックリしておりまして、何か因縁を感じる。その辺の細かいことは現時点8で触れますけれど、視聴環境は5年前から比べればもう別物になっている。良し悪しではなく、多様化が進行し過ぎて収拾がつかないポイントを超えた、と言えば正確かもしれない。なお本作はジェイムズ・キャメロンのSF超大作に一歩も引けを取らない技術の結晶。

 

 ハイスペックなカメラを使用しているのは森の風景、滴り落ちる雫、人間の吐息などからありありと分かる。「サイド・バイ・サイド」のお陰様なんだけど、テクノロジーだけでその画が撮れるわけではない。余りに凄いその映像は関係者がどれだけ熟練しているか、どれほどの執念で撮っているかをスクリーンに映し出す。“かつて見たことのない映像”が観客の視線を釘づけにしてしまうのだ、と改めて気づかされる。

 

 「海街diary」には恍惚となりましたが、ここで描かれている過酷かつ残酷な自然はそんな悠長なことを人間に許さない。「トゥ・ザ・ワンダー」「ツリー・オブ・ライフ」にだって、この厳しさは映されていない。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」がなんとなくロバート・アルトマンに挑戦している気がしましたが、今回はテレンス・マリックに肉薄しているアレハンドロ・G・イニャリトゥ。

 

 もちろん背景の画が完璧で、原始のアメリカですから役者さんもその中に放り込まれる。レオナルド・ディカプリオは雪の上を這ってるシーンばかりで、観ている側は圧倒される。川に流されたり、映画俳優というのも過酷なお仕事。芝居だったら前作の方だと思うんだけど、どんなものか。なおサバイバルに関しては「THE GREY 凍える太陽」以上で、すげぇとしか言えない。

 

 物語はタイトルのrevenatを幽鬼と訳せば分かりやすい。クマに襲われひん死の状態になり、見守る息子を殺されて復讐の鬼となって仇を追う。関連して「ラスト・オブ・モヒカン」「ラストサムライ」が順当なオススメ作なんですけれど、オッサンは更に「羊をめぐる冒険」を推します。お話はまるで関係ないんだけど、作中に出てくるアイヌ青年のエピソードが妙に引っかかるんですよね。

 

 息子殺しの仇を演じるのがトム・ハーディ。ヒーローのマックスやってたかと思えば、酷薄非道な卑怯者に変身。忘れてましたけどレオとは既に「インセプション」で共演済みだった。「ボーダーライン」エミリーベニチオも再共演だったし、後で気がつくとはヤキがまわったものだ。あとヘンリー隊長役のドーナル・グリーソンは最近よく見かける。「不屈の男 アンブロークン」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」だけでなく、「FRANK -フランク-」もね。

 

 ついでみたいで恐縮ですけれど、坂本龍一もイニャリトゥ作品と縁がある。「バベル」で彼の美貌の青空は使用されていた。この人の楽曲も本作にはなくてはならず、画もキャストも音楽も完璧なタイミングとしか言いようがない。また元になった実在の人物、ヒュー・グラスに関してもWikipediaでモロモロおさらいすると、ひとつお勉強になります。「ヴィドック」みたいにね。

 

 180年くらい前までほとんどの人類は過酷な自然の中で、己の力だけを頼りに生き延びていた。弱肉強食も当たり前で、自らの死を自然に委ねるという知恵も持っていた。ラストがちょっと「BIUTIFUL ビューティフル」を連想させるからそんな気になるんだけど、同時に白人の欲望は並みじゃなかった。人を指して野蛮と称する方が、よほど・・・。厳しい自然から離れると、わざわざ自分で掟を作らなければならない不自由が待っている。21世紀の今に通じるテーマです。

 

現在(4/22/2016)公開中
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  アンジュール

 

 坂本龍一の仕事はscholaに限らず多岐に渡る、ということをうかがい知れる得難い短編アニメーション。「レヴェナント:蘇えりし者」は現在の映像テクノロジーを駆使した自然描写の結晶で、観客をスクリーンにくぎ付けする。一方コチラは少ない情報量で、見ている側のイマジネーションを喚起する。もっとも情報量は少なく見えるが、手抜きであんなアニメーションは作れない。

 

 ahaのTake On Meのプロモーションビデオで使用された映像くらいしか浮かばないけど、絵本をアニメーションにするにはこの手法が適している。絵本と同じく、何度も見ることができるし、その都度発見するというのではなく、ただぼんやりと楽しめる。時間も短いし、パッケージソフトなら成立するコンテンツかも。犬好きの押井守が手を着けていないのが不思議だ。
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    羊をめぐる冒険

 

 「レヴェナント:蘇えりし者」の関連作でパッと思いついたのは、この本の中に登場するアイヌ青年のエピソードだ。アメリカ合衆国でネイティブを追い払って、せっせと毛皮を白人たちが略奪していたのが江戸時代で、日本では明治の頃に食い詰めた小作農が、北海道まで渡って生き延びていた。この作品自体は「ロング・グッドバイ」を絡めて語るのが筋なんでしょうが、私めは年代がズレておりまして違った記憶の仕方をしている。

 

 それこそ紙の本では何度も読んでいて、テキストデータ化した今もタブレットに収まっていて、ふとした時に目にしてしまう。1978年が舞台になっていて、当時の時代背景から今を知る資料にもなると勝手に思っている。今から察すると、当時の日本は豊かさがピークに達しようとしている。ジェイズバーを主人公が訪ねる辺りがそうで、彼の街は海を埋め立て、新しいビルを建てている。

 

 日本のフィクサーが危篤状態で、親友の鼠がその後釜に据えられそうになっている。ここを「日本沈没」と並行してみるのも面白いかも。陰で操る者のいなくなった国のその後はどうなったか・・・。アイヌ青年のエピソードは、北海道の目的地に行く途中で出てくる。不採算路線について触れられているだけでなく、もともと農業に適していなかった土地から、人々が去りつつあることも描かれている。

 

 私めにとって30年前の日本とは元気のあった国という認識がある。しかし作家の村上春樹にとっては“達してしまって、どこに行けばいいのか分からなくなった”印象があったのかもしれない。それを踏まえたうえで次の「ダンス・ダンス・ダンス」を読んでみようかなぁなどとも思う。読書家ではないので、数こそ少ない愛読書がバイブルになったりします。
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