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ザ・ガンマン

  ザ・ガンマン

 

 生活費が苦しいだけに、時間の余裕もありません。よってついにジョニー・デップの新作をパスしてしまった。痛恨と嘆くほどではないにしても、”見とけばよかったリスト“がまた増えそう。天秤にかけたのがコチラで、この作品の予告に接したのは「エージェント・ウルトラ」を観た川崎のチネチッタ。よく行くTOHOシネマズだけでなく、ネットのサイトだけでなく、ほっつき歩いて当たることもあります。

 

 監督として「イントゥ・ザ・ワイルド」という傑作を持つショーン・ペン。役者としては変幻自在で、一番のお気に入りは「ステート・オブ・グレース」なんだけど、鬼気迫る「デッドマン・ウォーキング」も悪趣味なイタズラ映画「ゲーム」も感動の「I am Sam アイ・アム・サム」も・・・。直近で「LIFE!」も素晴らしかったけど、「フェア・ゲーム」も捨てがたいなぁ、といった具合に結構観てきました。

 

 ただこの種の派手なアクションはお目にかかったことがない。これが最大の観賞誘引剤で、「パリより愛をこめて」は何度も見ているくせに、監督ピエール・モレルの名前はあまりピンと来なかった。さて「96時間」リーアム・ニーソンをアクション俳優に改造した男は、変幻自在の演技派をどのように変身させるのか?allcinemaを覗くとアラン・ドロン主演「最後の標的」のリメイクなのだそう。

 

 映画が始まってすぐに“だてにショーン・ペンが出てないな”と思わせたのは、彼が演じるジムはコンゴでNPOを護衛する傭兵。昨今“自炊”を始めて柄谷行人氏の世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えてを再度読んでいますけれど、“資本主義は格差に帰結”、“アフリカ諸国は壊滅状態”と記されていて、それを再度日々実感。もはや格差が拡大して貧困が蔓延、アフリカのことを気にかける余裕なんて、我が国にも合衆国の庶民にもない。

 

 人々にコンゴのことを伝える側面もあるからこそ、ショーンが製作も兼ねているのでしょう。もちろん見どころはかつて彼が演じたことのない激しいアクション。脇役の豪華さも半端じゃなくて、「BIUTIFUL ビューティフル」が忘れられないハビエル・バルデム、「ベオウルフ/呪われし勇者」をぜひオススメのレイ・ウィンストンなど無駄のない配置。

 

 またヒロインは初めてお目にかかるジャスミン・トリンカで、なかなか新鮮でした。中年の願望を実現してくれる美女です。で、アッと驚いたのがマーク・ライランス、「ブリッジ・オブ・スパイ」ではソビエト・スパイの爺さんを演じていた人。まるで見分けなんてつかない変貌ぶり。公開規模が小さいし、地味に見えても映画好きを直撃する作品はあるのです。

 

 タイトルがガンマンというくらいで、次から次へと新しい機関銃が出てきます。ほとんど見たこともない代物で、コンクリートの壁を貫通するなんて当たり前。それと狙撃のシーンですけれど、「THE NEXT GENERATION/パトレイバー5」と同じく、頭に穴が開くのではなく、身体ごと吹き飛ばす。「マイアミ・バイス」もビックリしましたが、もうガンマニアの間では常識なんですかね。

 

 物語はモロに「ボーン・アイデンティティー」を思い起こさせるものなんですけれど、そこに「ルート・アイリッシュ」の要素が近いですかねぇ、混沌そのものの状況に追いやられた国では有象無象が暗躍、欲むき出しでやりたい放題を観客に見せつける。そんな現場に一度は足を洗った家業に嫌々首を突っ込む、というオッサン好みのテイスト。パターンではありますけれど「スパイ・レジェンド」も悪くなかった。

 

 この種のモノをトム・クルーズが演じるとイマイチに感じてしまう。スペインが出てくる彼の「ナイト&デイ」と比べると一目瞭然。肉体改造もサーフィンのシーンを入れてご披露したり、さすがの役者根性ショーン・ペン。渋くなりましたよ、もっともリーアム・ニーソンみたいに、この後アクションまっしぐらにはなりそうもない彼だけに貴重。

 

現在(2/9/2016)公開中
オススメ★★★★☆

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 ガイ・ピアース「ロックアウト」ではふてぶてしい男になったが、こちらはやさぐれ中年。「L.A.コンフィデンシャル」から15年は経過しているのだけど、それほど老けた感じはない。その辺は肉体改造して「ザ・ガンマン」に臨んだショーン・ペンとはチト違う。枠がTV映画ということもあって、それほど厚みを感じさせないことも一因でしょう。

 

 もっともそのTVという枠が映画ばかり観ていると、簡潔に映ったりして悪くない。なんにしても上映時間が長いというのが昨今のよくない傾向。で、もう見ないでも良さそうな展開なのに、中年だけに美味しい酒のつまみ。それには主人公に相応の美女が不可欠で、「007/スペクター」のレア・セトドゥみたいだとチョッと現実離れ。ジャーナリストのリンダを演じたマルタ・デュッセルドープはいいですよ。

 

 そりゃあ傑作「ロング・グッドバイ」には敵わない。ただ挑戦しがいのあるネタで「インヒアレント・ヴァイス」だってあった。もちろん私めの心の書「羊をめぐる冒険」などハード・ボイルドが身に染みるトシになった。またオマケなんですけれど、過去映像をほじくり返すのにVHSを使用している。普及していたということは、オーストラリアって我が国と浅からぬ関係だったんじゃ?などと思ったりして。
オススメ★★★☆☆

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