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ある天文学者の恋文

  ある天文学者の恋文

 

ネタバレです、ご観賞後にどうぞ

 

 ジュゼッペ・トルナトーレって知ってる?では不十分で、「ニュー・シネマ・パラダイス」の人なんだけど、という所まで行って始めて大概の人は肯く。定期的に貸し出されていた「海の上のピアニスト」とて17年前ながら、私めは2013年の「鑑定士と顔のない依頼人」からこの監督に注目しております。より正確には関連作として見た「題名のない子守唄」が素晴らしかったゆえ。

 

 そして予告編で21世紀にふさわしい作品に見えたこともあって、公開2日目のTOHOシネマズららぽーと横浜にやって参りました。シャンテでの公開作をだいたいココでも上映してくれるのでありがたい。ギャガ(GAGA)は30周年ということで「ルーム」が今のところ今年のベストですかねぇ、「海よりもまだ深く」「帰ってきたヒトラー」「シング・ストリート 未来へのうた」「グランドフィナーレ」もそうか。

 

 題材は大人の恋愛映画の体裁で、ネタは「P.S.アイラブユー」っぽいんだけど未見なんだよね。関連作として見とかなきゃいけないんだけど、「故郷よ」になっちゃった。もっとも主演の2人は素晴らしかった。高校生向けの「君の名は。」新海誠作だったからなんで、48歳のオッサンが楽しむにはこのキャストでないと。9:35スタートの回でしたが女性客がほとんど。

 

 で、中身なんですけれど世を忍ぶ関係の恋人同士、男の方が亡くなったにもかかわらず手紙、メール、画像などが次々に送られてくる。これは予告の通りで、勝手に予想していた展開は“ひょっとすると人工知能方面に行くんじゃ?”だった。ただし、それだとSFになってしまって、せっかく切り取られた美しいエディンバラの景色が台無しになってしまう。よって謎解きミステリーの体裁でホッとした。

 

 恐らくなんですけれど、監督の目にも“人々がスマートフォンなどのIT機器から離れられない”今は映っている。しかしそれを陰惨なとか不憫だと描かないで、ある意味爽やかささえ漂う“喪の仕事”の物語に結実させている。しっかりした足取りで歩いていくオルガ・キュリレンコ演じるエイミーが良いのです実に。「セレステ∞ジェシー」「サンバ」などごいっしょにいかがでしょう?

 

 全編彼女を中心に描かれていて、学生もしているけどスタントもしているというエイミー。「007/慰めの報酬」「スパイ・レジェンド」のイメージを踏襲というわけではなく、世間の期待に応えてのお芝居でしょう。謎解きと景色と恋愛だけだったらオッサン退屈してしまうところです。この辺の配慮はニクい、またスタント稼業の合間仕事もラストに効いてくるんだよね。

 

 本作の“死を間近に控えた大学教授”という役はジェレミー・アイアンズがピッタリ。手がかりを追う「リスボンに誘われて」とは真逆で、「ダイ・ハード3」の悪役とは信じられない今。この人のトボけたアルフレッドが見たいがために、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」の続編も行くことになるし、「栄光のランナー/1936ベルリン」は見逃したが、「アサシンクリード」は絶対・・・。

 

 派手なお仕事もできる2人ですけれど、自然な感じで風景にも溶け込んでいるし、今年は恋愛映画から遠ざかっておりましたから得難い1本。私めはもうホントに中年ですし、今すぐにではありませんが、行く末も射程距離に収めなければならないだけに染みてきたなぁ。10年前なら思いもしなかったけれど、もし恋人を残して旅立たなければ?ってお話に関心向くようになった。

 

現在(9/23/2016)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  故郷よ

 

 薄っぺらなデマに動かされる世間様なんてどうでもいい、まず自分の中に原子力発電所の事故を肝に銘じておくべきだと再確認した1本。3月に見ていたハズがスッカリ記憶から遠のいている。やはり劇場観賞が身体に染み込ませるには最適で、DVDなどで見た場合、文章にして記憶に定着させる必要がありそうです。もちろん娯楽作だったら忘れた方が無難だけど。

 

 「ある天文学者の恋文」の主演女優オルガ・キュリレンコはウクライナ出身だけに相当な覚悟で臨んだのでは?綺麗な嫁さんから事故後のプリチャピに残り、ガイドとして働く女性を、疲れた感じを滲ませて熱演。英語も話せますが、フランス語による彼女の独白が観客に訴える。「カリーナの林檎 〜チェルノブイリの森〜」「チェルノブイリ・ハート」など機会を見つけて再見する必要はありそうだ。

 

 映画はTVやインターネットに“そこに至る速さ”では遅れてしまう。しかし伝え、残す機能では優る。そして我々の隣人を寄り添って描いているので、他人事で処理できなくなる。福島原子力発電所の状況は現在も進行中だし、“過ぎたこと”には到底ならない。再稼働を許してしまう自分を、周囲の人々を軽蔑したって始まらない。「君の名は。」ではないけれど、大人が“忘れちゃダメ”なことはこの一点。本作の映像から「シルクウッド」「みえない雲」の記憶も呼び覚まされた。
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