関連テーマ 

 

 

 

 

 

 


サイドボックス

ここにテキスト


出し

ゼロの未来

  ゼロの未来

 

 暑くなりました、出勤時間で混み合う町田駅を経由して、鴨居のTOHOシネマズに向かう私めは夜勤明けでフラフラしております。8:00前だというのに電車も冷房がついているおかげでウトウト。どの建物も一斉にクーラーを使うから仕方ないけど、5月でこの状態なので、夏真っ盛りになったら大変でしょう。こういう時はド田舎に住んでいてありがたい。ま、数年前までは横須賀におりましたが、不便と引換えに脱出してヨカッタと思える。

 

 実は再開した恵比寿ガーデンシネマで観る予定でしたが、余裕がないので断念。この作品を知ったのも、かのミニシアター復活の報がきっかけだったのでチト残念。最近は都内の劇場にご無沙汰で、シャンテで上映の「セッション」「あの日の声を探して」「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」も神奈川県で済ませてしまった。都内に行かなくちゃ買えないものも少なくなりましたし。

 

 さて、テリー・ギリアム最新作に何を期待していたかというと、彼の目線を通して今の世の中を見てみたかった、コレに尽きます。奇抜な映像世界を繰り広げるので、私めが“不思議ちゃんご用達”というレッテルを貼っていた監督たちは、しっかりした価値観を持っている人達。アラレちゃんみたいな人々が大活躍する21世紀を、どう描いて見せてくれるのか?

 

 ティム・バートン「天才スピヴェット」のジャン・ピエール・ジュネ、「her/世界でひとつの彼女」のスパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー(「ムード・インディゴ/うたかたの日々」)もウェス・アンダーソン(「グランド・ブタペスト・ホテル」)も作品の中に現在の世界を忍ばせている。そして本作のテリー・ギリアムも「バンデッドQ」まで遡って見ると、以前からだったのだ。ホント凡庸な感性は損をする。

 

 加えて「ビッグ・アイズ」を観たばかりのクリストフ・ヴァルツ主演というのも魅力だし、脇でデヴィッド・シューリス(「フィフス・エステート/世界から狙われた男」)、ボブ役のルーカス・ヘッジスも上手かった。ですが収穫はベンズリー役のメラニー・ティエリー。この人の作品は結構見ていて「インストーラー」とか「バビロンA.D」とか、おまけにデータをたどっていった「昼下がりの背徳」も当たり。

 

 テリー・ギリアムの目線で今がどういう世界に見えるか。まさにカオスそのもので、うるさいったらありゃしない。閉じこもってた主人公のコーエンが嫌々外に出れば、ベタベタと町中を埋め尽くした広告の洪水。ついて回るネット広告を分かりやすく描いている。更にもう職場なんだかゲームセンターだか判らない所で働いてりゃ、自分を“我々”と言ってしまう病気にもなります。また公園の注意書きには失笑。

 

 会社は嫌だから自宅で仕事したいという申請が通って、延々とゼロの定理を探求するコーエン。彼の元にやって来るベインズリーはネット上の売春婦で、まぁ時代が進化していけば「ドン・ジョン」の先に行ってしまうわけです。でも彼女の存在が結果的には救いになっているのでは?というラストはぜひご覧になってご確認を。夕陽がちょっと「12モンキーズ」に近いように思わせたりして。

 

 ベースは予想していた通り「未来世紀ブラジル」っぽくて、チラシもそうなっている。近未来の職場ではなく、今の仕事場ってあんな感じ。最高責任者は何処にいるかわかんないけど、彼以外は全てコマ。ゲームみたいな仕事をさせて、やっているのは破壊し、虚無=ゼロを生み出すこと。そこに商機があって、彼らの商売が成立する。マネージメント役のマット・デイモンがちゃんと説明している。

 

 テリー・ギリアムが凄いと思うのは、イノベイターたちがやっている概念の破壊(iTunesもFacebookもKindleも)を直接は描かないで、観客が帰る道々で気がつくようにしていること。観ている最中はCGが「カウボーイビバップ/天国への扉」で天才エドがご披露する、プログラムのイメージっぽいなとか、年の差はどうにもならない(「めぐりあわせのお弁当」)とか、ひょっとすると今回はコケたかな?とか。

 

 批判的に描くと、もうどこで火が着くか分からない一触即発のご時世。とても今の世の中にはついて行けなくて、“自分がなくなっちゃう”主人公は監督でもあり、彼のファンかもしれない。強烈なイメージで描くのに、後から想像が膨らんでいく仕掛けになっている。全て勝手な解釈ですけれど、映像喚起力がないジャンルであるはずの映画なのに、それができてしまうテリー・ギリアムはさすがなのね。

 

現在(5/20/2015)公開中
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

 

前のページ     次のページ

 

top

 

関連作

昼下がりの背徳  昼下がりの背徳

 

 この邦題でないと手に取ってもらえないのかぁ、レンタル屋の棚でもエロティック・コーナーに置かれてしまっている。「ゼロの未来」経由で見る人は少数派なんですかね。メラニー・ティエリーのデータを漁って、本作の監督が「みなさん、さようなら」のドゥニ・アルカンだと判明した瞬間に、私めなどは腰が浮くんですけれど。そして成人映画を期待した方々を落胆させ、酔狂な少数派を大満足させてくれます。

 

 カナダの映画はデヴィッド・クローネンバーグばかりが撮っているわけではなく、「プリズナーズ」ドゥニ・ヴィルヌーヴは才能の人で、彼の「渦」にも出ているフランス女優のマリ=ジョゼ・クローズも脇でしっかり画面に収まっている。「マップ・トゥ・ザ・スターズ」のサラ・ガドンだけが、かの国の新進女優ではなく、浮気相手のメラニー・マーコスキーも今後が楽しみになってきた。

 

 女優陣は美人ぞろいで、彼女たちに負けないハンサムが主人公。ただし彼が建築家というのが本作のキモで、カナダの建築物がどれもこれも素晴らしい。確かに大人のほろ苦い浮気モノにして、「君のいないサマーデイズ」に近い物語なんだけど、景色を損なわない建物が次から次へと映し出されていく。後ろめたいお話なのに、健全なスポーツもいろいろ出てきて、対比が興味深い。

 

 辛辣に捉えればモデルっぽい男女が出てくる、建築物カタログ映画かもしれない。でもさ、あまりに自然の描写に惚れ惚れしてしまって、半端な観光イメージとは程遠い、清潔で綺麗な街並みにため息が出る。真似しようったって、ただ惨めになるだけ。すくなくとも浮気の物語なのに、それ以外で感心させちゃう監督の才能がすごく、昨日見た「ラビリンス 抜け出せないふたり」とか埋もれさせちゃうって悲しいね。
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

ホームページ テンプレート フリー

Design by

inserted by FC2 system