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黄金のアデーレ 名画の帰還

  黄金のアデーレ 名画の帰還

 

 深夜のTOHOシネマズ小田原に来るのも3回目(前回は「ハーモニー」)。終映時間が23:30で人の姿どころか、車さえまばらな夜道を抜けて帰宅するのも悪くない。ワクワクする体験をスルーするのは損だとザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?に教えてもらって以来、IT機器を用心しつつ使うことで、その気になっている(中身は半分も理解不能)。走った経路をGoogleマップで眺めたりしてニヤニヤ。

 

 経緯を説明するのも面倒臭いですけれど、うちのPCはWindows Vistaがいつの間にかWindows10になっている。ガタがきたCPU交換に伴ってなんですけれど、もはやO.Sが新しくなることにインパクトはない。Windows95から20年経過しているんですものね。加速する時代の渦中にあって、正気を保つためにも映画を観て、物語を楽しみつつ“忘れるとヤバいこと”を知っておくのは重要。

 

 「ミケランジェロ・プロジェクト」の公開は遅れましたが、期せずしてタイミングが合いました。本作はアチラで描かれた“ユダヤ人からナチが強奪した美術品”をもっと掘り下げている。絵画にはチンプンカンプンなれど、既に「クリムト」を見ていたからテーマとなる“黄金のアデーレ”を描いた人のことは知っていて、時代背景は「危険なメソッド」も参考になります。

 

 気になる公開作が多々ある中で、本作へ導いてくれたのはキャスト。見逃して悔しかった「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」の主演ライアン・レイノルズが引っ掛かり、「天使が消えた街」のダニエル・ブリュールがボディブロウ、ヘレン・ミレンで足が止まり、おすぎさんのビデ・シネプレビュー(Vol.203)でK.O.といったところです(「ミケランジェロ・プロジェクト」「Re:LIFE〜リライフ〜」もピックアップされている)。

 

 テーマは大雑把に個人VS国家かもしれない。これをベースにして歴史を振り返り、かけがえのないものを勝ち取った人々を描き、美術品の真価とは?に至るまで訴えている。少なくとも私めにはそのように解釈できる。勉強にはなりますよ、確かに属さなければ生きることは難しいけれど、あまりに国家主体に傾くと、どんな愚行も許されてしまう。その結晶たるナチスドイツがまたまた“悪の権化”として登場。

 

 「やさしい本泥棒」を見たのが2月で、「ナチを扱った作品があまり見受けられない」などと書いておりますが、ちゃんと公開されているのでひと安心。それにしても深夜だからか、観客は私め一人とはチト心配。昨今の“どうしようもない事態”がより進行すると、ここに描かれているような悪夢が再現されてしまう。迂遠でも“少しずつ変えていく”のか、“いっそのこと全部ひっくり返しちゃえ”になるのか。

 

 本作は90年代から始まりますが、現在との差異はIT機器によって知ることになるのも最近の傾向ですね。ライアン扮する若き弁護士は分厚いモニターを眺め、紙をうずたかく積んでせっせと仕事をしている。「マイ・インターン」と見比べるとハッキリします。母親の友人から依頼された厄介な案件なれど、対象の絵画についた値に動かされて自らの母国でもあるオーストリアに飛ぶ。

 

 依頼した方のヘレン扮するマリアにとっては一度は捨てた故国なれど、意を決して帰国する。この辛い題材で過度に批判せず、退屈もさせず、国から自分の所有物を勝ち取った爽快感だけに終止しなかった監督の手腕は優れている。サイモン・カーティスは「マリリン 7日間の恋」すら見ていないけど実力あります。だって観客を落ち込ませず、“やったぜ、ざまーみろ”にもならずに身体に染み込んできた。

 

 ヘレンは昨年の「マダム・マロニーと魔法のスパイス」が素晴らしかったし、ラストで唸りますが、本人そっくりに化けている。ライアンはひょっとすると今後見過ごせない俳優なのかもしれない。元妻がスカーレット・ヨハンソンで、現在の奥さんは「アデライン、100年目の恋」主演のブレイク・ライヴリーという許しがたい実像の持ち主。

 

 「あなたは私の婿になる」の頃は坊やって感じでしたけど、金で動いていつの間にか、案件にのめり込んでしまう弁護士という役はある種のステップ。「アミスタッド」マシュー・マコノヒー「声をかくす人」のジェームズ・マカヴォイなどがそう。彼と比べるとダニエル・ブリュールは控えめなんだけど、「誰よりも狙われた男」と同様に出番が少なくともきっちり印象を残す。

 

 一番ため息ついちゃったのが奥さん役のケイティ・ホームズ。もっとも「バットマン・ビギンズ」の彼女ではなく、最近見た「エイプリルの七面鳥」から継続しているキャリアだと違和感はない。さらに久しぶりに戸田奈津子さんが字幕を担当。ヒット連発のギャガ(GAGA)は、今後「完全なるチェックメイト」が控えているといった具合にあまり本編とは関係ない部分は美味しかった。

 

 ナチを描いた映画がなんで苦痛を伴うか、最近まで考えたことなかったんですけれど、本作の主人公マリアに教えられたような気がします。忘れたフリしたって加害者の側ですからね。我が国はドイツの同盟国だったわけだし、今では戦勝国のアメリカ合衆国に“へつらう人々”が地位を得ていて、なんら疑いなく洗脳装置=TVを鵜呑みにしている人でいっぱい。“ごめんなさい”で済まされない事は、山のように歴史に刻まれている。だてに日本人を48年もやってない、映画に感銘を受けつつ背負ってかないとね。

 

現在(11/30/2015)公開中
オススメ★★★★☆

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