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海街diary

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 この作品は待ちに待ってたけど、二律背反に陥らせてくれもする。原作の吉田秋生は小学生の時、「カリフォルニア物語」に衝撃を受けて以来のファン。つまりこの人のマンガに関して原理主義者。よって映像化されたモノを幾つか見たけど、どうもダメ。「櫻の園」がマズマズだな、などと実にうるさい。実写化は多々あれど、アニメ化された例は「悪魔と姫ぎみ」だが、この期にDVD化を切に望む。

 

 キャラクター・デザインのみの「ボビーに首ったけ」もまた見たいし、大好きを通り越してホントに信者。因みに去年くらいまで自分のことを“ワシ”と称していたが、この人が“著者のひとこと”で使っていたからに他ならない。今では節操なくいろんな映画を次から次へとつまみ食いしているが、この人とたがみよしひさの作品は身体に染み込ませるように読んでいて、受けた影響は半端じゃない。

 

 そんな自分の人生において欠くことのできない人のマンガを料理するのが、お気に入りの映画作家=是枝裕和。この人の作品も長いお付き合いで1999年の「ワンダフルライフ」以来。時に真っ青にもしてくれますが(「誰も知らない」)、「花よりもなほ」「奇跡」は私めにとって宝。漫画を原作にしたものは「空気人形」があったけど、未読のまま映画を楽しんだ。処女作は原作も読んだうえで繰り返し見たけど、文句なしだった。

 

 素材提供=原作者のファンにして、料理人=監督のファンという心理を抱えたままスクリーンを眺めるというのは、あとにも先にもこれ一回こっきりでしょう。そして開始5分で×5が決定してしまった。原作の通りに次女の佳乃が朋章と朝を迎え、父の死を知り、海岸を歩く部分で確信してしまった。“いい、いい、全然OK、そのまま進めちゃってください”と作品世界に没入。

 

 やるだろうと想定していたシーンが、ちゃんと組み込まれていると同時に、派生して長くなってしまうエピソードは丁寧に省かれている。さらに監督の映像世界が合致。ドリー移動の撮影が多いかな今回は、鎌倉はそのまま映せば良いけど、お葬式が行われる田舎の、それもあの列車や駅をよく見つけてきましたよ。なくてはならないからね、駅でシャチ姉が「鎌倉に来ない?」とすずに聞くところは。

 

 梅酒飲んですずが頭痛くなっちゃうところは、やってもらいたかったし、監督がファンの心理を完全に把握しているみたいだ。DVDリリースされたらコメンタリーをぜひ入れて欲しい。原作をまんまコピーするとなれば、すずが丘の上で絶叫する場面がありそうだけど、あれでいい。4人姉妹の物語を成立させるために、省かれているエピソードはあれど(朋章の部分とか裕也のこととか)、納得。

 

 今回の映像化で成功を約束されているのは、もちろんすず役の広瀬すずが完璧だったことだ。子供を撮らせたらまずこの監督は一流だもんね。“この娘が嫁に行くまでは死ねんな”と思わせる。そして不安材料はシャチ姉=幸役の綾瀬はるかだった。ところが原作のイメージとはまるで違うのに、物語が進んでいくと見えてくるんだよねぇ。「ICHI」とか「僕の彼女はサイボーグ」から月日は流れたのだ。

 

 佳乃役の長澤まさみは極細の身体ながらセクシーで、千佳役の夏帆は履歴を漁ると「ナイスの森」に出ていたようだ。4姉妹のやり取りは絶妙で、“失われた日本の家族”を再現しているみたい。是枝作品の常連、樹木希林が“大船の大叔母”になるのも楽しかったし、信じられないくらいダメな感じに老けた大竹しのぶにも唸った。ただし「蘇る金狼」を見たとき少年だったオッサンは風吹ジュンに・・・。

 

 「そして父になる」での芝居も良かったけど、今回のリリー・フランキーを見ていると是枝作品に“欠くことのできない要素化”しつつある。男優陣は完全に背景なんだけど加瀬亮、堤真一が目立ってはバランスが保てない。観賞中はほぼ陶酔状態で、このまま続編をとも思ったけど、ちゃんと物語が収束する。いつまでもこの姉妹が同じ屋根の下では暮らさないだろう、でも“家族になった”の瞬間が刻まれている。

 

 あとエンドクレジットでうーむ、となったのは音楽担当が菅野よう子になっている。ツボを押さえた楽曲によって、もう私めは完全に本作の虜。ゴンチチでも良さそうなのに、「カウボーイビバップ」「マクロスフロンティア」「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」 の人を起用とは意外。とは言っても東日本大震災の復興支援ソングの作曲者だから、「家路」プロデューサーと一緒に仕事するのも当然か。今年これ以上の日本映画はないだろう。

 

現在(6/16/2015)公開中
オススメ★★★★★

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  海街diary

 

 「イヴの眠り」の後にこれを世に出す吉田秋生は、自らのルーツを探ろうとしているのか?ヒントは「吉祥天女」に収録されている短編“子供の食卓”にあると勝手に解釈。この人が鎌倉で幼少期を過ごしたエピソードが語られている。そしてニヤニヤしてしまうのが、梅酒を飲んで人生最初の二日酔いを経験しているところ。これがコチラの「すず、悪いもんぜーんぶ出しちゃいなー」になっているんである。

 

 「カリフオルニア物語」→「BANANA FISH」→「夜叉」→「イヴの眠り」がこの人のメインストリートで、私めにとって欠くことのできない要素。しかし「河よりも長くゆるやかに」はどーして男子高校生の生態をそこまで知ってんの?と驚かされた。で、女子中学生のすずと姉たちの物語は、この人の体験が盛り込まれているようで楽しい。20世紀の雰囲気を保ちつつ、現在の日本をどんな風に描いてくれるのか。ガキの頃から文学を通して世の中知ったわけじゃないからね。
オススメ★★★★☆

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  カリフォルニア物語

 

 後に作者は“フーテンのヒーさん放浪記”と称するけど、本作によってマセたガキにされてしまった。“血肉化している作品とはこういうことなのね”とkindleで読んでみて分かった。ほとんどのシーンを忘れていない。ジャンプやサンデーといった“幼い”男の子漫画は、少女漫画には到底及ばないという根強い信条があるのもコチラの影響。劇映画の「地球へ」もそうで、「日出処の天子」もこの時期読んでたなぁ。

 

 父親への反発によってニューヨークに来たヒースの物語を通して、アメリカ合衆国を知るわけですけれど、今思えば得難い体験。おかげさまで英文科に行くことになり、米軍基地のそばの店で働いたり、赤坂の店では外国の方々と接することになったり。放浪人生を歩んだのも、小学生の時に出会ったこの漫画があったからかな?などと遠い目になってしまいます。
オススメ★★★★☆

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